前回のブログの続きです。
(フィリピンのアテネオ・デ・マニラ大学から、ロンボク島にやってきた学生さんが、ごみ問題の調査を行いました)
Pada awal bulan 10, 2023..Mahasiswa dari Ateneo de Manila University mengikuti study tour oleh Yui-Tool di Lombok.
4.TPA Kebon Kongok - 廃棄物処分場
1993年から運営されているTPA Kebon Kongok処分場は、ロンボク島の主要な処分場のひとつで、1日あたり約250~300トンの廃棄物を受け入れており、総面積13ヘクタールには、すでに満杯の処分場と、新たに建設された1.2ヘクタールの処分場があります。今回はH. Didik Mahmud Gunawan Hadi氏にお話を伺い、施設を案内していただきました。
私たちが学んだことは主に以下の2つです。
(写真:見学の様子)
(1)処分場管理における地方自治体の努力
数年前から、TPA Kebon Kongokに蓄積された廃棄物は、3種類の処理方法に合わせて分別されていることを知りました:RDF(ごみ固形燃料)、SRF(固形回収燃料)、リサイクルおよびコンポスト。RDFとSRFの廃棄物は発生源で分別されますが、その他の廃棄物はそのままこの埋立地に送られ、その後手作業で分別されるとのことです。また、埋立地から出るメタンガスは回収され、地元の人々の調理用ガスとして利用されるとのこと。この処分場では、浸出水を環境に放出する前に処理するため、生物学的手法と化学的手法を同時に適用していますが、この施設の現在の能力では、おそらくすべての廃棄物を処理することはできないだろうと彼らは懸念しています。実際、ここで適切な処理が行われた廃棄物は全体の3分の1に過ぎず、このままでは1年後には新処分場が満杯になってしまうとのことです。
(写真:RDFとSRFの収集・処理光景、廃棄物は手作業で分別される)
さらに、古いゴミ捨て場では温室効果ガスが大量に放出されていることが記録されており、これは主要なガスパイプがゴミの山の下に埋まっていたため、パイプが機能不全に陥ったためとのこと。このような状況に鑑みて、彼らは、埋立地の処理能力を向上させる新たな方法を模索しており、最近ではオーストラリアの "“Ministry of Waste”(オーストラリアのNGO)と協力し、施設の能力を拡大し、ここで働く労働者の負担を軽減しようとしているとのことでした。
(2)環境教育の重要性
また、地域の学校に対し、生徒のための教育プログラムやゴミ処理場への遠足などを企画しており、現在ではロンボク島の30以上の学校と連携しているとのことです。彼らによると、インドネシア政府の「Clean-from-Waste 2025」計画とロンボク島の「ゼロ・ウェイスト・プログラム」の影響もあり、近年では島の廃棄物管理問題に注目し、手を差し伸べる人が増えてきたと感じているようです。しかしながら、ロンボク島の廃棄物の発生を減らすためには、まだまだ住民意識の向上が必要であることを強調していました。
(写真:現在の埋立地)
(写真:新しい埋立地)
5.廃品回収業者
この廃品業者は、人々が "廃棄物 "とみなすものを回収し、それらの材料をリサイクルして再利用し、その材料を使用する企業に転売しています。代表のHj.Zulkilfil氏は2022年にこのビジネスを始めたばかりですが、廃棄物から約20〜30%の利益を得ることに成功しています。彼は自分の裏庭と土地を使って事業を展開し、現在9〜15人ほどの従業員を雇用していますが、2024年までにはさらに事業を拡大し、200人ほどの従業員を雇用する予定であるとのことです。
(写真:見学の様子)
この廃品業者では、金属(アルミニウム、銅、鉄など)、プラスチック、段ボールなど、さまざまなスクラップを回収しており、これらの材料は建設現場、製造工場、解体プロジェクト、自動車修理工場、不用品を処分したい個人など、さまざまな場所から来ています。
この施設の目的は、廃棄物を選別・処理し、リサイクルセンターや工業メーカーに販売できるようにすることであり、廃棄物の品質と市場性を向上させるため、洗浄、破砕、圧縮等の方法が行われています。
また、彼は主に個人から廃棄物を購入し、前払いで現金を提供しています。これは、"廃棄物"を持ってくる個人を惹きつける彼の戦略の一つであり、廃棄物を埋立地から切り離し、天然資源を保護し、廃棄物処理による環境への影響を軽減するため、リサイクル業界で重要な役割を果たしていることがわかりました。
(写真:プラスチックセクション)
(写真:段ボールセクション)
まとめ
このスタディツアーを通して、ロンボク島の廃棄物管理および環境教育の実情を学ぶことができました。現地に行く前の調査では、廃棄物管理も環境教育もほとんど手付かずのような状態であるという認識であったため、実際に州政府や市役所の担当者と話し、レポートを見せていただいたことで、彼らなりに環境問題に取り組もうとしている姿勢を見ることができました。しかしながら、街中を見れば、川や道路にゴミを捨てている人を見かけますし、マタラム市内の川の様子は残念ながらひどいものです。住民の意識が向上し、分別することによって、これらのゴミが処分場に向かったとしても、現状の処理能力では、対応することが不可能であり、マゴットセンターおよび高倉式コンポストの活用により、政府レベルおよび地域レベルでまずは廃棄物量の60%を超える有機物の処理が優先事項であるのは明白だと感じました。それに加えて、ごみ銀行や廃品回収業者と協力し、プラスチックや金属などの固形廃棄物のリサイクル率を上げていくことも重要であると思います。海も川も山も美しいロンボク島の風景を守っていくためには、上記の訪問先に加え、大学やメディアなど様々なステークホルダーが協力し、環境教育と廃棄物管理が適切に行われればと思います。
NPOゆいツール開発工房の皆様、今回は大変お世話になりました。
このようなスタディツアーを組んでいただき、誠にありがとうございます。
いつかロンボク島の川にごみが流れることがなく、綺麗な川となり、生物たちが垣間見え、子どもたちが遊ぶ、そのような場所になってほしいと思います。
吉野高幹、水村紗英
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NPO法人ゆいツール開発工房(ラボ)