この日のスタートは、再び我が家にほど近いお寺から。
真っ直ぐな参道の先にあるのは.....
さて。
ぼちぼちとお送りしてきました、十二年に一度の、大イベント。
『旧小机領子年観音霊場』巡りの様子ですが。
実は前回書いた十四番寺までは、そのペースは、
二人がそれを思い立ち、巡礼を実行し始めてから十日あまりの間に、
ちょこっと時間を見つけては各お寺をポツポツ訪れるという、
そんなスローなものでありました。
十五番【西方寺】<開創・鎌倉時代初期>
新羽と呼ばれるこの地には、もともと観音堂があって、平安時代より、
守り本尊として信仰されていたとか。
鎌倉時代に鎌倉の極楽寺が兵渦に遭って焼失した際、同寺の塔頭寺院であった
西方寺も巻き込まれ、そこから逃れた僧が、この地に寺を移築したらしい。
山門、本堂、鐘楼共に見事な萱葺き屋根のこちらは、横浜市の文化財。
本堂は平成19年に解体修理を終え、創建当時の姿に復元された、とのこと。
が、GW後半突入と共に、その様子は一変。
5月4日、5月5日、そして6日と、
愛用の自転車を駆っての強行軍は、ペダルを漕ぐ腿の悲鳴を無視し、
怒涛のペースで進むのでありました(笑)
ちなみにこの本堂内には、
300年前に狩野派の絵師によって杉戸に描かれた襖絵があって.....
そこに初めて足を踏み入れた我々は、一瞬にしてその美しさに圧倒され、
鳥肌が立ったまま、しばし動けなくなってしまいました。
天女の絵ももちろん美しかったけど、
何より感動的だったのは、描かれた鳥たちの姿の生き生きしたこと!
襖絵だけでなく、天井も見事!
何から何まで美しい
幸い、その大部分は暑くもなく、寒くもなく、陽射しも強くない、
ちょうどよいお天気に恵まれた(一部雨)こともあって、
これはもしかすると観音様が「まったくこの二人は仕方がないのう」と、
そんな風に見守って下さったからなのかもしれません。
そういえば、この旧小机領近辺には、横浜市指定の名木や、
樹齢の想像もつかないような古木も多く見られました。
この樹もすご~い!
十五番さんに名残を惜しみつつ、向かうはほど近い十六番。
とにかくこの、走行距離が60キロにも及んだ5月4日は、
その道中に勾配が多かったことも含め、非常に厳しく、
またそれだけに楽しいものであったのです(笑)
十五番から自転車で3分。
こちらもまた長い参道が続くのが.....
十六番【専念寺】<開創天正十二年>(1584年)
一番寺泉谷寺の六世により開創されたこのお寺は、緑多く、
それは山や畑の多いこの地域を象徴するかのよう。
開創当時はもう少し小机寄りの亀甲山にあったという話も。
ちなみにこの亀甲山、かつてあの太田道灌が陣取り、
小机城を睨んだという、そんなエピソードも持っています。
旧小机領三十三所観音霊場の分布は、北は川崎市麻生区まで、
東は横浜市鶴見区、南は西区....
西は神奈川県町田市までと、自転車で周るには結構広く、
各お寺のある場所は、大きな街道添いから、細いあぜ道、山道まで、様々です。
お寺には、木造建築の宿命である火災による被害を受けたところも多く、
こちらもまた、天保八年に堂宇を焼失してしまったとか。
その後、天保十四年に再建され、
昭和四十五年には天保八年以前の位置に移築復元。
時に、人と車の往来を縫って、時に川沿いをひた走り、
地図を出しては(←ガイドブック付録)「あっちだ!」「いや、こっちだ!」と、
時に寄り道したりなんかしながら、旅路は続きます。
あれ....?
何か手に持ってる。
この日、目指すのは、我が家から程近い場所にある十五番寺から、
十六、十七、十八、十九、二十、二十一、二十二、二十三、二十四番のお寺まで。
番号順とルート、お寺の閉門までの時間を考え合わせて、
横浜市港北区、都筑区、青葉区、川崎市麻生区、そしてまた青葉区と抜けるのに、
それがベストに思えたからです。
小ぢんまりしてきれいな観音堂
......が。
予定というのはあくまで予定に過ぎないわけで....(笑)
この日我々は、旅&巡礼の醍醐味というものを、思いっきり味わうのであります。
ちなみに、十六番さんを出たこのときになってようやく我々は、
納経帳の付録ガイドブックの地図では、
あまりに心もとないことに気づきます(爆)
と、いうことでここで横浜市の地図を買って...
持参したおにぎりを頬張り、作戦会議(←今さら!?笑)
こちらがそのガイドブック付録の地図。
細かい記載はないけれど、各お寺の位置関係を把握するにはこれが便利!
この大きさだと文字が見えづらいので、写真にあらためて番号をふってみました。
これを見れば、各お寺を番号順に周ろうとすると、行ったり来たり、
または回り込んだり、というくり返しになるのがよくおわかりになるかと...(笑)
ちなみに白い点が我々の拠点です。
そう。
ある意味、旅はまだ、始まったばかり(笑)
ってことで、まだまだ続きます。
十五番 【西方寺】 横浜市港北区新羽町2586
十六番 【専念寺】 横浜市港北区新羽町1578