当時のカルテなどさまざまな資料を調べ、日本兵の戦争神経症のみならず、
当時の価値観や文化的背景、歴史などもふまえ、幅広く調査、検証している。
日本兵に戦争神経症は少なかったなどの俗説が流布した背景の考察も深い。
日本兵の戦争神経症がほとんど無視されていたことにより、
その後の精神医学、心理学で個人の体験、成育歴が
ほとんど無視されていた側面は大きいと思う。
後発の先進国の方が、様々な点で無理をして追いつこうとしていたことが
様々に極端な体制に繋がったのだろう。
36歳でこれだけのことを調べ、まとめるというのはすごいと思う。
直ぐに金にならない文系学部は不要との意見が、いかに浅いものかがよく解る一冊。
当時の個人情報を含む記録を行政側がマスキングしたものを閲覧しても、
これだけの事が解るというのは、公的文書の保存の大切さがよく判る。
軍部による敗戦時の文書焼却がなければ、さらに様々な事が
解っただろう。
焼却を免れるために、ドラム缶に詰め地中に埋めて、
保存をした医師たちの功績は大きい。
戦争とトラウマ 不可視化された日本兵の戦争神経症:中村江里 吉川弘文社
当時の価値観や文化的背景、歴史などもふまえ、幅広く調査、検証している。
日本兵に戦争神経症は少なかったなどの俗説が流布した背景の考察も深い。
日本兵の戦争神経症がほとんど無視されていたことにより、
その後の精神医学、心理学で個人の体験、成育歴が
ほとんど無視されていた側面は大きいと思う。
後発の先進国の方が、様々な点で無理をして追いつこうとしていたことが
様々に極端な体制に繋がったのだろう。
36歳でこれだけのことを調べ、まとめるというのはすごいと思う。
直ぐに金にならない文系学部は不要との意見が、いかに浅いものかがよく解る一冊。
当時の個人情報を含む記録を行政側がマスキングしたものを閲覧しても、
これだけの事が解るというのは、公的文書の保存の大切さがよく判る。
軍部による敗戦時の文書焼却がなければ、さらに様々な事が
解っただろう。
焼却を免れるために、ドラム缶に詰め地中に埋めて、
保存をした医師たちの功績は大きい。
戦争とトラウマ 不可視化された日本兵の戦争神経症:中村江里 吉川弘文社