マチンガのノート

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自閉症の現象学  村上靖彦著

2017-09-18 23:56:23 | 日記
 哲学の立場からの、自閉症、発達障害と定型発達の
発達の構造の違いについての考察である。
医師や臨床心理士でないながらも、実際の自閉症、発達障害の子供に数多く関わり、
治療、療育関係者とも深いかかわりを持ち、発達の構造について考察している。
そして、定型発達を辿れなかった子供が、その後、いかに定型発達の子供に
近づく発達をするかの構造を観察している。
 これまでは自閉症、発達障害の治療、療育に関しては、ごく一部の
深い教育を長期にわたって受けたセンスのある人のする、
プレイセラピーや絵画、箱庭などを使った治療に関するものは、
平均的な人には読んだり聞いたりしても、解りにくいものが多かった。
しかしながら、このように発達障害と定型発達がどのような違った発達の仕方をするかの
構造がある程度解れば、深い知識と経験があるアドバイザーの関与のもとで、
ある程度の教育を受けた人がする日常的な療育、治療でも、
かなり良い結果につながるのではないだろうか。