北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

防災訓練を前にして街宣行動

2021-11-15 | 志賀原発廃炉訴訟


盛本副団長、浅田副団長、堂下事務局長とともに今日は志賀町で原告団街宣行動。





今にも雨になりそうな空模様の中、午前中はどんたく高浜店前、道の駅「ころ柿の里しか」入り口で活断層問題や規制委追随で司法の責任を放棄した金沢地裁の問題点などを訴える。



今月の街宣行動を志賀町内としたのは来週に原子力防災訓練が控えてるから。
訓練内容の詳細はまだわからないが、今回は南西からの風が吹き、放射能が北東方向へ拡散するという想定のようだ。
志賀町内震度6強の地震発生、外部電源喪失でPAZ(5km圏内)の住民は避難を開始するが、その外側のUPZ(5~30km圏)に住む住民はまずは屋内退避、そして放射線量が高くなってから避難となる。
今回の訓練では南西から風が吹いてくるので、原発の北東側、富来地区や七尾市中島地区、穴水町が該当する。
この地域の人たちの避難先は県の避難計画要綱によれば能登町や珠洲市、つまり北東方向、半島先端方向となる。
???と思うのが普通だろう。放射線量が高くなるまで自宅で退避し、放射線量が高くなってから放射能が流れる方向へ放射能と共に、あるいは放射能と前後して避難するという訓練である。

能登町や珠洲市の住民はどうしようもない。この不条理に対しては志賀原発の廃炉、一日も早い核燃料の撤去を求めるしかない。
PAZ内の志賀町民は放射能が漏れる前に避難行動を開始するからとりあえず良しとしよう(道路状態によっては放射能から逃げ切れるとは限らないが。後述)。
では、UPZ圏の富来地区や中島地区、もしかしたら穴水町も含め、それらの地区に住む住民は本当に半島先端方向へ逃げなければいけないのか。
いざというとき、そういう指示に果たして従うのか、私は不思議でならない。
事故の態様にもよるが、屋内退避で貴重な時間を浪費せず、PAZ住民と同時に避難行動を開始し、ツインブリッジや能越道を使って七尾市街方向へ、さらに氷見方向へと避難する方が安全だし、いざとなったらそういう行動に出る人も多いのではないか。



お昼ごろ、ようやく晴れ間が見えてくる。



防災訓練に関してもう一つ訴えたのは避難時の心構え、覚悟だ。
23日の訓練はお昼頃に避難先の施設に到着し、おそらくはお弁当を食べてまだ明るいうちに帰宅することになる。
「スムーズに避難できてメデタシ、メデタシ」で訓練は終了する。
しかし、いざ事故が起こって避難となったらいつ帰れるかわからないとう覚悟が必要だ。
福島から金沢へ避難した浅田さんは避難生活がついに11年目に入った。

志賀町の避難計画を見ると次のような記載がある。
「火の元や戸締りを確認し、持ち物は貴重品や着替えなど最小限にして〇〇の避難施設へ避難してください」
せめて2泊3日の旅行をイメージしてもらえれば、これではまずいことはすぐわかるだろう。
日頃薬を飲んでいる人は薬は必ず持っていかなければならない。
ワンちゃんや猫を飼っている人は、バスでの集団避難は難しい。
旅行と違って知人や近所の人に預けることもできないから、エサと水を多めに用意して留守番させるか一緒に避難するか決断しなければならない。連れていくなら自家用車での避難となる。
家は戸締りをすればいいというものではない。
立ち入り禁止区域となり避難がさらに長期化した場合、イノシシやハクビシンなどに荒らされることはまず覚悟しなければならないが、福島の例でいえば、無人の集落に防護服を着た泥棒が入って、荒らしまくるということもあった。被ばく覚悟なら盗み放題、玄関の鍵など意味をなさない。
避難時、通帳や印鑑、へそくりなども含め、何を持っていくかは真剣に考えておいた方がいい。
自家用車避難となるとガソリンも心配である。
県のシミュレーションでは30km圏外へ出るだけでも多くのケースで6時間以上を要する。地震時は道路の損壊、冬季は積雪や凍結などで道路事情によってさらに長時間の移動となる。
当面の目的地となる避難所はさらに遠方である。ガソリンスタンドは行列、あるいは売り切れもありうる。ガソリンは常に満タンに近い状態を維持するよう心掛けておいた方がいい。道中の食糧、冬季は防寒対策も必要だ。
などなど・・・考え出したらキリがない。
さらに避難が長期化した場合の仕事のことや子どもの教育などなど、考えれば考えるほど原発事故による避難が深刻であること、お分かりいただけると思う。



こんな事態に至らないよう、私たちは差止め訴訟に取り組んでいる。
23日の原子力防災訓練当日は、あらためてみんなで能登に原発という危険物があるという現実に向き合う日となるなら、訓練を実施する意味もあるだろう。



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