分裂病の精神病理5(東京大学出版会)に掲載されている山中康裕医師の
論文などでは、プレイセラピーや様々な療育の中で、治療者と自閉症児とが
視線が合わない、関わりが持てない、というところから、様々なことを経て、
自閉症児が治療者に背後からそっと腰や背中に触れる、などを経て、
身体的に密着するなどをして、そこから治療者に噛みつく、引っ掻く、叩く
などの攻撃性を向ける段階が有るとのことである。
それを治療者が受け止めた後に、象徴的な遊戯に移行して、自己を形成していくとのことだ。
クライエントが小さな子供の場合ならばともかく、ある程度大きくなった場合、
そのような事をするのは難しいのではないだろうか。
多くの臨床家がしているように、夢や描画などの前言語的なところを含むことで
関わる事になるのだろうが、そこには物理的身体や直接的な攻撃性が含まれにくいことから
治療、療育は進展しにくいのではないだろうか。