志賀原発の運転差止めを求める金沢訴訟の第33回口頭弁論が5月31日、金沢地裁で開かれた。
今回、裁判長の左手に座る左陪席の裁判官が後退したが、新たな裁判体も「原子力規制委員会の結論を待つ」という従来の方針を踏襲ることを明らかにした。
今回の弁論では、原告弁護団から裁判長に「その『結論』とは何を指すのか」と問う質問が飛んだ。
裁判長は「合議します」と述べ、別室で約6分間協議し、「敷地内断層についての判断」だとした。
これまでこのブログで何度も指摘してきたが、原子力規制委員会の新規制基準適合に関する審査会合において、敷地内断層の活動性の判断はほとんど審査の入り口段階の議論に過ぎない。
現在、周辺活断層についての審査が並行して進められているが、今後の審査の流れを紹介しておこう(以前も紹介したが)。
原子力規制庁が今春4月7日付けでまとめた「原子力発電所の新規制基準適合性審査の状況について」という資料のP16をご覧いただければまだまだ審査が続くことが一目瞭然となっている。
おそらく山門優裁判長らは、仮に規制委が敷地内断層の評価を覆したら、急いで結審し、判決を書こうとするだろう。
もたもた結審を遅らせると、審査会合で次々と新たな課題、争点が浮上しかねない。
敷地内断層の問題だけが専門的なわけではない。
全部が「専門的」である。
そうなると今の裁判体ならその都度「規制委の判断を待ちます」と言うしかない。
しかし、原子力規制委員会が審査しない住民の安全に関わる重大な課題が残っている。
原子力防災計画・住民避難計画だ。
今年3月、東海第二原発の運転差止めを命じた水戸地裁判決は、この避難計画の不備を指摘し結論を導いた。
山門優裁判長らは原子力防災・住民避難計画を争点にしたらどんな対応をするだろうか。
規制委は原子力防災計画の実効性を審査しない。
国も自治体も、実効性の有無を判断する指針等を持っていない。
さあ、誰の判断を待つ?
話が一昨日の報告からずれていってしまった。
詳細な報告は原告団ホームページをご覧ください。
法廷での順序は逆になったが、今回の口頭弁論は小松の山根靖則元県議の原告意見陳述から始まった。
山根さんのお父さんは、山根さんが3歳の時、硫黄島の戦いで戦死している。
先の大戦でに日米間で最も激しい戦闘が展開されたのが硫黄島の戦いだった。
意見陳述の中で山根さんは、「平和」憲法を父の遺言、「真実を貫く」生き方は母が一身をかけて自分にかけた願いと思い、「平和を守り真実を貫く」教員を目指してきたと語り、陳述の最後に、自らの息子になるような世代の裁判長に向かって「原発の真実を追求した裁判長」となるよう語りかけた。
久々に聞いた山根節だった。
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