Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

カップル誕生(仮)

2014-05-09 01:00:00 | 雪3年3部(防御壁~グルワ発表前日)
蓮は先ほど教えてもらった道順を辿って歩いて行くと、開けた通りに出たのだった。

姉ちゃんの大学‥と小さく呟きながら、蓮はキョロキョロと辺りを見回す。



周りには自分と同世代の学生が沢山歩いているが、蓮はどこか自分が浮いた存在である気がして立ち止まった。

真面目に大学に通う彼等と違い、本来在籍すべき大学から逃げて来た自分‥。



正しい道を真っ直ぐに歩む学生達を見る度、劣等感に苛まれていく。

蓮は溜息を吐きながら、首に手をやり俯いた。

クソッ‥また無駄にここに来ちゃったけど‥憂鬱だなぁ‥



しかしここまで来たからには、姉か恵に会う他無い。

そしてすぐ頭の中に恵の顔が思い浮かぶが、彼女と会ったところでお金も無いし、

顔を合わせたらなぜかすぐケンカになってしまうことを思って蓮は悩んだ。



すると蓮の後方から、彼の名前を呼ぶ声が聞こえる。

蓮が振り向くと、切羽詰まったような表情で、小西恵が駆け寄ってきた。



その場で蓮は恵に声を掛けようとするが、恵は蓮の腕を取ると早足でその場から離れようとする。

「行こ行こ!」 「ちょ、何なの?」 「いいから!」



蓮が戸惑っていると、二人の後ろから野太い声が聞こえた。恵の名を呼んでいる。

「めっぐみちゃ~ん!ちょっと待ってよ~!」



蓮が振り返ると、大きな男が恵を呼びながらこちらに向かって駆けてくる。柳瀬健太だった。

健太を初めて見た蓮は疑問符を浮かべ、その蓮の横で恵は閉口した。

しかし健太は構わず、恵に向かって大きな身振りを交えて話し始める。

「ほんっと~に悪かったよ!この通り!俺が誤解してたみたいだ。謝るから!な?!」



健太は先程、恵が青田淳にフラれたものだと思って慰めの言葉を口にしたのだった。

それが恵の怒りを買い、慌てた健太は逃げる恵の後をずっと追いかけてきた‥。


暫し謝り倒していた健太だったが、恵の隣に居る蓮を見て「友達?」と気にする素振りを見せた。

しかし恵はそれには答えず、迷惑そうな素振りで口を開く。

「分かりましたから。もういいです。大丈夫ですから」



しかし健太は「口先だけの謝罪なんて男がすたる」と言って、尚も食い下がってくる。

その度に言葉を返す恵の横顔を見て、蓮は今の状況がどこか不穏なものだということを察知した。

 

蓮は恵に、「何かあったの」と声を掛けるが、恵は「何でもない」と言って息を吐くだけだ。

そんなやり取りを、健太が訝しげな表情で見ていた。



そして健太はまるで縄張りを誇示する雄の獣のように、蓮をけん制する。

「誰?恵ちゃんと同じ学科の友達?

悪いけど俺等ちょっと話あるから、席外してくんねーか?」




目を丸くした蓮を見て、恵が健太に向かって口を開く。逃げまわってばかりでは解決しない、と恵は踏んだのだった。

「先輩。もう本当に大丈夫ですから。あたしはこれ以上先輩と話すことなんて無いんです。

あたしは確かに自分の気持ちを伝えたのに、ずっとこんな‥」




健太の目を見ながら、恵は真摯な気持ちを口に出したのだが、それ以上は続ける必要が無くなった。

というのも、隣の蓮がとんでもないことを言い出したからである。

「‥違いますよ。俺はこの大学の学生じゃないです。

俺は恵の彼氏っすよ? そちらこそどなたですか?」






「‥‥‥‥」 「‥‥‥‥」



突然の蓮の告白に、健太は勿論恵まであんぐりと口を開けた。

何か言い返そうとした恵であったが、不意に蓮が意味ありげな視線を彼女に送る。



”これは一つの芝居だ”と。

恵はその蓮の意図を汲み取り、蓮に腕を絡ませ彼に密着した。

「そ、そうなんです~!あたしの彼氏なんですよ!」



Yeah!とウインク&ピースする蓮と、頭を彼の肩に凭れかけて微笑む恵‥。

そんな二人を前に、健太はあからさまにショックを受けた。オロオロと両手を震わせている。

「ど‥どうして‥!」

「どーしたもこーしたも、付き合ってるんす。いちいちそちらに報告する義務でもあるんすか?」



すっかり蓮も強気である。

「分かったら今後むやみに連絡しないで下さいね?」と、ハッキリその意志を口にする。



恵は引き攣った笑顔を浮かべながら二人のやり取りを静観した。気分はヒヤヒヤである。

すると健太は動揺に震えながら、少し引き気味に恵に向かって口を開いた。

「あ‥ありえねぇ‥。フラレてすぐにもう新しい男を‥」



またしても健太の口にした”フラレ恵”に、恵はブチッと来た。

「フラレてないですってば!新しい男だろうが古い男だろうが、あたしの勝手でしょ!!」



そんな怒れる恵の肩に蓮は手を置き、「怒らない怒らないと彼女をなだめた。

そして恵と肩を組むと、二人は軽い足取りで健太に背を向ける。

「ご飯でも食べに行こうぜ~!新しい男が美味い店に連れて行ってやる

「あら~それは楽しみね~行きましょう~」



少しぎこちない芝居(特に恵)ではあったが、二人はそのまま連れ立って歩いて行った。

仲の良さそうな二人の後ろ姿を見ながら、健太の血の気が引いていく‥。

  


そして二人は健太から見えないようにして、ヒソヒソと話始めた。

「ちょっとアンタ‥気でも狂ったの‥?」

「クックック‥どーよ俺の演技力?だってお前マジでビビってたじゃんよ」



蓮は雪の言っていた”面倒な先輩”というのが先ほどの男ということを知り、

恵はそんな”面倒な先輩”でも雪の先輩なので、無下に接することが出来なかった、と説明する。



健太が見えなくなってから、二人は肩を外して歩き出した。

「助けてやったんだからメシ奢ってよ!さっき美味い店調べたんだ」

「ったく‥分かったわよ」



「なぁなぁキンカン、お前アメリカの美大に留学考えたりしねーの?‥」

二人は軽く小突き合いながら、カップル(仮)として歩き出す。

蓮の心に巣食っていた憂鬱は、いつの間にか消えてなくなっていた。


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<カップル誕生(仮)>でした。

つきまとう男を遠ざけるためにカップルのふりをするなんて、なんて少女漫画チックな‥!

主人公カップルでは見られない純粋なこそばゆさが蓮と恵にはありますね‥。

カップル(仮)の仮は取れるか?! 注目でございますね~^^


次回は<彼女の潜在意識>です。


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