雑感日記

思ったこと、感じたことを、想い出を交えて書きたいと思います。

『止める』 ことの奨め

2008-10-23 04:11:40 | 発想$感想
にほんブログ村 シニア日記ブログへお手数ですが、ちょっとクリックして頂けますか


昨日、お役所の印刷物に関連して『止める』ことをお奨めした。

私は現役のころ、特に国内の二輪車販売を担当する期間が長かった。
二輪車の販売は、同じ自動車工業会に所属はしているが、四輪とはまったく異なる。
二輪車の販売は、販売網と言うネットを使っての販売である。
所謂四輪のようなユーザーへのセールスはいないのである。
営業マンというのは販売ネットの担当者である。

営業マンが遊んでいても自然に売れる、「トータルの仕組み」を作るべきである。
いい車を開発し、いい販売ネットを作り、ユーザーが求める機能にいかに対応でいるかを常に考えるべきだ思っていたし、そればかりをやってきた。

だが、一般に日本では楽して売るというと、どうも受け入れられない風潮がある。
一生懸命営業が努力すれば売れるなどと思うのは錯覚なのに、そう思いたがるのである。
モノが売れたり売れなかったりするのは、常に競合商品とのトータルの競争力の結果であって、個人の努力など小さな要素でしかない。



一番の問題は、日本独特の問屋制度から来ている旧い遅れた流通構造をどうするか?
流通構造と販売網をどのように効率的に作り上げるかが命題であった。
40年間、いろんなものを『止めて』その上で、止めて浮いた費用の幾らかを思い切り使って、新しいシステムを作ることの連続であった。
カワサキは大中型車が中心だったので他社に比べてやりやすかった面もあるが、流通対策面では、ずっと業界のトップを走ってきたと思っている。

40年前にあった各県ごとの問屋、代理店をまず止めて、営業所にしたのが始まりである。
何千店もあった自転車店を中心とする販売店を、二輪車専門の店に絞った。
最初の大阪での特約店制度では、500店とも600店とも言われていた取引先を二十数店に絞って他はすべて取引中止をしてスタートするドラスチックなものだった。1972年のことである。
そういうシステムにした上で、50店ぐらいにまでに増やしたのだが。


これらは基本的に、国内の二輪市場が大きくは増大しないむしろ縮小気味なのに、
国内の一般経済はどんどん大きくなって、売上高も給与も人件費も4年か5年で2倍になるという状況下での、二輪経営対策であった。
振り返って考えてみると、国内の二輪事業の効率化対策は、現在の少子高齢化や一般の経済環境とは比較にならぬほど厳しかったのではと思っている。

代理店から、直営の営業所へ、更に広域化による統合、営業所の廃止。
末端での部品在庫の廃止、などなど『止める』ことによって何とか効率化し経営を支えてきたのだと思う。


逆に考えると、日本の一般の流通網は世界に比べて、数段階多いのである。
業界に携わる人たちを食わすために、その費用を末端ユーザーが負担しているのである。

例えば、アメリカではあの広い国土なのに、二輪の販売拠点はロス近郊に1拠点あるだけである。その次は販売店そしてユーザーである。営業は全米に何十人かはいたがみんな自宅からの営業で営業所など拠点は皆無である。
これは40年前からそうだった。

日本の流通機構は、大都市に支店、県に営業所、出張所などは、今でも普通の業界も多い。
ユーザーにサービスするという名目で実は系列業界の人たちを養っている構図だと思っている。
日本はなんだかんだと、理屈は言うが、ユーザをコケにして身内、仲間、業界の満足を追求する護送船団方式である。
今頃やっと消費者庁などと言っている。

ユーザーは購入価格の中でそんな経費を負担さされているのである。
中に存在する人たちは『どんな機能』を分担しているのか、明確に認識すべきだと思う。『機能を分担していないもの』は即刻止めるべきである。


どちらかと言えば、国内の流通機構の中で、先端を進んだ大型二輪車の流通気候ではあるが、こんなネット社会になっているのに、この15年間殆ど変化がない。
もう少し、革新的な流通機構対策が必要だと思っている。
本当に『ユーザーが求める機能』に対応しているのだろうか?
不必要なことまでやっているのではないか?


基本はあくまでも、『消費者の満足』=Consumer Satisfactionであって
『顧客得意先の満足』=Customer Satisfaction であってはならぬと思うのだが、
日本の場合のCSは後者の場合が圧倒的に多いように思うのである。
英語の訳語も堂々とCustomerと無意識のうちにそう使っているところが殆どである。

まだまだ『止められることは山ほどある』

『節減や効率化』は口先だけである。直ぐ元に戻ってしまう。
戻れないように、止めたら二度とその経費は発生しないのである。

『新しいことをする財源』は、止めれば幾らでも出てくるのである。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする