北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

このパンは食べてみたい

2016-01-11 | 


今朝(1月11日)の北陸中日新聞「こちら特報部」で紹介されている「腐る経済」。
昨年秋、友人のFBで知り、さっそく購入し読んだが、実におもしろい。

日本で初の天然麹菌で発酵させたパンづくりに至る菌との格闘の日々の記録だけでも十分に読み応えがあるが、加えてパン作りを通じて地域経済の在り方を考え、さらに現代の経済の問題点を見抜き、貨幣とは何か、労働とは何か、搾取なき経営とはいかにあるべきかと、まさにマルクスが研究したテーマを解き明かし「腐る経済」にたどり着くところが実にお見事。

といっても、分厚くて難解な資本論に対抗するような本ではなく、日々のパンづくりや子育ての中で普通に使っている言葉で資本主義経済の本質に迫っていく。人に分かりやすく伝えるという意味では、著者の渡辺格さんはもしかしてマルクスより賢いんじゃないの?と思えてくるほどだ。

20年ほど前に日本でもかなり関心の高まった地域通貨の考え方ともしっかりつながっている。
「里山資本主義」で紹介された岡山県の真庭市に移住してのパン作りも、偶然ではなく必然だったか。
さらに真庭市から県境を越えて鳥取県の智頭町に移転したが、智頭町も近年の若者の田園回帰の流れの中で注目されている町の一つだ。
渡辺さんは徹底的に菌と向き合い、菌の声を聞くように努める。
この姿勢はパン作りだけではなく子育てや人間関係、社会の捉え方にもつながっていく。

最近読んで興味深かった本、あるいは注目している情報の接点、というかど真ん中に渡辺格さん、そして連れ合いの麻里子さんの生き方、暮らし方、働き方がある。
ならばその根っこにある天然麹菌のパンとはいったいどんな美味しさなのか、この本を読み終え、ぐるりと一回りして2人がつくるパンに興味がとても湧いてきた。ぜひ食べてみたい。

実は私、毎日の三度三度の食事はほとんどご飯である(TPP反対!)。
たまに金沢などで昼食にラーメンを食べることもあるが、その時もライスの小をセットにしないと食べた気分なれない。
金沢に向かう時にコンビニで昼食用にパンを買うこともあるが、その時もおにぎりか手巻き寿司を必ずセットで買う。
そんな私だが、いつかこの天然麹菌のパンを口にしたときに違いが分かるよう、あちこちのパン屋さんでいろんなパンを食味しておかねばと思う今日この頃である。








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