北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

次回からが本番!志賀原発の防災対策論議

2012-02-17 | 志賀原発
 昨日は2回目となる県防災会議原子力防災対策部会が開催された。

 昨年暮れの第一回については少し感想を書かせてもらったので、今回も少しコメントを。

 会議資料が手元にあるわけではないので新聞記事の範囲でしかわからないが、朝日新聞によると主な検討事項は5項目。

・志賀原発の半径30キロ圏の住民の避難先
・ヨウ素剤の配備や配布方法
・被ばく医療の専門家の養成
・事故時に陸路が遮断される奥能登での交通手段の確保
・事故時の市町庁舎の移転先の検討

 国の原子力防災指針の中間報告が示されるのが3月中旬であり、国の方針を見てからろいう県のスタンスから言えば、現時点で検討できることはこの辺りまでか。

 今後に向けて2点だけ指摘したい。

 まず、30キロ圏の住民の避難と庁舎移転についてである。圏内約15万人の避難先をあらかじめ決めておきたいというの県の方針のようだ。おそらくその周辺に庁舎も移転させるのだろう。
 福島をみれば、住民がバラバラに避難し、福島県内にいる人、遠く県外に避難した人など様々でである。役所が住民の安否を確認するだけでも大変であった。そこを教訓化し、住民をあらかじめ決められた場所へ、さらに役所もその近辺にという発想がでてくる背景もわからないではない。
 たとえば中能登町民は津幡町へ、七尾市民は金沢市へ、等々。

 しかし、この計画の大前提は、原発事故の影響は30キロで収まるということである。志賀原発の南方向に被害が拡大した場合、あっけなく破たんする計画であり、さらなる混乱を招くことになる。
 チェルノブイリから何も学ばずフクシマを招いた日本で、またしても福島から学んでいるようで、実は福島の現実を無視した議論が展開されようとしている。
 福島の事故を過小評価する国の議論に乗っかていると、県民は守れないというわかりやすい例を県は示している。

 今後、さらに避難にともなう諸課題が議論されていくだろうが、生活の拠点、生計の拠点がなくなるという福島の現実からどれだけ学べるか、防災対策部会の委員の皆さん、どいこまでリアリティをもった議論をすることができるのか注目である。

 2点目として、「奥能登の孤立化」について。
 物資の補給は結構である。南相馬市のように見捨てられたらたまらない。福島並みあるいはそれ以上の事故では「孤立化」ではすまないのだが、それはさておき「孤立化する(かもしれない)奥能登」を奥能登住民はどう捉えるべきか。
 
 様々な交流人口拡大策や定住人口の促進策、産業振興策、福祉や医療、教育などの諸施策の中で「孤立化する(かもしれない)奥能登」をどう受け止め、整合性を図るのか。
 有りえないけど「一応想定しておく原子力防災」から「有りうる事故に備える原子力防災」に転換する中で、自治体行政は、あるいは奥能登住民は原発を受け入れることができるのか、今後、「原発防災」の枠を超えた大きな議論が必要となる。

 国の中間報告を受けての次回会議からがいよいよ重要となる。
 小手先の議論、安易な対策で志賀再稼働に突き進むことは許されない。

  


2 コメント

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素人でも考える検討事項 (みち)
2012-02-18 20:30:21
はっきり言って、国の指針が出ていなくても、他県で既に検討できているように、素人でも考えられるぐらいの検討事項ですよね。
福島の例でもわかるように、放射性物質の拡散が30キロ圏内で収まる保証もなく、滋賀県知事のように、もっと想像力を巡らせて欲しいです。福井の原発に対する、南加賀の防御も頭になさそうですし。
がれきの受け入れについても、谷本知事は、輪島市の姿勢を評価していましたし、県民の安全を守るという視点がなさすぎる。世界農業遺産も結局は人寄せパンダで、はなから守る気などなさそうな感じですね。
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危機感の無さ (viva)
2012-02-19 00:21:38
確かに、チェルノブイリでも福島でも、事故後の放射能が同心円状に均等に広がるわけではないということからしても、半径30キロ圏内(UPZ)ばかりでなく、50キロ(PPZ)、福井原発に対する南加賀のことも想定しなければいけませんね。
金沢市の山野市長はPPZ対策について【新しい言葉】ということで11月の定例会見ではお茶を濁した感がありました。その後何も進展無く会見でも言及無く(記者から再度聞かれなかったからか)、ちょっと恥ずかしいなと思いました。危機管理意識というものがいまひとつ伝わってこない。
志賀原発の防災は今や県全体の問題だというのに。
このような状況で志賀原発再稼動は、やはりありえない、あってほしくないと思います。
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