3年ぶりの夜会は、(たぶん)2008年以来の新作です。
自分の中での話の繋げ方を思い出すのに苦労しました。
以下、プログラム未読の状態での私の解釈です。
間違っていても気にしない!
私はこう受け止めました。
ネタバレを含みます。
橋の下の商店街。
降雨時の危険性から自治体(国か市か不明。いわゆる「お上」)に
閉鎖、移転を指示され、殆どの人は引っ越した。
残っているのは占い屋とBarのみ。
店主の女性達は細々と暮らしていた。
ここからは離れない。
占い師は言う。
「ほんの先の未来だけ、占ってみませんか?」
何回も立ち退き勧告が出るが、2人は無視。
かつてこの地域に大雨が降ったとき
天を鎮めるために人柱を立てた。
選ばれた女性は、夫と、そして飼い猫と別れ、死ぬ。
そして、いま。
かつて商店街にいた男が
自宅の仏壇に線香をあげに来る。
「もう3年も前のことなのに」
「たった3年ですよ」
大雨が降り始める。
3人は逃げようとするが、
すでに橋の上への出口は封鎖されていた。
国の意思に従わないものなど、いない前提なのだ。
3人は脱出口を探す。
ストーリー的にはこんなかんじだと思います。
ネタはずばり、国と、
国の原発政策への批判じゃないかと思います。
「自分の土地」に住んでいるのに
ある日、国からいきなり立ち退きを命じられる。
それは国の政策の失敗の為なのに。
自分たちの居場所は、ここ。
絶対に離れない。
たとえ、他人から見るとどうということない場所でも
代替の場所があるとしても
自分たちのアルカディア(理想郷)は、ここ、なのだ。
そこから、「緑の手紙」と「零戦」はどう繋がるのか。
友人が言うに「緑の手紙」は
「赤紙」、つまり召集令状の逆ではないかと。
国によって死を強制させられたら、逃げろ、
国のプライドより、自分の命を優先させろ、生きろ、
というメッセージではないかと。
数年前にコンサートで聞いた「世情」が
実にリアルで、かなり感情をこめて歌っていたので
上記のオチに繋がるのは納得。
ただ、そうなると、猫が謎。
生まれ変わって、なんだったんだろう。
その記憶があって、なにがあったか。
誰かの「かけがえのないもの」、
あるいは守るべき小さな命の象徴とか?
人柱から零戦の流れがいまいちクリアじゃない気がする。
もひとつ、「敢えてここに住む」という話だと思っていたけど
通達を聞き流し、文書も読まずにいた、というのは
自業自得にも思える。
自分に関心の無いことは気にしない愚かさを描く、でもなく、
紙切れ一枚で人の人生を変える、という話でもなく、
ただのうっかりさんに見えてしまうのだ。
「外国でパスポートを紛失したら日本大使館へ」的なツッコミを
どうしてもしてしまうんだな。
もうちょいそこを、見る側に納得できるように作って欲しかった。
集団が「誰か」の意志に無条件で従う、
集団の中で「個」を確立するのは勇気がいる、
という話にしても、枝葉が多いような気がする。
1幕の終わりが人柱と、逃げ出した猫だったので、
安寿と厨子王のように親子の生まれ変わりネタ?と思いつつ
あの猫が魔性で、飼い主の恨みを晴らすために猫又になり
人間界に復讐する話かしら?みゆきさんは伏姫的な?
と、休憩中は妄想モクモク。
オチは全く予想外だった。
舞台機構的には、あ!飛んだ!とか
やっぱり金はかかっているなあ、と。
今回はみゆきさんの単独主演ではなく、
中村中さんとのW主演。
それに石田匠さんが絡まる。
さすがにみゆきさんは「若い女性」役から引いたのかなあ。
しかしそう思っていた頃の「2/2」再々演で、
感覚的には30代後半の役をやっていたから
今後も油断できないよね。
恋愛話はいまさらかもしれないけれど
抜いたらコレなら、どちらがいいものか。
歌は、占いの師の歌以外にも
頭に残るフレーズ、メロディがあった。
でも一番心に残るのは、やっぱり「二隻の舟」だわ。
みゆきさんの曲は、若い女の子系が歌えば可愛らしく、
ミュージカル歌唱の人が歌えばそれっぽくなるのに、
同じフレーズを本人が歌うと
紛れもなく「中島みゆき」になるのが不思議というか。
いきなり空気が重くなる。
とりあえず思いつくところ書いてみました。
これからネタバレサイトを回ってきます。
私の思いの中に正解はあるかな?
おまけ。
赤坂サカス内では今までの夜会ポスターや
セットのミニチュアなどの展示もありました。
竹
鮭