OMOI-KOMI - 我流の作法 -

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9割がバイトでも最高の感動が生まれる ディズニーのホスピタリティ (福島 文二郎)

2012-03-28 22:36:37 | 本と雑誌

Its_a_small_world  先般、同じ著者の初の著作「9割がバイトでも最高のスタッフに育つ ディズニーの教え方」を読みましたが、本書はその第2弾です。

 今回のテーマは「ホスピタリティ」

 まずは、著者による「ホスピタリティ」の定義から。

(p39より引用) 日本語には「おもてなし」という美しい言葉がありますが、ホスピタリティに近い言葉だと思います。・・・
 ・・・本書では、よりわかりやすいように、ホスピタリティを、そのマインドも含めて「相手に対する主体的な思いやり」と定義して話を進めていくことにします。・・・もっと具体的にいえば、「自ら相手の気持ちになって、相手の立場に立って、共に考えてあげる気持ち・心」のことです。

 もうひとつホスピタリティに近い言葉として「サービス」がありますが、著者は、サービスには「お客様に対して必ず履行・提供しなければいけない」というニュアンスがあると考えています。この義務感に基づく行動では、お客様に「予想外の感動」を与えることはできないのです。
 ホスピタリティは「マインド」ですから、これを根源とした「行動」は、相手やシチュエーションに応じて様々な形をとります。そこにディズニーならではのオリジナリティが現出し、お客様に「予想外の感動」を与えるのだと著者は語っています。

 さらに、ディズニーでは、優れたホスピタリティ行動はキャスト全員に共有化されます。そして、マニュアルという形式知化によりサービスとして定着されていくのです。

(p94より引用) 「これはいいな」という言動や方法は、ルールとして規定され、みんなで共有し、守ります。
 ですから、ディズニーのルールは、キャストのホスピタリティ・レベルの進化に応じて、どんどん進化しています。

 ホスピタリティの進化は、「平等の向上」とでもいうべき姿勢によっても推し進められます。
 あるキャストが機転をきかせて自分の判断でお客様が喜ぶ行動を起こしたとします。このときディズニーではこう考えるのだそうです。

(p108より引用) これを上司が聞いて「何やっているんだ。ほかのゲストと平等にサービスしなければ苦情がくるだろう」などとは言いません。
 上司は、まずそのキャストをほめ、そして「どうしたらほかのゲストにも同じようにサービスできるのか」を考えるのです。

 ディズニーでは、上司・先輩・同僚が「すべての人にハピネスを提供する」というひとつのミッションに向かって行動しています。そして、それぞれの行動の誘因として「ホスピタリティ」というマインドが通底しているのです。

 本書の「あとがき」で、著者は、「ゲストにホスピタリティを感じてもらう」重要なポイントを繰り返し説いています。

(p206より引用) シンプルではありますが、やさしい笑顔、親しみのある挨拶、相手の存在を認めるアイコンタクト、そして相手が不快に思わない身だしなみ・・・
 まず、基本があり、そこから「ホスピタリティ」が生まれると考えたのです。

 このディズニーの「ホスピタリティ」は、ゲストに対する心からの思いやりの発露として、東日本大震災時の東京ディズニーランドにおけるキャストの行動に現れたのでした。


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心に太陽を持て (山本 有三)

2012-03-25 08:32:01 | 本と雑誌

Panama_canal_under_construction_190   同じような時期で中高校生を対象にした著作としては、吉野源三郎氏の「君たちはどう生きるか」が有名ですね。私もかなり以前に岩波文庫版を読みましたが、確かにとてもいい本だと思いました。今回手に取った本書もそれと同根の流れです。

 作者は、「真実一路」や「路傍の石」等を著した劇作家・小説家の山本有三氏。

 本書の内容ですが、終戦後、昭和31年に発刊された「新編・日本少国民文庫」に収録されていた作品をベースに精選、山本氏の加筆を経て22の小編として再録したものです。青少年向けの著作なので、人の優しさや勇気、努力の大切さなどがテーマとなっている作品が多いですね。

 パナマ運河の開削を指揮したゴーサルズ、人類初の南極点到達を目指したスコット、「ロウソクの科学」で有名なファラデーなど、有名な人物が主人公のものもあれば、「キティの一生」の主人公キティ・シーワードのように無名の一市民の生き方を描いたものもあります。

 中には、教訓の伝え方にちょっと変化をつけた作品も含まれています。

 「動物ずきのトマス」の主人公トマス・エドワードはスコットランドに生まれました。幼いころから無類の動物好きでしたが、その研究成果をまとめて発表するような能力には欠けていました。自分の好きなことだけに熱中して、基本的な教育をないがしろにしていたのです。トマスがようやく学問の必要性に目覚めたのは中年になってからでした。

(p150より引用) その熱心な態度はまことに見あげたものですが、この年になってからでは、もう遅うございました。生まれながらの動物ずきで、そのほうの天分は十分にありながら、少年時代にきちんとした勉強をしなかったために、このトマスは、これという業績をあげることもなく、さびしく世を終わりました。「すきこそ、もののじょうずなれ。」ということわざもありますが、ただすきなだけでは、大きくのびません。

作者のコメントは厳しいものです。やはり青少年を対象にした本ですから、若いころからの「学ぶことの大切さ」を伝える耳痛い教訓も加えているのです。

 ところで、本書に採録されている話はこういった人生訓的な内容のものばかりではありません。ところどころにユーモアやウィットに富んだ短文も挿入されています。
 それらの中のひとつ、ガリヴァー旅行記の作者として有名なスウィフトが登場する小話です。

 旅行中のある朝、スウィフトは、泥だらけの長靴を持ってきた下男を叱責しました。下男曰く。

(p199より引用) 「あいすみません。だんな様。でも、あらったって、おんなじことでございますよ。きょうも、また、どろんこの道をお歩きになるんですから・・・」

 それを聞いたスウィフトはそのまま出発しました。歩きに歩いて昼を過ぎましたが、スウィフトは昼食をとろうとしません。下男は腹ペコでこう言いました。

(p200より引用) 「だんな様、どこかで、お昼食をなさいましては・・・。」
・・・皮肉なスウィフトは言いました。
「なに、昼食だって。よせ、よせ。今たべたって、どうせ、また腹がへるにきまっているよ。」

 この逸話は現実にあったものか定かではありません。しかし、いかにも風刺作家たるスウィフトの面目躍如という感じがしますね。

 さて、最後に、本書を読んでの感想です。
 ともかく強烈に感じるのは、本書にかける山本氏の「情熱」であり「意欲」です。
 暗い戦時期は終わりました。これから将来あるこどもたちに対して、人道主義にもとづく優しい心とまっとうな生き方を伝えたいという山本氏の一途な気持ちが溢れ出ている小話集だと思います。


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絶対にゆるまないネジ―小さな会社が「世界一」になる方法 (若林 克彦)

2012-03-21 20:59:47 | 本と雑誌

Hardlock  従業員は50名弱の東大阪の中小企業・ハードロック工業。絶対に緩まないネジ「ハードロックナット」で世界的に注目されている会社です。

 本書は、同社の創業者若林克彦社長が語るとても興味深い体験談です。

 若林社長が説く中小企業における成功の秘訣は、「アイデアからオンリーワン商品をつくること」でした。

(p23より引用) これからの日本の製造業、さらに言えばそれを支える中小企業が、グローバル競争の中で生き残っていくためには、オンリーワン商品の開発こそが不可欠です。
 そして、オンリーワン商品を開発するために必要な資産は、高価な設備や高学歴の技術者じゃあないんですね。・・・
 そんなものは必要じゃありません。それよりも、あなたの頭の中にある“アイデア”こそが、オンリーワン商品を産み出すために必要な資産なんです。

 このアイデアを思いつくのも、顧客のニーズを知ることがスタートになります。

(p25より引用) 大企業のみなさんは、ユーザーがどんなことで困っていて、どんなニーズを抱えているのかを、それは一生懸命つかもうとされています。・・・
 ・・・われわれ中小企業も、ただ取引先から言われたことだけをやっていてはダメとわかります。言われたことだけやっていると、そのうち値引き要求という「価格競争」の世界に堕ちてしまいます。

 このあたりまでは、誰もが気づいていることですが、若林社長は、思いついたアイデアをすぐに形にしてみるのだそうです。メモに残す、図面に起こす、試作品を作る・・・、考えるだけではなく即行動する。この姿勢が決定的に違います。

 本書では、こういった若林社長の悪戦苦闘の軌跡が、さまざまなエピソードとともに語られていきます。その中で、ちょっと個人的に興味をもったところをご紹介します。

 1980年代前半、若林社長と営業担当であり実弟の関常務がハードロックナットを電電公社(当時)に売り込んだときの話です。
 電電公社の鉄塔には緩みが許されないボルト・ナットが求められていました。二人の熱心な売り込みが奏功して、電電公社の担当者がハードロック工業の本社工場を訪れることになったときの1シーンです。そのころの工場は貸倉庫を改造した小さなものでした。

(p120より引用) 「関さん、それに若林社長・・・」
 電電公社の方が言われました。
「工場が古くて狭いのはいいんですよ。問題は、生産管理や品質管理がまるでなっていないことです。このままでは発注することはできません」
 やっぱり取引中断か・・・。私も関もがっくりきました。
 さらに電電公社の方が続けます。
「ですから、われわれが指導しますんで、まずはマニュアルを整備して、その通りに品質管理を行ってください」
「えっ・・・教えてくれはるんですか!」
 私も関も驚いて聞き返しました。
「ハードロックナットそのものは素晴らしい技術ですから、われわれもぜひ採用したいんです」

 ちなみに、1980年代前半といえばちょうど私が入社したころです。いかにも当時の電電公社らしいやりとりですね。

 さて、若林社長自らの陣頭指揮による決して諦めない粘り強い営業努力とたゆまぬ商品改良のおかげで、ハードロックナットは「大ヒット商品」となりました。そして、さらに様々な困難を乗り越え「ロングセラー商品」へと育っていきました。とりわけ中小企業にとっては「ロングセラー商品」の有無がまさに死活問題となります。幹となる商品を持たないと安定的な経営ができないのです。

 「ロングセラー商品」を産み出すための最も重要なポイントは何か、それは「情熱」だと若林社長は考えています。

(p136より引用) 最も重要なことは、・・・「開発者が情熱を注ぎ込むこと」です。実際・・・新製品というのは、どんなに優れたモノでもマーケットを生き抜くだけの力をもっていません。商品に魂を吹き込んでやるのは、やっぱり人なんです。
 人が自分でつくった商品に惚れ込み、「自分の力で絶対にこの商品を世に出すんだ」という気迫で臨まないと、商品に魂は入りません。

 ハードロック工業では「開発」はもちろん「営業」も自前です。安易に販社に頼りません。地道に諦めず、自分たちの力で挑戦し続けた努力が、輝かしい結果をもたらしたのです。

 最後に、本書を読んで、改めて心せねばと感じたくだりを書き留めておきます。

(p112より引用) 人生においても、嫌なことから逃げずに、前向きに「これは自分を成長させてくれるための試練なんだ」と捉え、「ピンチをチャンスに変える」「逆境をチャンスに変える」という発想が本当に必要なのではないかと、私は心から思います。

 まさに、その強い信念で、0(ゼロ)からのスタートでオンリーワン商品を開発し、世界的にも賞賛される優良企業をつくりあげた若林社長の言葉だけに、その重みには格別のものがあります。


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プロの知的生産術 (内田 和成)

2012-03-18 09:49:59 | 本と雑誌

Kyodai_card  著者の内田和成氏は、現在は早稲田大学ビジネススクール教授です。

 数多くのビジネス書を執筆していますが、それらの著作で示された示唆やアドバイスは、前職のボストンコンサルティンググループでの豊富なコンサルタント経験を活かした具体的・実践的なものでとても参考になります。

 今回の内田氏の問題意識は、「情報活用」です。

 以前は、梅棹忠夫氏の名著「知的生産の技術」で紹介された京大型カードのように情報収集・整理力が他者との差別化のキーファクタでした。しかし、現代のようなネット社会においては、情報収集力では差がつかなくなりました。
 そういう時代背景を踏まえ、本書では、結果としての「アウトプット」のレベル向上を目指して、そのゴールに向けた手段としての具体的な「内田流情報活用法」が数多く紹介されています。

 本書での内田氏の主張によれば、情報活用は「手段」ですから、当然「目的」が重要になります。目的あっての情報です。

(p31より引用) 単に情報といっても、その仕事の目的が意思決定なのか何か新しいものを創り出すのか、決定したことをうまく伝えるなどのコミュニケーションなのかによって違ってくる。・・・
 情報とは単なるデータではなく、先に何を成し遂げたいかという仕事の目的があり、それに応じて決まってくるというのが、アウトプットを重視する知的生産術のそもそものスタート地点だ。

 目的を明確化した後、その目的に沿った情報収集に取りかかるわけですが、ここでも著者はユニークな提言をしています。「情報は集めるな、覚えるな、整理するな」。これもまた「情報収集を目的化すること」への警鐘です。

(p66より引用) 戦場のリーダーはある程度のところで見切って、今すぐ攻撃に踏み切るべきだとか、あるいは撤退すべきだとかを決めなくてはならない。決断をするためにどれだけの情報を集めるべきかという絶対の公式などはない。結局、どこで決断するかという、自分の線引きの問題だ。

 それでは、どうすればより少ない情報で精度の高い判断を下せるのか。それにはやはり「経験」しかないというのが著者の結論です。
 しかしこの経験の積み方にも内田流のアドバイスがあります。

(p67より引用) 「この前は失敗したので、前は30調べたのを今度は60調べてから判断しよう」とは考えずに、「じゃあ、同じ30の情報でどうやって前よりいい意思決定なり、よい企画立案ができるだとろうか」と考えるのだ。

 この視点の転換は、なるほどなと思いますね。
 この点をより明快に表したものとして、著者は、帝人の元社長安居祥策氏の言葉を紹介しています。

(p74より引用) 「経営者は、情報量が3割しかない段階で決断しなければならない。5割になるのを待っていたら遅い」

 ここで重要なポイントは「量」の議論に転化しないことです。どうすれば、3割の量の情報をより有益な情報ものにすることができるか・・・、情報の「質」を高めることに知恵を絞るのです。

 情報収集は「仕事」をするための「作業」のひとつです。作業の効率化が図られたからといって「仕事」ができたことにはなりません。
 著者は、仕事と作業の違いについてこう定義しています。

(p69より引用) 「ある目的を達成すること」が仕事であり、「その目的を達成するための手段」が作業ということになる。

 さて、本書を読み終わっての感想ですが、興味深い内田氏推奨の具体的な「情報活用術」が数多く紹介されているので、それはそれでとても有益でした。
 ただ、私としては、内田氏によって、「仕事へ取り組む姿」のToBe像を改めで提示された感じがしています。
 自分たちの役割(内田氏の言い方では「期待役割」)や仕事の目的に立ち戻って、自らの行動を見直すという「目的志向」の再認識です。


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官僚の責任 (古賀 茂明)

2012-03-16 22:48:18 | 本と雑誌

Mof  現職官僚(その後退職)が著した一種の告発本としてちょっと話題になった著作です。

 官僚は、その身分保障によりそれぞれの専門分野における長期的視野に立った政策立案が期待されています。ただ、安定した処遇故の組織防衛意識の蔓延、柔軟性・機動性の欠如等の機能不全を理由に、近年の「政治主導」とのかけ声とともにその役割は相対的に弱体化しつつあります。

 著者は、その中央官僚の実態を、自らの実経験を踏まえつつ顕かにしていきます。

 官僚主導の政策としてよく引き合いに出されるのが「増税」です。この国民に大きな負担を強いる重要政策の議論においては、政府のビジョンやシナリオの欠如は致命的です。

(p39より引用) 成長によって企業や個人の収益や所得が向上し、結果として税収を増やす―それが本来のやり方である。もしくは足りないぶんを補うための方法であるべきだ。
 ところが、日本政府が進めようとしているのは、そういう成長の可能性をいっさい示すことなく、「とりあえず」増税するということにほかならない。増税で財政を再建しようとしているのである。

 仮に増税により財政赤字が若干なりとも減少したとしても、それに続く成長戦略がなければ、再び債務が増加するのは当然の成り行きです。消費税増税で国民の消費意欲を減速させておきながら、法人税を抑えれば企業活動は活性化し業績は向上、日本経済は成長を取り戻す・・・、そんな単純なシナリオを信じる人はどこにもいないでしょう。

 さて、ご存じのとおり民主党政権は「政治主導」を最大のスローガンとして掲げました。

(p95より引用) 民主党は、「政治家がすべてやること」が政治主導だと考えた。官僚たちの上に立つのではなく、同じレベルに立って、あたかもライバルであるかのように競い合い、打ち負かし、「官僚を排除すること」が政治主導だとはき違えた。

 官僚を「従」の立場において、うまく活用するという発想がなかったのです。その結果、民主党の(というか個々の閣僚の)政治判断は迷走します。
 この点についての著者の評価は辛辣です。

(p98より引用) 民主党は所詮、その程度の能力しかない議員の集まりにすぎなかったと僭越ながら結論づけせざるをえないのだ。「人のやることにケチをつけるのは得意だけれど、いざ自分が当事者となったら、知識も判断力もまったく足りない人たちの集まり」なのだと・・・。

 ちなみに、こういった現実を早くに見切ったのが仙石由人官房長官(当時)だったといいます。

 さて、本書は官僚の世界の内部告発的内容ではありますが、著者は、この民主党に対するコメントにあるように、、同時に「政治家」も舌鋒鋭く糾弾しています。

(p215より引用) 消費税に踏み切るのが責任ある政治家だとの誤解があるが、そうではない。・・・既得権グループと闘える政治家こそ真の政治家なのだ。消費者と闘って増税することが政治家の本分などということは本来あってはならない。

 とはいえ、官僚を糾す力を持っているのは、やはり政治家なのです。そして、その政治家たちを動かすのは「国民の強い意志」なのだ、と著者は結んでいます。


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変化の時代、変わる力―続・経営思考の「補助線」 (御立 尚資)

2012-03-13 23:11:21 | 本と雑誌

Unicef  かなり前ですが、御立尚資氏による前著「経営思考の「補助線」」も読んでいます。
 本書も前著と同じく、日経ビジネスオンラインの著者の連載コラムをもとに加筆・修正したものです。

 本書のテーマは「変化」と「適応力」
 いくつもの参考になる指摘が見受けられましたが、その中から2・3、覚えに書き留めておきます。

 まずは、変化に対応するための「シナリオプラニング」に関するところから。
 シナリオプラニングについては、重要性は認めつつも、その実効については懐疑的な意見も寄せられています。その多くは、「シナリオ」そのものの「非科学性」に対するものです。この点について、著者はこう捉えています。

(p35より引用) 誤解を恐れずに言えば、シナリオは、科学的に、あるいは正確に将来を予測するということに価値があるのではない。その点で見れば、必ず「不完全」なものでしかない。それでも読む努力、結果を共有する努力、シナリオに応じて素早く対応できる仕組みを作っておく努力をするかしないかで、企業の生存可能性に大きな差が出るということのほうが、よほど重要であり、そのステップまで含めて、価値が出てくる類のものなのだ。

 策定するシナリオが、科学的・確率論的に精緻なものであることはそもそも無理だ、むしろ、想像力を働かせ、将来の世界観を「イメージ」や「ストーリー」で語るレベルでよいというのです。シナリオの精緻さを追及するよりも、それを踏まえた適応力をつけることの方が、現実的な変化への柔軟な対応を可能にするという考えです。

 次は、著者がアフリカの難民キャンプやスラムで聞いた「教育への希望」の声について。
 ケニアで回った食糧援助の現場3ヶ所で、著者は「食料以外にどのような援助を期待しますか」と問いかけました。その質問に対する彼らの答えです。

(p86より引用) 難民キャンプでは、次のような答えが返ってきた。
「自分たちの国は、自分たちの世代ではきっと復興に至らないだろう。ただ、ここにいる子供たち、ここでこれから生まれてくる子供たちの世代が、平和になった国に帰れるようになった際に、ソマリアの復興の役に立ち、かつ暮らし向きの良い生活ができるようにしたい
「ついては、難民キャンプの中での初等教育だけでは不足なので、中学、高校を作る、あるいは外の学校に優秀な子だけでも行けるように奨学金制度を作る、といったことを、是非お願いしたい」

 また、干ばつで家畜を失った遊牧民はこう語ったといいます。

(p86より引用) 「・・・仮住まいの定住地ではあるが、何とか、小学校教育を提供してもらえるよう助けてもらえないか」

 こういった極限の生活環境にあるアフリカの人々の切なる願望を、今の日本の教育現場や生徒・学生はどう感じるのか、大学生・高校生の子どもをもつ私自身としても大いに考えさせられるところがありますね。

 最後に、第一次南極越冬隊隊長だった西堀榮三郎氏「変化に対応するための姿勢」についての言葉をご紹介しておきます。

(p286より引用) -雨の日には晴れの、晴れの日には雨の準備をする、という変化への備えを行い、
-「取り越し苦労をしない主義」で、何が起こっても、創意工夫で解決できるという信念を持ち、
-最終的には、(十分な準備をした上で、運を信じ)「楽観主義」に立つ。

 最初というのは何が起こるか全く分からない。その極限経験から西堀氏は「虚心坦懐に物事を見つめ、日々変化に目を凝らし、課題は解決できるものという信念でソリューションを考える」という態度を会得したのでした。


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「ツキ」の科学 運をコントロールする技術 (マックス・ギュンター)

2012-03-10 09:17:54 | 本と雑誌

Takarakuji  妻が読んでいたので、ちょっと気になった本です。

 誰もが非合理的なものだと思っている「運」をテーマに、運のいい人・悪い人の間の明確な違いを合理的に解明しようとした意欲?作です。

 まずは、著者による「運」の定義から。

(p33より引用) 【運】 人生を大きく左右し、人間の手で操作・制御することが不可能に見える事象

 著者は、本書の後半で、この「運」の良い人の特性を5つ提示して、それぞれについて、当該特性を身につけるための方法を紹介しています。

 一番目は、「運の良い人は社交性に富む」
 幅広い人間関係をもっていれば、その周りの人々から新たなチャンスを与えられる可能性が高まるという考えです。もちろん初めて会った見ず知らずの人と接するが苦手なタイプの人もいるでしょう。そういった人に対して著者は、話しかけるきっかけとして「何か簡単な質問をする」というやり方を勧めています。

 二番目は、「運の良い人は直感力が強い」
 ただ、この場合、著者は超能力的な「直感」をイメージしているのではありません。

(p224より引用) 直感には二種類あるのだ。一つは、確かな根拠があると推定してよいもの。いわば「合理的な直感」である。そして、もう一つは、客観的な根拠があるとは思えない、超能力や霊能力などの類と変わらない直感。これは「合理的ではない直感」ということになるだろう。

 もちろん著者は、前者の直感について議論を進めます。
 合理的な直感の根底には、意識的なのか無意識なのかはともかく、その根拠となる蓄積情報が存在しているはずです。直感に拠るのか否かは、この情報の有無を見極める必要があります。

(p225より引用) 直感が得られたときは必ず、その根拠となる情報の蓄積が自分にあるかを問うてみる。自分が十分な情報を吸収し、蓄積できる立場にいたかを問うのだ。

 職人が自らの仕事に関して直感を働かせるのはOKですが、いきなり自分の得意技ではない(たとえば)「株式相場」で直感?にもとづく取引をするのはギャンブルそのものだ、ということです。
 その点では、「第一印象」だけで即断しないという姿勢も重要になります。ハロー効果等種々のバイアスがかかるとともに、判断に必要な蓄積情報があまりにも貧弱だからです。

 そして、もうひとつ重要な指摘。

(p228より引用) 「経営上の判断を下そうと思ったら、最後は直感に頼るしかないんだよ」というアルフレッド.P.スローンの言葉についてはすでに触れた。この言葉の「最後は」という部分が重要なのだ。目的は、あくまでもよい結果を得ることであり、直感に頼るかどうかは二の次である。よい結果を得るために、まず最大限の努力をするのは当然だろう。・・・努力を怠る人の直感は、・・・ただの空想、「白昼夢」のようなものである。

 とことん熟慮したうえで、最後の1歩を踏み出す瞬間に働かせるのが「直感」なのです。

 以降、「運の良い人は勇気がある」「運の良い人はラチェット効果をはたらかせる」「運の良い人は悲観的推測に基づいて行動する」と著者の解説は続きます。

 著者が示す「運の良い人」の思考・行動様式は、「幸運が訪れる機会を広げ、その兆しに出合うと冷静に判断し、Goとなれば勇気をもって突き進む。しかしながら、状況が悪化した場合は深みに嵌る前に退く」というものです。

(p300より引用) 自らの幸運を強く信じる人ほど、実際には幸運に見放される。まさにパラドックスだ。運命の女神は、強く寄りかかりすぎると、身をかわしてしまうのである。
 運が強いと思われる人は、多くの場合、悲観的な態度でトラブルを避けている。

 さて、本書を読んでの結論ですが、どうも「運が良い」ということは、「自らを取り巻く変化に能動的に対応する自助努力の『結果』」のようですね。
 結局のところ、「幸運の女神は、備えができている人に微笑む」「幸運は勇者に味方する」ということです。


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政治家の殺し方 (中田 宏)

2012-03-07 22:33:15 | 本と雑誌

Openyokohama  著者の中田宏氏は前横浜市長。

 多選現職市長に替わり若手改革派として当選、世間の脚光を浴びましたが、任期途中、数々のスキャンダル疑惑でマスコミを賑わせました。それらの疑惑から派生した裁判の結果は中田氏の勝訴、しかしながら、政治的には大きなダメージを受けました。

 本書は、その中田氏が、自らの身の潔白を示すために当時の実態を語った告白の書です。

 紹介されているエピソードからは、地方政治のある側面からみた現実を垣間見ることができます。もちろん、本書での中田氏の主張の正否については、何の傍証・反証を持たない私には判断不可です。
 ただ、少なくとも、なんらかの意図的な工作があったこと、また、それらを十分な検証なくして増幅させた一部マスコミの動きがあったことは事実だったのでしょう。

 中田氏の批判の矛先は、矜持を無くしたマスコミにも向けられます。

(p86より引用) 常に動き続ける現実のなかで実務にあたっている人からすれば、マスコミは「お気楽な商売」なのだ。マスコミ人が持つ批判精神は否定しない。だが、実務にあたる人たちは日々、真剣な思考と判断を重ねているのだ。そうしたプロセスや生み出された結果に対する謙虚さをマスコミには持ってもらいたい。

 さて、参考までにですが、本書で中田氏から、スキャンダル疑惑の発信源とされたベテラン議員からの反論はネット上でもチェックすることができますし、当の市議自身のブログでも取り上げているようです。こちらにもざっと目を通さなくてはフェアとはいえないのでしょうか・・・。それら以外にも、本書をめぐってはいろいろな意見が開陳されています。(たとえば「櫻井よしこ」さんのブログ

 何が真実なのかという点は、もちろん重要です。ただ、正直なところいい加減にして欲しいという感じも抱いてしまいます。そんな議論を延々としている場合ではないだろうと。(真実を主張しているであろう関係者には申し訳ないのですが・・・)
 せめて、こういったスキャンダラスな案件の追及が、不透明な政治決断・行政執行の実態を顕かにし、それらを根絶やしにする生産的な契機となればと思います。

 中田氏も、本書の中でこう語っています。

(p165より引用) いまさえよければ、自分さえよければ、という考えが日本をダメにしているのだと思う。いまは苦しくとも未来に対して責任を持って、発言や行動をするのが政治家だと思う。言うべきこと、やるべきことをやって嫌われるなら、それは仕方がないとつくづく思う。

 中田氏が市長在任中に多くの旧弊を是正し、具体的な改革施策を推し進めたのは事実でしょう。最近の地方行政において勢いづいている「善悪二元論」的な政治手法も、その根底にある精神の正否により、単なる「手段選択」の問題なのか否かが判断・評価されるものだと思います。


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9割がバイトでも最高のスタッフに育つ ディズニーの教え方 (福島 文二郎)

2012-03-04 10:00:46 | 本と雑誌

Disney  先日、リッツ・カールトン関係の本を読んだのですが、今度はディズニーです。

 PROLOGUEにもありますが、リッツ・カールトンは、採用時点で会社方針の理解やサービス業への適正をチェックし徹底的に選抜する、それに対し、ディズニーは「ウェルカム」、基本的には全員採用なのだそうです。そして、この採用者を研修・教育し、自主的に行動するキャストに育て上げていくのです。

 ディズニーでの行動の基本思想は「ホスピタリティ・マインド」です。

(p86より引用) 「ホスピタリティ」の語源は「客を保護する」ことですが、私は「自主的・主体的に相手を思いやること」と解釈しています。

 ここには、人に対する能動性があります。この「人」を重んじる姿勢は人材育成のミッションとして明確化されています。

(p62より引用) 「組織は人のために存在し、われわれは人のためになる存在でなければならない」

 この「人のためになる」という姿勢がディズニーのミッションを支えているのです。

(p51より引用) ディズニーのミッションは「すべてのゲストにハピネスを提供する」ことです。
 このディズニーのミッションは、正社員はもちろん、アルバイト一人ひとりにまで浸透しています。

 本書で示されているディズニーのミッションや行動指針は別段特に際立った特色があるものではありません。通常のサービス業において当たり前のことという内容です。
 要は、そのミッション・行動指針が会社組織の隅々にいたるまで浸透し、実践されているかです。

(p88より引用) ディズニーで、ミッションや行動指針が、アルバイト一人ひとりにまで浸透しているのは、経営陣、また上司・先輩、同僚キャストが、繰り返しその重要性について確認し合う風土があるからです。

 さて、タイトルにある「ディズニーの教え方」。この点に関して「なるほど」と思ったものをひとつ、覚えとして書き留めておきます。

 ディズニーでは先輩が後輩を育成するのが基本です。先輩は率先垂範、後輩の見本になることはもちろんですが、積極的に注意・アドバイスすることが求められます。そのときのポイントは、後輩に「いつも見ていてくれる」という先輩の気遣いを意識させることです。

(p92より引用) 見るとき注意したいのは、何も監視するわけではないので、陰からこっそり見ず、堂々と見ることです。「見られている」ことに気づかれなければ、見られていないことと同じになるので、“見られるように見る”ことが必要です。

 「いつも見ていると意識させる」ことは、人事考課や評価の際の公平感・納得感の醸成のためにも大切なことですし、後輩の立場からみると「自分の存在が認められている」との自覚が促されることにもなります。

 こういう先輩・後輩の信頼感がある職場に共通することは何か。ディズニーの場合、それは「笑顔」です。

(p162より引用) よい職場の風土とは、・・・そのベースとなるのは、やはり「笑顔」です。相手に対して、笑顔で明るく挨拶を交わす、笑顔でアイコンタクトをとり、言葉を交わす-これこそ、職場の風土をよくする絶対必要条件です。

 自然な「笑顔」は、気持ちにゆとりがなくては出るものではないでしょう。関係し集う人たちが、萎縮しないで伸び伸びと接しあえる場、そういう環境づくりを目指したいものです。


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WALKMANを超えて (スティーブ・ジョブズⅡ(ウォルター・アイザックソン))

2012-03-02 23:35:59 | 本と雑誌

Nwe060  ジョブズが返り咲き、新たな未来を見据えたアップルは、コンピュータをコアにした音楽生態系ビジネスに乗り出していきます。その過程は、しばしばソニーと比較されます。

 本書でも、そのあたりの様子については詳しく語られています。ここで登場するイオヴァインはユニバーサル傘下のレーベルのキーマンです。

(p180より引用) 「どうしてソニーがだめだったのか、私にはまったく理解できません。史上有数の失策でしょう」
とイオヴァインはいまでも首をかしげる。
アップルの場合、社内で協力しない部門は首が飛びます。でもソニーは社内で部門同士が争っていました
 実際、ソニーはいろいろな意味でアップルの逆だった。かっこいい製品を作る消費者家電部門もあれば、ボブ・ディランなど人気アーティストを抱える音楽部門もあった。しかし、各部門が自分たちの利益を守ろうとするため、会社全体でエンドツーエンドのサービスを作れずにいた。

 アップルとソニーとは、そもそもビジネススタイルが全く異なっていました。正確には、創業時とは異なる「当時の」ソニーとはといったほうがいいかもしれません。

(p193より引用) ふつう会社はそういうものだが、ソニーは共食いを心配した。デジタル化した楽曲を簡単に供給できる音楽プレーヤーと音楽サービスを作ると、レコード部門の売り上げにマイナスの影響が出るのではないかと心配したのだ。
 これに対してジョブズは、“共食いを怖れるな”を事業の基本原則としている。
「自分で自分を食わなければ、誰かに食われるだけだからね」
 だから、iPoneを出せばiPodの売り上げが落ちるかもしれない、iPadを出せばノートブックの売り上げが落ちるかもしれないと思っても、ためらわずに突き進むのだ。

 「競合に対抗するには、自ら競合を生み出すこと」、意識的な自己淘汰は、マーケットをリードし続けるための一つのセオリーですが、多くの企業では、ここに「成功体験の壁」が立ちはだかります。
 この壁を乗り越えるには、適切なタイミングで過去を切り捨てる英断が必要になります。成功している部門が自らの手でその決断を下すのは極めて難しいでしょう。ここにおいて、強烈なリーダシップの有無が、企業の盛衰の明暗を分ける分水嶺になるのです。 

 個性的なリーダ・・・、逆説的な言い方になりますが、それらの人々の中では不思議なほど似通った共通項が見られます。

(p424より引用)  「顧客が望むモノを提供しろ」という人もいる。僕の考え方は違う。顧客が今後、なにを望むようになるのか、それを顧客本人よりも早くつかむのが僕らの仕事なんだ。・・・欲しいモノを見せてあげなければ、みんな、それが欲しいなんてわからないんだ。だから僕は市場調査に頼らない。歴史のページにまだ書かれていないことを読み取るのが僕らの仕事なんだ。

 ジョブズはこう語っていますが、これはまさに本田宗一郎氏の言葉と全く同じです。そして、ジョブズはそれを見事に成し遂げました。プロダクトだけでなく、新たなライフスタイルをも先導し創造したのでした。

 すでに病に侵されてしたジョブズがトルコを旅行していたとき、こう閃いたのだそうです。

(p370より引用)  若い連中にとって世界はどこも同じ、そういうことなんだ。僕らが作る製品も、トルコ電話なんてものもなければ、ほかの地域と違ってトルコの若者だけが欲しがる音楽プレイヤーなんてものもない。いま、世界はひとつなんだ。

 ジョブズは、「ジョブズ・ウェイ」を貫き通しました。


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