システム現象学 オートポイエーシスの第四領域 河本英夫著 シンギュラリティは来ない

人間の体験は、身体の内的な態勢感覚、内的な運動感覚、
内的な身体感覚、触覚、視覚などがカップリングされて、
一つの主体の体験や経験となっていく。
カップリングが弱いと、解り易い視覚優位になるのだろうか。
発達に偏りがある人が、とても細かい風景画などを描くのも、
視覚と他の内的な感覚との結びつきが弱いために、空間や時間感覚が曖昧で、
距離的に近いのもは、音や振動、皮膚感覚や匂いなど、様々な点で自分に関わることが多いが、
遠いものは関わることが少ないという感覚を持ちにくいためだろうか。
そのような各感覚の結びつきを作るのに、言語や文字、数字、記号などが
シンボル機能を果たして、役に立つのだろう。
あくまでも様々な感覚の積み上げとしての経験や体験を基に
人間の推論能力や予測能力はあるので、表面的な記号や数字を主に扱う
コンピューターが幾ら演算能力が高くなったり、データベースが大きく
なったりしても、人間の知性のようなものは持たないだろう。