マチンガのノート

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「弱いロボット」岡田美智男著

2017-02-11 22:43:45 | 日記
ロボットもソーシャルへ

 著者は関西に転勤してきて、日常で周囲で繰り広げられる会話の中の
ボケとツッコミや、電車の中などで、お互いにノリは良いが何について話しているかも
よく解らないのにどんどん軽快に繰り広げられる会話を聞いて、
そのような関わりを引き出すきっかけとなるようなロボットについて
考え始めたそうだ。

ロボットというと、計画されたことを人の手を借りず自律して行動してやる、
人間には困難なことをやるなど「足し算の発想」で考える人は多いが、
逆に周囲の人に関わる気を起こさせたりするような「引き算の発想」により
作られた物はあまり無さそうだとのことだ。
そもそもホンダのASIMOの2足歩行でも、次の一歩がちゃんと地面に受け止められる事を
前提としているから成り立っているので、受け手としての環境が無ければ、
成り立たないとのこと。

そのような前提で著者が作った「む~」という胴体に目だけがある
ロボットを子供達の居る所に置くと、「お家はどこ?」「ねむいのかな?」
などと、子供から世話を焼き出すなどして、相互の拙い会話などでも
子供の側から何とか成立させようとしてきて、様々なソーシャルさを周囲から
引き出すきっかけになるとのこと。
そのように「ソーシャルさ」というのは誰かが設計、計画して
作られるものではなく、受け手があることで引き出されることだそうだ。