文芸春秋社
がん専門医よ、真実を語れ
近藤誠著
がんには、「がんもどき」と「本当のがん」があり
もどきであれば悪さはしないのでそのままでよい、
ホントのガンであれば、発見された時にはすでに
転移しているので手術しても助からない。
という、がんもどき理論を元に
ガン検診のムダを発表している近藤誠さんと
各種がんの専門医の対談集です。
著者が一方的に考えを述べるのではないので
対談はいいですね。
特に東大医療チームとの対談を興味深く読みました。
専門医3人が揃って言っているのは、
「肺がん検診は世界的に意味がないことがわかっている。
やっているのは日本だけ。その昔、結核の検診が終了した時に
代わりにはじめられた経緯がある。就職のためだった」
この対談では、胃がん検診も意味がないと言っています。
不明なのは、乳がん検診と子宮がん検診。
検診で発見される腫瘍は「もどき」である可能性が非常に高い。
それはガン検診によって、がん死の数が減っていない現実がある。
検診が有効であると決め手になるデータがない。
(↑ もどきというのはもしかして 子宮筋腫のようなものなのかな?
腫瘍ではあるけれど、命にかかわるものではない。
状況によって、治療したり、しなかったり。)
(検査自体にも危険が伴うので、もっとちゃんと研究して
はっきりさせてほしいです。)
抗ガン剤については、一部の1割のガンにしか効果がない。
(白血病、悪性リンパ腫、小児がん)
9割のガンで手術後に「念のため」といって投与される抗がん剤には意味がない。
それなのに、一律に投与されて患者さんが苦しんでいる。
抗ガン剤は高いので官界や製薬会社や病院の経営などの思惑がある。
検診もある意味同じような部分がある。
(↑ ここでも!金儲け!!)
よく、「少しでも希望があるなら」と患者さんやご家族が
手術を決断されるが、残念ながらこのような場合は
希望はないと考えた方がよい。
(↑ そうじゃないかと思っていました。
どうしてもっとはっきりと言ってくれないんだろう)
近藤理論に真っ向から反対される方との対談もありました。
それを読んで驚いたのは、実際にバンバン手術がなされている
例でも、確信できるデータはないということです。
(↑ 切ってしまうので、その後細胞がどうなったかわからない。
とっておいて培養するとかできないんですかね)
逸見春江さんや、渡辺淳一さんとの対談も収録されていて
がん治療にかかわることはもちろん、人生論としても
とても参考になりました。
日本は手術の技術そのものは世界でも先端を行っているようですが
医療の体制は時代遅れ。
私は、検診や健康診断はすすんでは行かない方です。
がん治療は、簡単なものなら受けるけど、
すごい手術はやめておこうと思っています。
対談に登場したお医者さん達は、ご自分ががんになったら
「やはり、わかったらとる」という人と「自覚症状がなければ放置」
近藤さんは「ひとまず様子を見る」と様々でした。
最後まで自分のことは自分で考えないといけないのですね。
あたりまえだけど、人生甘くはないですわ。
この本は1997年3月に出版されていますが、
中に 「将来的には抗がん剤が効くかどうか、悪性になるかどうかを
DNAで調べるようになるでしょう」と書かれた一文があって、
すでにそのような時代になっていることにおどろきました。
PCを開くと 「DNA検査のCM」が頻繁に出てきます。