佐渡にいると、無性に文化的というほど大げさではないけれど、そういうものに触れたくなる。例えば、デパート、ブティック、映画、展覧会・・・
横浜に住んでいるときは、そういえばそんなのやってるね、ってな具合でいつでも行ける感覚があったから、焦燥感とか飢餓感などなかったが、佐渡ではそうは行かない。
なまじネットとかで情報を探すから、特に探さなくても目に入ってくるから、佐渡じゃあ行けない!と、時に絶望的にすらなってくる。
私のように「足るを知る」になれない人間にとっては、なおさらで。
で、横浜行きの日程が決まると、もう必ずそういう予定を立てる。
観たい展覧会は期間が長いから次回でもいいなとか、天気予報では雨が続きそうだから屋内関係にしようとか・・・
そんなこんなで、今月は映画鑑賞にしようと決めた。観たい映画は2つ。どちらも上映期間及び上映館が限られている。
そのひとつ『おくりびと』
上手く間に合ってよかったとしみじみ思えた作品だった。
私には両親を送るという大仕事が待っている。現実になっていないうちから、そういうことになったとき私は耐えられるかとちょっと不安だったが、ああそのようにも思えるのかと、肩の力が抜ける思いがした。
本木君がナレーション?モノローグ?で、初めて社長の納棺の様子をみたとき、「静謐で美しい」というようなことを言ったが、映画そのものがそうだった。
饒舌でない、説明しない映画。それでいて伝わってくる。
納棺師という仕事に強く反対した妻が、夫の父の納棺に際し、
「夫は納棺師です。」と紹介することで、夫の仕事を受け入れたなと暗示する場面など並でない。
初めて脚本を書いた放送作家「小山薫堂」の名前にこれから注目しよう。
それにしても本木君、端正だ。佇まいの美しさは非の打ち所がない。
この映画にピッタリだ。よくぞと思う、思うんだけれど・・・なんか、青い血が流れ出すようで、もっと人間くさくあってもいいかなと。