今朝の北陸中日新聞は原子力防災指針の見直しに向けた国の動きを報じている。
「地方主体で」という流れは、ある意味では3.11以降、各自治体が独自にEPZの見直しに動き始めている現状を国も追認せざるをえなくなったということだろう。
「国の指針見直し待ち」の方針を貫いてきた石川県は原子力防災見直しを巡る議論の流れを読み間違えていたと言えるだろう。
この背景には、
①安全指針同様、防災指針でも国の信頼は崩れていたが、石川県はあくまで国を信頼し続けていた。
②住民を守るのは自治体という防災の大原則で各道府県は動いたが、石川県には防災の当事者意識に欠けていた。
といった県行政の欠点が垣間見える。
県は方針転換を迫られるが、同時に県内各市町も対応を迫られる。
こんな県に新たな防災計画を一任していて住民を守ることができるのか。
「地方主体=県主体」で結局は現状維持の10kmのままということもありうるのである。
県任せではなく、各市町の首長、議会、住民全てが志賀原発はじめ全原発と向き合う中で、原子力防災を議論していかなければならない。
以下、今朝の北陸中日新聞の記事である。
EPZの設定「地方主体で」 県の方針と逆の情勢
原子力安全委で意見続出
福島第一原発事故を踏まえて原子力防災の見直しを進める内閣府の原子力安全委員会の会合で、防災対策の重点区域(EPZ)の設定をめぐって地方の主体的な対応を求める発言が委員から相次いでいる。原発立地地域の特性に即した防災対策を講じる方向に議論が進んでおり、「原発対応は国の責任」と述べる石川県の谷本正憲知事は方針転換を迫られる可能性がある。(榊原崇仁)
安全委は国内の原子力防災の方針を定める防災指針の改定に向け、七月中旬に原子力施設等防災専門部会を開催。専門委員の山名元・京都大原子炉実験所教授はEPZについて「地方ごとに実効的な範囲の設定が必要」と地方色を加味する重要性を訴え「その設定は霞が関で考えられる話ではない。国が基準を示し、後は地方が考えるべきだ」と述べた。
地方の責任を強調する意見は、EPZのあり方などを専門的見地からまとめるために部会が設けた防災指針検討ワーキンググループでも上がった。
九月中旬の会合で、原発ごとに地形や気象条件などを踏まえてEPZを決める事務局案が示されると、座長役の主査を務める日本原子力研究開発機構の本間俊充氏は「EPZは自治体の地域防災計画の中で具体的に考えるべきだ」との見解を提示。「地域の積極的な対応が重要」「(国から)与えられたものだけで済むというのでは駄目」と述べた。
安全委事務局は本紙の取材に「EPZは国が決めると思われがちだが、国の防災指針は目安であって、強制力のない『尊重すべきもの』だ。国の指針を目安に自治体が決めるのが本来の姿。その点で主査の発言趣旨と事務局の考えは一致する」と説明した。
「国は責任を持って目安を示すので、自治体は地域特性を踏まえて実態に即したEPZを決めてほしい」とする事務局は、自治体によっては独自にEPZ見直しに動いていることに「情報収集はじめ、できることから始めてもらって構わない。EPZを決めるのは自治体だから」と語る。
地方の主体的な対応を求める意見が国レベルで主流となっていることに、石川県危機管理監室は「国が正式な判断を出していないので県がどうするとは言えないが、やはりEPZは国が責任を持って明確な基準を示すべきだ」と述べた。
防災対策の重点区域(EPZ) 原発事故に備えて避難計画や被ばく医療態勢などが必要な範囲。国の防災指針は目安として原発から8~10キロ圏内とし、北陸電力志賀原発のある石川県は半径10キロの同心円で設定。志賀町と七尾市が入る。現行指針を大きく越える被害を出した福島第1原発事故を受けて国は見直しに着手した一方、原発立地県の鹿児島県や、立地県に隣接する京都府は暫定改定に取り組んでいる。
「地方主体で」という流れは、ある意味では3.11以降、各自治体が独自にEPZの見直しに動き始めている現状を国も追認せざるをえなくなったということだろう。
「国の指針見直し待ち」の方針を貫いてきた石川県は原子力防災見直しを巡る議論の流れを読み間違えていたと言えるだろう。
この背景には、
①安全指針同様、防災指針でも国の信頼は崩れていたが、石川県はあくまで国を信頼し続けていた。
②住民を守るのは自治体という防災の大原則で各道府県は動いたが、石川県には防災の当事者意識に欠けていた。
といった県行政の欠点が垣間見える。
県は方針転換を迫られるが、同時に県内各市町も対応を迫られる。
こんな県に新たな防災計画を一任していて住民を守ることができるのか。
「地方主体=県主体」で結局は現状維持の10kmのままということもありうるのである。
県任せではなく、各市町の首長、議会、住民全てが志賀原発はじめ全原発と向き合う中で、原子力防災を議論していかなければならない。
以下、今朝の北陸中日新聞の記事である。
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EPZの設定「地方主体で」 県の方針と逆の情勢
2011年9月30日
原子力安全委で意見続出
福島第一原発事故を踏まえて原子力防災の見直しを進める内閣府の原子力安全委員会の会合で、防災対策の重点区域(EPZ)の設定をめぐって地方の主体的な対応を求める発言が委員から相次いでいる。原発立地地域の特性に即した防災対策を講じる方向に議論が進んでおり、「原発対応は国の責任」と述べる石川県の谷本正憲知事は方針転換を迫られる可能性がある。(榊原崇仁)
安全委は国内の原子力防災の方針を定める防災指針の改定に向け、七月中旬に原子力施設等防災専門部会を開催。専門委員の山名元・京都大原子炉実験所教授はEPZについて「地方ごとに実効的な範囲の設定が必要」と地方色を加味する重要性を訴え「その設定は霞が関で考えられる話ではない。国が基準を示し、後は地方が考えるべきだ」と述べた。
地方の責任を強調する意見は、EPZのあり方などを専門的見地からまとめるために部会が設けた防災指針検討ワーキンググループでも上がった。
九月中旬の会合で、原発ごとに地形や気象条件などを踏まえてEPZを決める事務局案が示されると、座長役の主査を務める日本原子力研究開発機構の本間俊充氏は「EPZは自治体の地域防災計画の中で具体的に考えるべきだ」との見解を提示。「地域の積極的な対応が重要」「(国から)与えられたものだけで済むというのでは駄目」と述べた。
安全委事務局は本紙の取材に「EPZは国が決めると思われがちだが、国の防災指針は目安であって、強制力のない『尊重すべきもの』だ。国の指針を目安に自治体が決めるのが本来の姿。その点で主査の発言趣旨と事務局の考えは一致する」と説明した。
「国は責任を持って目安を示すので、自治体は地域特性を踏まえて実態に即したEPZを決めてほしい」とする事務局は、自治体によっては独自にEPZ見直しに動いていることに「情報収集はじめ、できることから始めてもらって構わない。EPZを決めるのは自治体だから」と語る。
地方の主体的な対応を求める意見が国レベルで主流となっていることに、石川県危機管理監室は「国が正式な判断を出していないので県がどうするとは言えないが、やはりEPZは国が責任を持って明確な基準を示すべきだ」と述べた。
防災対策の重点区域(EPZ) 原発事故に備えて避難計画や被ばく医療態勢などが必要な範囲。国の防災指針は目安として原発から8~10キロ圏内とし、北陸電力志賀原発のある石川県は半径10キロの同心円で設定。志賀町と七尾市が入る。現行指針を大きく越える被害を出した福島第1原発事故を受けて国は見直しに着手した一方、原発立地県の鹿児島県や、立地県に隣接する京都府は暫定改定に取り組んでいる。
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