朝日新聞(8月18日)
先日は「世界」9月号の論文を紹介しながら「市町村消滅論の隠された狙い」について少し書いたが、今日は人口減少論を捉える視点を変えようという朝日新聞の社説を紹介したい。
これもある意味では人口減少論に対する危うさの指摘である。
安倍政権が6月に閣議決定した「骨太の方針」は、我々は今後も成長し続けなければならないという大命題の下、その行く手を阻む人口減少にいかに挑むか、その方針を示している。
①子どもを産んでもらえるよう、あらゆる政策を動員する。
②高齢者や女性にも働いてもらう。
③企業は絶え間なくイノベーションを起こす。
④過疎化する地域は集約化を進める
端的にいえば、産め。働け。効率化に努めよ。
まるで戦時体制である。
ここで千葉大・広井良典教授の視点を紹介している。
広井教授は鎌倉時代以降の日本の人口の推移を踏まえ、「人口減少は、成長への強迫観念や矛盾の積み重ねから脱し、本当に豊かで幸せを感じられる社会をつくっていくチャンスではないか」という。
「本当に豊かで幸せを感じられる社会」への動きとして島根県海士町や徳島県神山町、岡山県西粟倉村、秋田県藤里町を紹介している。
これらの地域は「骨太の方針」によって集約化される対象であるが、決して生き残り戦略を競い合い、地域間競争をたたかい抜いているわけではない。
「成長のために人を増やす → 幸せも広まる」という予定調和論を排して「幸せがあれば、そこに人が集まってくる」という発想の転換に立つ。
成長神話を脱し、すでに走り出しているこれらの地域にエールが送られている。
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