徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

なぜ山田洋次の映画を愛してやまないのか・・・

2012-01-09 22:40:27 | 映画
 今夜のBSプレミアム「山田洋次 50年の時が過ぎて(前編)」を見ながら、僕はなぜ山田洋次の映画が好きなのだろうかとあらためて考えていた。「男はつらいよシリーズ」を始め、「息子」「家族」「故郷」「同胞」「幸福の黄色いハンカチ」「遥かなる山の呼び声」「たそがれ清兵衛」「学校シリーズ」等々、数え上げればきりがない。よく言われるのは「山田映画には失われつつある日本の原風景が映っている」とか「その時代、時代が切り取られて映り込んでいる」など。ただ、山田監督に言わせれば、時代を切り取るとかの意思はなく、ただ面白い映画を作ろうと思っただけだという。僕にはもう一つ、重要な要素があることに気が付いた。それは、自分自身のこれまでの人生と見事なまでにシンクロしているのだ。「男はつらいよ」第1作が公開されたのが1969年、僕が社会人になった時期と一致する。そして上に挙げたような各映画の中には、僕が右往左往しながら社会人として歩き始め、やがて結婚して家庭を作り、子供ができ、家族帯同しながらの転勤、家族との別離などといった人生経験を思い起こさせるシーンが、その時代背景とともに描かれているのである。それはきっと僕に限らず、高度成長期からバブル時代、そしてバブル崩壊へと移り変わる時代に生きてきた人たちに共通する想いなのかもしれない。齢80を数える山田監督が次はどんな社会や家族の姿を描いて見せてくれるのかとても楽しみだ。

映画「同胞(はらから)」(1975)より倍賞千恵子さんが歌う「ふるさと」