マチンガのノート

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居るのはつらいよ 東畑開人 医学書院 感想

2022-04-20 21:51:11 | 日記

本書は著者の「美と深層心理学」の続編としても位置付けられる一冊です。

「美と深層心理学」では、クライアントとともに表面に留まり続けて、

表面と内側、外側を生成していくことについて書かれていましたが、

本書では著者が就職した先のデイケアで、不用意に相手の内面に関わって状態を

悪化させてしまうという事がまず最初に描かれています。

大学の相談室や街の診療所でカウンセリングなどをしている場合、

結構起きることなのでしょう。

様々な相談室やカウンセリングセンターなどに勤務する心理士などとは、

全く違う困難な成育歴を持った人はかなりいるでしょうが、大学院を出て

心理士などになった人には、そのような人のことは想像もできないのでしょう。

入院施設の有る病院に勤務している医師や心理士ならば、不用意に関わられたことにより

不安定になり、入院した人もかなり見ているのでしょう。

ほとんどの医師や心理士にとって想像できる相談内容というと、学校のことや

仕事のことなどでしょうが、そもそも学校どころではない家庭に育った人のことは

想像できないでしょう。

その事を考えると、最初に著者が不用意に関わった事で相手が不安定になるというケースを

持ってきたことは、構成上うまくやっていると思いました。

本書はコミック版も出ているので、気軽に読みたい方はそちらもいいと思います。

コミック・シーモア 居るのはつらいよ