徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

野口雨情と“よへほ節”

2012-01-07 23:31:28 | 音楽芸能
 毎年8月山鹿市で行われる山鹿灯籠祭で主に歌い踊られるのが「よへほ節」。明治時代の初期頃から歌われ始めたといわれるが、現在歌われている歌詞は昭和8年(1933)に野口雨情によって改作されたものだ。オリジナルはというと下のように、随分と下世話な内容になっている。湯の町山鹿を象徴する唄にすべく、大作詞家・野口雨情に改作をお願いした先人たちの思いはよく理解できる。新民謡の創作や揮毫行脚などで熊本にも度々訪れていた野口雨情にとっても興味ある仕事だったろう。ところで「よへほ」の語源については、熊本弁の「酔え(へ)、ほー」からきたのではないかという説が有力のようだ。「ほー」というのは熊本では他人に何かを促す時によく使われる言葉だ。つまりお酒を勧めているわけだ。そのことから、この唄はもともと酒席、いわゆるお座敷唄として歌われていたらしいという。だから当然歌の内容も下世話なものだったのだろう。この唄をちょっぴり上品にリメイクし、山鹿伝統の燈籠祭と結び付け、さらに戦後になって女性の頭に燈籠を乗せた灯籠踊りを考案したことが、山鹿灯籠祭を今日、全国区の祭りに押し上げた。その起点は野口雨情による改作だったということができるだろう。

【現在のよへほ節】
ぬしは山鹿の骨なし灯籠 ヨヘホ ヨヘホ 
骨もなけれど肉もなし ヨヘホ ヨヘホ
洗いすすぎも鼓の湯籠 ヨヘホ ヨヘホ 
山鹿千軒たらいなし ヨヘホ ヨヘホ
心荒瀬の蛍の頃に ヨヘホ ヨヘホ
溶けし想ひの忍び唄 ヨヘホ ヨヘホ
山鹿湯祭り月さえおぼろ ヨヘホ ヨヘホ
花は夜桜袖に散る ヨヘホ ヨヘホ
袖にほんのり湯の花も香る ヨヘホ ヨヘホ
山鹿湯の町 忘らりょうか ヨヘホ ヨヘホ
肥後の小富士を 吹き来る風に ヨヘホ ヨヘホ
立つは浮名と 湯のけむり ヨヘホ ヨヘホ
山鹿灯籠は 夜明かしまつり ヨヘホ ヨヘホ
町は灯の海 人の波  ヨヘホ ヨヘホ

【オリジナルのよへほ節】
ぬしは山鹿の骨なし灯籠 ヨヘホ ヨヘホ
骨もなければ肉もなし ヨヘホ ヨヘホ
裏の山椒の木や仏か神か ヨヘホ ヨヘホ
忍び男のかげかくす ヨヘホ ヨヘホ
今宵忍ぶなら裏からおいで ヨヘホ ヨヘホ
表くんぐり戸ガラガラチャン音がする ヨヘホ ヨヘホ
裏の窓からこんにゃく投げて ヨヘホ ヨヘホ
今夜来るとの知らせかな ヨヘホ ヨヘホ
逢ひに来たもの何のただかへそ ヨヘホ ヨヘホ
裏の割木でどやてやれ ヨヘホ ヨヘホ
松の枯葉アレ見やしゃんせ ヨヘホ ヨヘホ
私もあの世に二人連れ ヨヘホ ヨヘホ