志賀原発を廃炉に!訴訟第31回口頭弁論が昨日(11月5日)、金沢地裁205号法廷で開かれた。
口頭弁論の内容については、すでに原告団HPにアップされているのでご覧にただきたい(こちらから)。
ここでは今回の口頭弁論に関して、私なりに気になったことを3点に絞って書いてみたい。
まずは傍聴制限についてである。
コロナ感染防止のため、前回は傍聴者と傍聴者の間を2席ずつ空けて座るようにし、傍聴者は満席の約3分の1の23人とされた。
今回は傍聴者の間の空席を1席とし、傍聴者は36人と増やされた。
それでも傍聴希望者はその人数を上回っていたため抽選がおこなわれた。
私はこの間、必要かつ合理的な新型コロナ感染防止対策は、原告団としても積極的に協力するが、コロナを不当に利用し、必要以上の権利制限をおこなうようなことは許されないと述べてきた。
新型コロナについては、すべてが解明されたわけではないが、感染防止策についてはかなりの知見が蓄積されてきた。
国は9月11日、新たな感染防止のための基準を公表し、石川県もそれに沿って新たな方針を示している。
それによれば9月19日から11月末までの期間の屋内イベントについては、徹底した感染防止対悪を前提に、「入退場時や区域内の適切な行動確保ができる」場合で、かつ「大声での歓声、声援等なし」で、かつ「参加者の位置が固定できる」、かつ「観客定員設定あり」の場合は、「収容定員の100%まで可」とされている。
裁判の傍聴は「イベント」ではないが、傍聴席から規則に反して大声での野次や声援等を発しない限り、法廷内の傍聴席は明らかにこの基準を満たしている。今回は収容人員の50%になったとはいえ、国・県の基準に照らせば慎重過ぎる対応である。
この対応は金沢地裁だけではなく、また原発裁判に限ったものでもない。最高裁の方から基準が示され、各裁判所はそれに従っているものと思われるが、コロナ禍を奇貨として憲法82条の「裁判の公開」を徐々に制限していこうとする動きがあるのではないのか、警戒が必要である。
2つ目は、「原子力規制委員会の結論を見守る」という裁判長の方針の下、弁論は開かれるがその中身は、原告意見陳述(これは原告からの求めに応えて毎回認めている)と被告・北電側からの規制委適合性審査の報告で終わる(今回はそれすら「上申書の提出」で済まされいる)異常な裁判になっているというでことについてだ。
この間、何度も指摘していることだが、私たちは行政機関の一つである原子力規制委員会の審査状況の報告を聞きたくて裁判に訴えているわけではない。原子力規制委員会のHPを開けば議事録や会議映像、会議で提出されている分厚い資料はすべてアップされてるわけで、法廷で被告から手前味噌な解釈も交えた報告をあえて聞くまでもない。
これでは裁判を起こすこと自体が無駄、司法の存在意義自体が根本から問われることになる。
とはいえここで私たちが訴訟を取下げてしまっては、喜ぶのは北電であり、また担当裁判官であるから、決して取下げはしないが、自らの頭で考えることをしない裁判官は、表現は悪いが税金泥棒以外の何ものでもない。何のために裁判官をやっているのか、私には不思議でならない。
今回は、原告代理人の早期結審の主張を受け、もったいぶって「合議します」と弁論を中断したが、その間にコロナ感染防止で換気をしただけで、戻ってきた裁判長は「前回示した審理方針は変更しない」とさらりと述べて、次回期日を決めて閉廷となった。
茶番もいい加減にしろと言いたい。
3つ目は、次回期日についてである。
裁判長は、来年2月4日でどうかと原告・被告双方の代理人に提案したところ、被告代理人からもう少し先にしてもらえないかとの要望がでた。
適合性審査の報告しかしない被告・北電だが、それまでに次回適合性審査が開かれるかどうか未定で、仮に直前に開催されても、内容を咀嚼して報告するにはそれなりの時間が必要とのこと。
仮に弁論が開かれても、報告することがないかも、と心配しているようだ。
7月10日の適合性審査では、従来の上載地層法に加え、鉱物脈法で断層の活動性を否定する方針を示し、そのためのデータが揃えられていることについて、規制委の石渡明委員は「大きな進展」と評価する発言もあった。
ところが北電は8月以降、データの整合性を高めるためとして追加のボーリング調査を実施している。さらにその後の北電と原子力規制庁とのヒアリングでも「結論として皆さん(北電)の論理構成がよくわからなくって・・・」といった発言が規制庁側からあるなど、詳細は不明だが次回適合性審査開催に向けた準備はスムーズには進んでいないようだ。
仮に7月10日の審査会合から半年たっても進展が見られないようなら、あらためて裁判長の「規制委の判断を待つ」という方針の是非が厳しく問われることになる。
被告代理人も裁判官も心配することはない。
被告代理人は、適合性審査がろうとなかろうと、断層の活動性を否定する(と自ら信じる)データが本当にあるのなら、適合性審査の進捗と関係なく直ちに示せばいいだけのことである。
裁判所はそれが原告のこの間の主張・立証を覆すに足るものかを判断すればいいだけのことである。
一刻も早く本来の訴訟の進行形態に戻ってもらいたいものだ。
次回2月4日(木)午後2時からの第32回口頭弁論、引き続きの傍聴制限があるかもしれないが、皆さんぜひ傍聴予定を入れておいてください。
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