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『臨済録』を読む (有馬 頼底)

2020-02-29 19:46:49 | 本と雑誌

 “禅”について少しでも見識を深めたいと思い、だいぶ前に岩波文庫の「臨済録 (入矢義高)」を読んだことがあるのですが、ほとんど理解できませんでした。 

 ということもあって本書を手に取ってみたのですが、結果は・・・、見事に“返り討ち” にあった気分です。やはり駄目でした。

 宗教という捉え方ではなく「仏教哲学」として理解しようとすると、やはり「心」ではなく「頭」で受け取ってしまいます。そうすると、如実に、基礎知識や思考能力の欠如が顕かになってしまいますね。臨済師(有馬師)が言わんとすることが、全く頭の中で「論理的」に整理できないのです。

 かといって、教えの“本質”をザクっと捉えられるかというと、それこそキャパシティオーバーで・・・、というか、どこから近づけばいいのかすら「???」という情けない様なのです。 
 まあ、また懲りずに、少し間をおいてチャレンジしてみましょう。 

 

 

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ここまで変わった日本史教科書 (高橋 秀樹 他)

2020-02-28 16:41:42 | 本と雑誌

 以前、似たような企画のもので、「昭和の教科書とこんなに違う 驚きの日本史講座」という本を読んだのですが、内容はちょっと拍子抜けだったので、改めてということで手に取ってみました。

 最もポピュラーだと言われていた山川出版社の教科書で「日本史」を勉強したのは、もう40年以上前になります。
 これらの教科書で当時
日本史の常識” のように教えられていた事柄が、新たな発見やその後の研究成果によってここまで変わっていくのかと、興味深く読みました。

 変わった点には、例えば「肖像画の主」の正否のように“事実そのもの”のものもありますが、多くは “史実の解釈(位置付け・意味付け・意義付け)”の変化によるものです。 
 数々の史実を集めたうえで、それらのどれをより重視するか、重ね合わせて俯瞰的にみたとき、どう解釈するのがより妥当なのか・・・。江戸時代は「鎖国」の時代だったと位置づけるか、「開かれた4つの窓」で海外交流は盛んだったと捉えるか。

 視点や視座を変えてみると、その解釈や評価は大きく異なります。“歴史”とは、本質的に「見方(観)」なのでしょう。だから面白いのですね。 

 

 

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行動経済学の使い方 (大竹 文雄)

2020-02-27 17:00:16 | 本と雑誌

 大竹さんの著作に限らず「行動経済学」の本は久しぶりですね。

 冒頭、行動経済学の基本概念として、「プロスペクト理論」(確実性効果・損失回避)ヒューリスティックスの説明がほんのお飾り程度に触れられていますが、大半は、行動経済学的観点からの働きかけの実例を紹介した内容です。 

 いくつも実験結果が並べられていますが、どうも「ふつうの消費者の損得勘定」の感覚との整合性という点では首肯できても、その実験結果の一桁%の違いについては、施策効果が有意なのかどうかは「?」でしたね。

 むしろ、「伝統的経済学」が前提としている“合理的な経済人”の異様さを改めて認識しました。共通議論するためのスタート(基本概念)として無意味とは言いませんが、これで「施策」を立てることはできません。実社会には「こんな人」はいませんから。

 

 

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戦後日記 (三島 由紀夫)

2020-02-26 13:29:54 | 本と雑誌

 昭和23年から42年の間に日記形式で発表された三島由紀夫のエッセイを年代順に採録したものです。 

 特に「日記」の前半パートは、当時の小説・映画・演劇等を取り上げての芸術批評がかなりのウェイトで語られていて、この部分は、正直、私ごときには理解不能で全く歯が立たない「???」の世界でした 

 ただ、日記も後半になると、内容も通常の「エッセイ的」テイストのものが多く採録されています。
 このあたりにくると、三島由紀夫自身の筆による彼の日常の暮らしぶりや交友関係には
 “時代の寵児としての三島の面目躍如たる姿が満載で、当時の世相の描写とも相俟ってなかなかに興味深いものがありました。 

 

 

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とてつもない失敗の世界史 (トム・フィリップス)

2020-02-25 13:52:28 | 本と雑誌

 人類の歴史上のいくつかのトピック(事件・転換点)を取り上げて、そこで(結果的には)誤った判断を下した背景・要因等を著者なりの切り口で紹介しています。 

 選ばれたトピックは、後世への影響という視点から見て必ずしも重要なものばかりではありませんが、誰もが興味を抱きやすいネタが選ばれていますね。

 「著者なりの切り口」のひとつは “行動経済学”的な視点(さまざまな認知バイアス)なので、失敗の必然性に関しても “さもありなん” という印象を受けます。 
 歴史において「同じような失敗」を懲りもせず繰り返している人類の姿があるのは、 “行動経済学”が明らかにしている人類の行動・思考様式が、過去から現在に至るまでそれほどは変化(進歩)していないことの現れなのかもしれません。 

 

 

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定年バカ (勢古 浩爾)

2020-02-24 12:01:39 | 本と雑誌

 ここ数か月で「定年もの」を何冊か読んでみているのですが、どれも世間的な意味での成功者によるもので、どうもしっくりきませんでした。
 正論・理想論的な内容の“平凡さ”に少々辟易したので、これはどうだと手に取った本です。
 

 著者の主張は、この手の本で定番の「地域社会への貢献」とか「資格を取って自立」とかの勧めとは全く異なります。「自分のしたいことをすればいい」、「したくなければしなくていい」、要は、“自分自身にとって「意味」があると思えるように過ごせばいい”という考え方です。 

 私のような“ずぼら系”の人間にとっては大いなる応援団のエールです。が、実際、そうだろうなとも思います。
 「利他」にしても「利己」にしても、自分自身がそうしたいと思うことをしているのでしょうし、それが他者からの強制や誘導によるものだとすると、そこに“意味(自分の意志)”
はないことになります。

 もちろん、他人のアドバイスを「自分のしたいこと」を見つけるきっかけとするのは決して悪いことではありません。それで、新たな気づきが得られることもあるでしょう。 
 大事なことは、ひとつひとつの判断を“自責”にすることだと思います。 

 

 

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合成生物学の衝撃 (須田 桃子)

2020-02-23 21:41:08 | 本と雑誌

 久しぶりのサイエンス関係の本ですが、生命科学の現在の到達点が素人にどの程度理解できるものなのか、興味深く読んでみました。

 特に印象に残ったくだりを書き留めておきます。

 MIT「遺伝子ドライブ」を研究しているケビン・エスベストの言葉です。 

(p71)  遺伝子ドライブは、たった一つの実験室での事故が、実験室の外の多くの人々に影響しうる特殊な技術だ。それは科学に対する社会の信頼を破壊しかねない。だからこそ、僕は最良の防衛策は、規制ではなく、すべての科学を公開で進める仕組みを確保することだと考えている。そうすれば、人々は研究全体を眺め、何が起きているかを把握し、科学者が危険なことをしようとしているときは警告する。何をしているのかが分からなければ、 要望することもできない。もし科学が公開で行われれば、事前に問題を特定し、研究が害にならないようにすることができる 

 「遺伝子操作」「ゲノム編集」は倫理上の問題はもとより、想定外の生命体を生み出してしまうという自然環境に対するより現実的なリスクを抱えています。また、軍事目的への転用という“デュアルユース”の可能性とも同居しています。

 ケビンの提案は対応策としてはひとつの有益な案だと思います。
 他方、こういった研究が実施される以上は、物理的に「外部に流出する」可能性を「0」にすることはできないでしょう。とすれば、その「流出の影響」を
 “どこまでリスクとして甘受できるか” という「覚悟」の問題に帰結するように思います。そして、その「覚悟の正否」を“オープンに検討・検証できるようにしておく” ことです。
 覚悟が「個人レベル」だとすると、それは極めて危険です。絶対避けなくてはなりません。

 

 

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星の王子さま (サン=テグジュペリ)

2020-02-22 20:00:41 | 本と雑誌

 この本も通勤電車用の電子書籍で読んだものです。
 ずっと前から気になり続けていたのですが、恥ずかしながらこのになって初めて読んでみたというわけです。

 さて、読んでみての感想ですが、具体的なメッセージの理解はともかく、想像通りのテイストの本でした。少なくとも満員電車の中で時間潰しとしての読むのは相応しくない作品のようです

 「大切なことは、目に見えない」 

 物語の中で、きつねが王子様に教えた大切なメッセージですが、こういった一言をしっかりと考えてみるためにもきちんと装丁された「絵本」としての全体コーディネートの中で味わい直したいですね。 

 

 

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定年夫婦のトリセツ (黒川 伊保子)

2020-02-21 14:42:38 | 本と雑誌

 「〇〇のトリセツ」シリーズで、何匹目かの「ドジョウ」です。

 私は、「妻の・・・」も「夫の・・・」も読んでいないので、黒川さんの著作は初めてです。 

 冒頭から例示されている会話には「デジャブ感」いっぱいです。こういった夫婦間のやり取りは、広く世の中的にも「極めて当たり前の姿」のようです。 
 それに気づいただけでも、本書を手に取った価値がありますし、ある程度の割り切り(諦め?)ができます。我が家だけの特殊事情ではなく、むしろ “普遍的なパターン” なのだとすると、直す(対応を変える)のは至難の業だということでしょう。 
 だとすると、できることは、まずは、 “違いを認める” というところからスタートすることですね 

 すなわち、「相手の心無い反応は、そもそもの“男女の脳機能の違い”に拠るものだ」と理解し、相手の属人的な“人格(性格)の問題”だと位置づけないことです。属人的な問題だと “相手に対して腹を立てる” ことになりますが、脳の本来的機能によるものだとなると、それを“所与の前提”として、「では、どうするか、どう対応するか、どう腹に落とすか」という“我が事”として対応することになります。 

 現実的には、その過程で「感情の高揚」がありますから、なかなかそう割り切るのは至極困難ですが・・・、でも、少しは前進できそうです。 

 

 

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この世を生き切る醍醐味 (樹木 希林)

2020-02-20 15:34:30 | 本と雑誌

 樹木希林さんにまつわる本は数多く出版されています。図書館での予約も大変な待ち行列です。 

 まずその1冊目として手に取った本書ですが、内容は、樹木希林さんと娘の内田也哉子さんへのインタビューを書き起こしたものです。

 樹木さん、確かにとてもユニークですが、本当に魅力的な方ですね。語られた話題は多岐にわたりますが、私としては、役者” として作品に向かう姿勢(考え方や行動)にまつわるお話が一番興味を惹きましたね。まあ、当然ではありますが、プロフェッショナルな仕事ぶり” です。 

 後半の内田也哉子さんのインタビューパートも、ご本人のお人柄なのでしょう、とても素直な語り口でいいですね。「慎ましい気高さを持った人間でありたい」という想い・・・、染み入ります。 

 

 

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未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (河合 雅司)

2020-02-19 15:52:33 | 本と雑誌

 “少子化”“高齢化”に向かう日本の未来の姿と課題を「年表」形式で解説したパートがメインで、後半は、著者が考える「諸課題解決の対策」を列挙しています。

 参考になるのは主として前半の「年表」部分ですね。 
 「事実」「推論」「評価」と考え方の構成としては分かりやすく工夫されていると思います。 
 「評価」のコメントのところで著者の基本思想(所属新聞社?)の色が出るのは、それはそれで「なるほどね」と面白いのですが、それゆえに、「推論」までと「評価」とをキチンと意識的に峻別して読む(情報処理する)必要がありますね。 

 後半の「対策」は、これは難しい。 
 根っこにある課題は、 
 ・放っておけば自分たちが享受できるにも関わらず、“そのメリットを後の世代のために献上する施策”を国民のコンセンサスとして採用することができるか 
ということですから。 

 

 

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遠野物語 (柳田 国男)

2020-02-18 16:47:51 | 本と雑誌

 この本も文庫本すら広げられない通勤電車用の電子書籍です。 

 民俗学にもちょっとだけ関心があったのですが、その割には「今頃読んでるの?」と言われますね。 
 文語体+方言で書かれているので、すべて読み取れたとは言えませんが、確かに興味は尽きない本だと思います。これだけ豊かな伝承が残っている(いた)のは本当に貴重ですし、「座敷童」「河童」、たぶん西洋人であろう「赤い顔の大男」・・・
 どこまでが現実でどこからが想像の世界なのか、その境界が朧気になりますね。
 

 盛岡・花巻まではここ2年のうちで数回訪れていたのですが、遠野まで足を延ばす余裕はありませんでした。残念です。 

 

 

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坂の上の坂 (藤原 和博)

2020-02-17 16:14:33 | 本と雑誌

 “定年を前に準備しておきたいこと”、ここ数ヶ月、意識してこういったテーマの本をいくつか手にとっています
 ただ、それは正直なところ、「先達の書物からアドバイスを得たい」
真面目に思ってというのでは全くなく、「いわゆる“功成り名遂げた”方々は、どんなアドバイスをするのだろう」といった“興味本位”の気持ちからなのですが。

 その点、著者の藤原さんはリクルート勤務から東京都初の民間人中学校長に転身したという特別なキャリアの方なので、読む前から興味関心は倍加していました。 

 さて、読んでみての印象ですが・・・、正直「納得感」はあまり感じられませんでしたね。 

 前半の藤原さんの実体験に基づく示唆のパートは、(私を含め多くの読者の方々も思うように、彼の経験はそもそもかなり“異質”ですから、)そこでの教訓を一般化して敷衍するのは難しいでしょう。
 後半の各論のアドバイスについていえば、特段の目新しさがないことに加え、藤原さん自身もこれから老後を迎えるわけで、ここで提示した「アドバイス」を検証していないというのが「納得感」に至らない致命的な点だと思います。 

 とはいえ、私も、近いうちに確実に「断層」に直面するのですから、今までの数十年とは全く異なる「考え方・姿勢・行動」に自分自身を変質させなくてはならないのは間違いありません。それは、別に“目新しいことに手を付けるという「行動の変化」ではなく“家族や社会との接し方において初心に戻る”という「考え方の初期化」なのだろうと、今のところは思っています 

 

 

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リターンマッチ (後藤 正治)

2020-02-16 12:19:27 | 本と雑誌

 先に柳田邦男さんの本を読んだ際、激賞されていたので手に取ってみました。
 後藤さんの著作はちょっと前にも「スカウト」という作品を読んだところでした。
 

 さて、本書、舞台が「定時制高校のボクシング部」ということなので、材料となるエピソードには事欠かないことは想像に難くないのですが、後藤さんは、それら「教師と生徒という “人間と人間の関わり合い” 」を徒にドラマチックに煽るでもなく丹念に綴り起こしています。
 それゆえに、書き込まれた登場人物は皆一人ひとりの個性が光り、とても魅力的に映ります。
 

 確かにオーソドックスで真っ当なノンフィクション作品だと思います。 

 

 

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ガンジス河でバタフライ (たかの てるこ)

2020-02-15 12:14:15 | 本と雑誌

 通勤途上、podcastのバックナンバーを聞いているのですが、その中の番組のひとつ(The Lifestyle MUSEUM)でたかのてるこさんが出演されご自身の旅の話をされていたのがとても面白く、その印象がきっかけで彼女の旅のエッセイの第一作目の本書を読んでみたというわけです。

 旅は「三現主義(現場”“現物”“現実)の具現化の一形態ですから、旅をテーマにしたエッセイは、その文章を辿ってどれだけ『強烈なリアリティ』を読み手に感じさせることができるかが” 評価の分かれ目です。

 その点では本書は間違いなく成功しましたね。
 内容は期待どおりでした。
goodです。文章も素直で読みやすく、着眼も構成も表現も「上手」だと思います。(もちろん大阪人に欠かせない関西のノリも効かせています) これなら、彼女の別の本も読んでみたくなりますね。

 ちなみに、私も高校生・大学生のころは日本国内限定でしたが結構一人で旅行に出ていました。
 「ユースホステル」を泊まり歩くというスタイルで、それなりに旅程は事前に組んでいました。(ユースホステルは事前予約が原則だったので)たかのさんのような予定も決めず自由気ままにという旅にも憧れますが、なかなか思い切れずで・・・、あと数年後には挑戦できるかもですね。
 

 

 

 

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