京都には何回か旅行している。
若い時は雰囲気を味わえば十分満足で、回った神社仏閣も建物や周囲の風景を見ておしまい。
うーんいいわ、なんて行った気になっていた。ま、今もそんなに変わらないけれど。
そんなだから、三十三間堂とか建仁寺とか東寺など、市内のど真ん中にあるお寺には全く興味がなかった。
東寺
それが。やはり年は重ねるものね、ここ1,2年はそれらのお寺を訪ねてえらく感激しているのよ。
仏像やお庭に。しみじみしたりして、いやほんと。
だから今回の展覧会もとても楽しみにしていた。
「東寺講堂」で21体の立体曼荼羅を拝見していたが、それとは別に「国立博物館平成館」で
360度ぐるりと美術品として堪能できるなんて贅沢そのもの。わくわくするわけよ。
平成館は、これまでも仏像などの立体物の展示方法がとても優れている。
それにライティングが効果的で、展示品がより迫力をまして存分に味わうことができる。好きだわ。
12時を回っていて、入場まで20分待ちぐらいだったかしら。日曜日ということを考えれば上出来。
「密教は奥深く、文章で表すことは困難である。かわりに図面をかりて悟らないものに開き示す」
と空海は語っていると。密教ではイメージの力を重視、その到達点が講堂の立体曼荼羅だそうで。
そして、空海は病気になった人をたとえに出して、
「今までの仏教は、薬の効用を説くだけだけれど、密教は処方箋を書いて薬を処方してくれる」とのこと。
TVぶらぶら美術館はすごいね、仏教に全く興味のない私にまでこんなことを教えてくれるんだから。
他の展示物はすっ飛ばして立体曼荼羅だけ。全部国宝(如来像以外)と重要文化財。
21体のうち15体が展示されているとはすごいとしか言いようがない。
全15体。真ん中は「帝釈天騎象像」
その美形の「帝釈天騎象像」だけ撮影OKだから撮りまくりましたよ。もう「すごい」の言葉しか出てこない。
「帝釈天騎象像 搬出映像」がyoutubeにあがっていたので。1日1体梱包して搬出するのが精いっぱいだそう。
もう悟りを開いてしまった如来像はこの際置いとくとして、お気に入りはやはり明王像や持国天立像。
憤怒のお顔や踏みつけている姿なんか、私もそんなことをやってみたいというレベル。迫力満点。
「持国天立像」お尻の大きさだけ私も負けなかった
「隆三世明王立像」シヴァ神夫妻を踏みつけているのよ。
美術品造形物として観賞すると、ほんとうに満足して十分堪能しました。
ただ密教の教えを伝えることに関すると、
何も分からないながらじわっと迫ってきた東寺で拝見したときの方が勝るかしら。
いやあ、それにしても疲れました。