このところ、しっかりした内容の著作を読む精神力が衰え切っていてダメですね。
佐藤愛子さんには大変失礼な物言いで申し訳ありません。さらに、お歳のことを言うのは益々無礼の上塗りになりますが、90歳を越えてこれだけの文章を書き続けるエネルギーには本当に驚かされます。
私は読むエネルギーすら心もとない状況で、情けない限りです。
九十歳。何がめでたい | |
佐藤愛子 | |
小学館 |
このところ、しっかりした内容の著作を読む精神力が衰え切っていてダメですね。
佐藤愛子さんには大変失礼な物言いで申し訳ありません。さらに、お歳のことを言うのは益々無礼の上塗りになりますが、90歳を越えてこれだけの文章を書き続けるエネルギーには本当に驚かされます。
私は読むエネルギーすら心もとない状況で、情けない限りです。
九十歳。何がめでたい | |
佐藤愛子 | |
小学館 |
話題の本なので手に取ってみました。
吉野源三郎氏のオリジナル本は10年以上前に読んで大きな感銘を受けた記憶がありますが、本書においても中核はオリジナルの引用部分ですね。
もちろん吉野氏の原著に及ぶべくもなく、またその点は本書の著者も当然承知の上での出版でしょう。
本書のおかげで、吉野氏の名作の一部でも世の中に広がり、少なからぬ人が原著を手にするであろうことを思うと、とても意義あるトライですね。
漫画 君たちはどう生きるか | |
羽賀翔一 | |
マガジンハウス |
「流行本は『企画』が9割」という典型です。
私のようにパロディのオリジナルを読んでいない人にとっては、面白さも半減といった感じです。
なので、そうだねと思ったのは、作家としては「星新一」さんぐらいでした。
むしろ「新聞記事」や「ビジネスメール」といったものの方が面白かったですね。
もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら (宝島SUGOI文庫) | |
神田 桂一,菊池 良 | |
宝島社 |
この手の統計(モドキ)の利用(悪用)のされ方をテーマにした本は数多く世に出されていますが、本書のオリジナルは1954年に出版されたものとのこと。まさに「先駆け」です。
内容はこれといって新しいものはありませんが、それは本書が先陣を切っていたのですから当たり前で、むしろその後に発行された本が、本書を凌駕していないということですね。
説明に使われている例示は馴染みのないものも多いのですが、それも「時代」と「場所」の違いであり、“その頃は、こんな時代だったんだ”と新たな気づきにつながるものでもあります。
統計でウソをつく法―数式を使わない統計学入門 (ブルーバックス) | |
高木 秀玄 | |
講談社 |
橋本治さんの著作は何冊か読んでいますが、久しぶりだったせいもあるのか、ちょっとついていけませんでした。
内容に疑義があるというのではなく、私の頭が橋本さんのロジックの展開に遠く及ばなかったということです。
残念ですが、改めて、また橋本さんの著作には挑戦しようと思います。
知性の顚覆 日本人がバカになってしまう構造 (朝日新書) | |
橋本治 | |
朝日新聞出版 |
先に読んだ「ハーバード日本史教室」が期待外れだったので、リベンジのつもりで(そこそこ評判の良かった)本書を読んでみました。
が、結果はこれも「期待外れ」でした。ハーバード生活を題材にした“エッセイ”ですね。
新たな日本史の視点を提示していると著者は自ら語っていますが、視点の転換という点では網野善彦氏の中世史のインパクトには遠く及びません。
ハーバード白熱日本史教室 (新潮新書) | |
北川 智子 | |
新潮社 |
先に「人工知能の「最適解」と人間の選択」という本を読みましたが、本書はそれに先立って出版されたものです。
もちろん、人工知能を様々な観点から解説した内容も興味深いものでしたが、やはり本書の最大の魅力は、人口知能を語る羽生善治氏の視点の秀逸さでしょう。
論理性のなかに美意識に代表される情緒性を織り込んだコメントは、私如きがいうまでもなく“見事”だと思います。
羽生氏の著作としては以前「決断力」を読んだことがありますが、その他の著作にもトライしてみたくなりました。
人工知能の核心 (NHK出版新書 511) | |
NHKスペシャル取材班,羽生善治 | |
NHK出版 |
読んでみて「がっかりする本」のひとつですね。
インタビューで登場している学者のみなさんは一流の方々ばかりなのですが、それに引き換え内容はとても貧弱です。
「ハーバード大学で日本史が教えられている」ということ以上のメッセージはなく、それぞれの学者の講義のイントロとしても???というレベル。
「海外の識者による日本史講義」というのはテーマとしてはとても気になるので、またその手の本を探してみたいと思います。
ハーバード日本史教室 (中公新書ラクレ) | |
佐藤 智恵,アンドルー・ゴードン,デビッド・ハウエル,アルバート・クレイグ,イアン・ジャレッド・ミラー,エズラ・ヴォーゲル,ジェフリー・ジョーンズ,サンドラ・サッチャー,テオドル・ベスター,ジョセフ・ナイ,アマルティア・セン | |
中央公論新社 |
もう10年以上、まったく日本のプロ野球には興味がなく試合も全然見ていません。
ただ昨年は「世の中の話題」として「広島東洋カープ」の活躍が大きくクローズアップされましたね。
本書は、かつての広島の黄金時代を支えたスカウト木庭教さんを主人公に、その足跡を紹介したノンフィクションです。
(p105より引用) 「プロというのは入っていから稼ぐところじゃないですか。入団する前にお腹一杯になって、さてがんばろうかという気になりますか。それにね、この不況の世の中、海のものとも山のものともわからない新人選手に、やれ一億円だ、二億円だ、と気楽に支払っているのは野球界ぐらいでしょう。反社会的行為といっても過言じゃない。・・・プロ野球が曲がりなりにも国民的スポーツであり続けてきたのは大衆スポーツだったからだと思うんです。その原点を忘れたらこれは危ういものだと思いますよ。」
主人公の人柄を映したような淡々として落ち着いたエッセイです。この主人公を選んだところで、この作品の出来栄えは決まりましたね。
その点では、他のスカウトや選手のエピソードも興味深いものがありましたが、もっと、この主人公だけを深堀しても良かったように思います。
ちなみに、装丁は諸口あきらさんなのですね、こちらもとても懐かしいです。
スカウト | |
後藤 正治 | |
講談社 |
人工知能の進化のひとつの姿として「AI政治家」が示されていた。
瞬時に世論を集約して最適な政策を実行するというが、ここでの「最適」とは何か?
最適というからには、何らかの基準があるのだろう。それは最大多数なのか、それとも別の価値基準に基づく最適なのか?
その基軸は誰が定めて人工知能にプログラミングするのか? それも人工知能が自己学習するのか・・・。
やはり、人工知能が支配する世界は、“不条理”で“不気味”な世界に違いないだろう。
人工知能の「最適解」と人間の選択 (NHK出版新書 534) | |
NHKスペシャル取材班 | |
NHK出版 |
ちょっと気になった本だったので手に取ってみました。
著者自身が「あとがき」で記している想いは確かに感じられますが、「小説」形式にしたプロットに少々無理があるせいか、伝えたいことがかえって分かりにくくなってしまった印象があります。
ストレートな論説の方が、私には合っていたようです。
ぼくたちはこの国をこんなふうに愛することに決めた (集英社新書) | |
高橋 源一郎 | |
集英社 |
近所の図書館の「新着書のコーナー」で目についた本です。
そんな機会でもないと手に取ることはないでしょう。
詳細な「仕掛け」の説明は半分も理解できませんでしたが、「時計」という単一のテーマで一貫された内容はなかなか興味深いものがありました。
特に、機械仕掛けのレベルでの精度向上の工夫のあたりは、当時の職人の知恵と技の素晴らしさを感じましたね。
時計の科学 人と時間の5000年の歴史 (ブルーバックス) | |
織田 一朗 | |
講談社 |
文字通り、“生産性” にテーマを絞った著作です。
副題に「マッキンゼー」が登場しているように、いわゆるホワイトカラーの業務においても「生産性向上の取組み」の重要性を指摘し、そのための具体的な打ち手を解説しています。
安易にinputを増やすのではなく、outputを高めることに知恵を絞るべきとの指摘はまさに正論であり、私としてもその意識が希薄であった点は大いに反省しなくてはならないと感じました。
特に、伊賀さんの得意なジャンルである “採用/人材育成” における「生産性」議論は、かなり割り切った議論ではありますが、新たな視点の提示という点で首肯できるところが多かったですね。
生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの | |
伊賀 泰代 | |
ダイヤモンド社 |
ともかく食わず嫌いはよくないと思い、ちょっと気になった本はできるだけ手にとってみようと思っています。
この本もそういった類のひとつです。
内輪話のエッセイですね、寂聴さんから何かためになる気づきをいただける類の内容ではありません。
もちろん合う合わないがありますから・・・、評判はそこそこいいらしいのですが、私の感想は「可もなく不可もなく」です。
おちゃめに100歳! 寂聴さん | |
瀬尾まなほ | |
光文社 |
久しぶりの竹内さんの本です。ただ、少々期待外れでしたね。
“理系思考”の根っことして論理学の基本知識を取り上げていますが、ちょっとそうかしら?という印象です。
実験による事実(数字)の「検証」は“理系的”ではあっても、“文系思考”にそれがないというわけでもなく・・・。
つまるところ、事実に基づかない情緒思考のことを“文系思考”といっているだけなのかも。
文系のための理数センス養成講座 (新潮新書) | |
竹内 薫 | |
新潮社 |