徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

加勢川と「五足の靴」

2023-12-24 21:40:40 | 文芸
 今日は久しぶりに県立図書館で文献探しをした。目的に沿う文献は見つからなかったので、図書館裏の加勢川沿いの道を散策した。水前寺から流れ出て来た水は相変わらず青く澄んで、ただ眺めているだけで時の経つのを忘れてしまう。
 川面を泳ぐマガモを見ているとふと「五足の靴」を思い出した。「五足の靴」というのは、明治40年7月から8月にかけて、歌人与謝野寛が、まだ学生だった木下杢太郎、北原白秋、平野万里、吉井勇の4人を引き連れ、九州を中心に各地を旅した時の紀行文「五足の靴」のことである。その中で「勢舞水楼(せんすいろう)」という料亭から屋形船に乗り、江津湖の涼を楽しむくだりがある。僕が川面を眺めていた場所がかつて「勢舞水楼」があった辺り。船上には二人の町芸者が呼ばれ、民謡「おてもやん」を披露する。そんな場面を空想しながらひと時を過ごし、あくまでも青く澄んだ流れを後にした。 


清流を泳ぐマガモたち


水草の上にたたずむサギ