12月議会最終日。
補正予算含め市長提出議案はすべて全会一致で可決。
採決で対応が割れたのは請願2件。
集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回を求める意見書を採択してほしいという請願と、日米ガイドラインの再改定協議を中止せよという意見書を採択してほしいという請願の2件(両請願とも紹介議員は私)で、いずれも提出者は「戦争をさせない石川の会」。
結果は、集団的自衛権はについては賛成2、反対8(棄権2)、ガイドラインについては賛成1、反対9(棄権2)であった。
安倍政権が勝利すると、来年度予算案が可決された4月以降、集団的自衛権関連の法案が次々と提出される。
そんな流れが予想される中、日米ガイドラインの再改定交渉で法案の中身が見えてくる。
必要最低限の武力行使という触れ込みがいかにデタラメかよくわかる。
ここは来春の統一自治体選挙の全国的な争点にしなければならない。
地方から安倍政権ノーの声をあげていかなければ日本は戦争への道を突き進んでいく。
そもそも日米交渉によって日本の法律の内容が決まっていくこと自体が問題。
日本はアメリカの51番目の州だから仕方ないと笑ってはいられない。
アメリカの州政府ですら、ここまで連邦政府の言いなりではない。
以下、私の賛成討論です(請願への賛成討論で、集団的自衛権や日米ガイドライン交渉に賛成という討論ではありません。念のため)。
請願第4号「集団的自衛権行使を容認する閣議決定撤回を求める意見書」採択を求める請願書および請願第5号「日米軍事協力の指針(ガイドライン)の再改定作業の即時中止を求める意見書」の採択を求める請願書に賛成の立場から討論をさせていただきます。
請願第4号が求める意見書は、今年7月1日、安倍内閣がおこなった集団的自衛権の行使容認の閣議決定の撤回を求めるものです。この閣議決定は以下に述べるように、憲法に違反することは明らかであると同時に日本の安全保障環境を危うくするものであると考えます。また1内閣の判断による解釈変更は立憲主義を否定するものであり、手続き的にも許されるものでもありません。閣議決定の撤回要求は当然のことであり、意見書は可決すべきものであると考えます。
まず憲法との関係です。集団的自衛権の本質は他国防衛です。同盟国への武力攻撃に対して、直接攻撃を受けていない第3国が共同で武力を行使し支援するのが集団的自衛権であり、「武力による威嚇又は武力の行使は国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と定めた憲法9条1項に違反することは明らかです。
行使容認を認める立場からは「抑止力が高まり、紛争が回避され、日本が戦争に巻き込まれることがなくなる」との主張も聞かれます。わかりやすく言えば、米軍が戦争するときには自衛隊も一緒になって戦うと約束しておけば、いざ有事のとき、米軍はより確実に、より強力に支援してくれることになる。だから日本が攻撃される可能性はより低くなる。抑止力は高まるのだ」という発想です。論理矛盾であることは明らかです。この100年、世界で最も戦争をしているのは米国です。軍隊の侵攻なども含めると実に41回に及びます。ここで言う「抑止力」を高めるには、いざという時には応援しますよという空手形ではなく、自衛隊が米軍と共に血を流し、あるいは他国の人を殺傷する行動が求められます。紛争回避ではなく、まさに戦争中毒とも言われている米国の戦争に巻き込まれる危険性が飛躍的に高まることは明らかです。
当然、東アジア諸国との外交関係にも影響を及ぼします。自衛隊の海外展開に向けた装備強化は周辺諸国との軍事的緊張関係をいやが上にも高めることになります。東アジアの平和構築に逆行し、日本の安全保障環境をむしろ悪化させるものと言わざるをえません。
行使容認の閣議決定では、武力行使の前提条件として新しく3要件を設けたので、武力行使は必要最小限度にとどまるとの主張があります。最小限度なら憲法は容認するのかという論点もありますし、加えてここに示された3要件が本当に歯止めになるのかという論点もあります。後で触れるに日米ガイドラインの問題を見れば明らかなように全く歯止めにはなっていません。
何より懸念されるのは、米国から戦争への協力要請があった場合、これまでのように憲法上の制約を理由断ることができなくなったということです。曖昧な閣議決定の文言ですから、米国の要請を受けるかどうかは時の政府・与党の政治判断に負うことになります。かつてイラク戦争のとき、小泉政権は真っ先にアメリカの開戦に支持を表明しましたが、フランスやドイツは参戦しませんでした。今ではフランス、ドイツの判断が正しかったことは明らかなわけですが、この時、アメリカ政府関係者からは「フランスを罰し、ドイツは無視する」という発言がありました。この間のアメリカ追随の歴代内閣の行動をみたとき、果たして日本政府がフランスやドイツのようにノーと言えるのでしょうか。米国の要請を断れば日米関係の悪化は避けられないとして、対米軍事支援が事実上義務となっていくのではないでしょうか。
閣議決定という手続き問題にも少し触れてきたいと思います。「憲法上、集団的自衛権の行使はできない」とする歴代政府の見解は戦後一貫しており、国会審議もこれを前提に積み重ねられてきました。これに対して安倍首相は「安全保障環境の一層の悪化」を理由に、改憲では間に合わないとして行使容認の閣議決定に踏み込みました。しかし、かつてのソ連脅威論はじめ歴代内閣は常に安全保障上の危機を語り続けています。それでも集団的自衛権の行使に踏み込もうとする内閣は一つもありませんでした。単に頭の固い、融通の利かない内閣法制局長官だけがダメ、ダメと言いつつけてきたわけではありません。安倍首相の祖父にあたる岸信介(のぶすけ)首相はじめ、中曽根首相、小泉首相を含む歴代の総理大臣が国会でみずから答弁しています。これを踏まえて国会でも数多くの議論が積み重ねられ、様々な制度が構築されてきたわけです。
憲法という比較的短い文言からなる条文の解釈について、私たち素人から見れば、白を黒とは言えないにしても、グレーの度合いはどうにでも解釈できるのではないかと思いがちです。しかし、内閣法制局の解釈は実に緻密に積み重ねられています。例えていうなら詰将棋のようなもので、あらゆる角度からの疑問や批判も想定しながら何十手も先まで読み切ります。集団的自衛権の行使はできないという憲法第9条の解釈は、羽生名人でも覆せない詰みの状態だと言われています。仮に集団的自衛権を行使しようとするならば、憲法を改定する以外に道はありません。
閣議決定で憲法解釈の変更が許されるなら、政権交代ごとに憲法解釈が揺れ動くことになりかねません。独裁国家ならいざしらず、法治国家とは到底言えません。今回の閣議決定は憲法秩序を根底から破壊するものであり、許されるものではありません。
以上の理由により本請願は採択すべきものと考えます。
次に請願第5号についてです。本請願で求める意見書は、日米両政府間で現在協議されている日米軍事協力の指針、以下ガイドラインとさせていただきますが、このガイドラインの再改定作業の中止を求めるものです。
ガイドラインは日本が攻撃された際の自衛隊と米軍の役割を記した文書です。冷戦下の1978年、ソ連の侵攻に備えて初めて策定されました。その後1997年に改訂され新ガイドラインとなり、現在のガイドライン再改定協議は、いまほど述べてきた集団的自衛権行使容認の閣議決定を受け、その内容を具体化するためのものです。
以下、その内容と手続きに関わる問題点について簡潔に指摘したいと思います。
1997年に改訂された現行の新ガイドラインは、それまで「極東における事態」としてきた防衛協力の範囲を日本周辺での戦争、いわゆる周辺事態にまで拡げました。より広いアジア太平洋地域へと対象を拡大したわけです。これ自体、当時から憲法違反の疑いが指摘されているわけですが、10月8日に公表された中間報告は、この「周辺事態」という地理的な制約すら取り払い、地球の裏側までも活動範囲を広げるものとなっています。
活動内容についても従来の「後方支援」という概念をなくし、戦闘地域での米軍支援に道を開くものとなっています。国際的には完全に戦争参加と言われる行為です。集団的自衛権行使を必要最小限に限定するどころか、危惧された通り、自衛隊と米軍の際限のない一体化を進めるものであり、憲法無視も甚だしいと言わざるをえません。
手続き的にも問題があります。集団的自衛権に関わる法案は次期通常国会で提出が予定されており、ここで憲法との関係はもちろん、従来の有事法との整合性も含め、様々な議論が予想されています。国の形を変えてしまう閣議決定であり、法案審議の段階では大いに議論してもらわなければなりません。こうした中、外務大臣、防衛大臣がアメリカ政府の国務長官、国防長官とガイドライン再改定の政府間協議を事前に進め、集団的自衛権の行使容認を外交上、既成事実化させていくことは許されません。国民不在、国会不在、民主主義の否定につながるものと言わざるを得ません。
以上の理由により、ガイドライン再改定作業はただちに中止するべきです。
最後に請願第4号、第5号の採択について議員各位の賛同を求め、討論とさせていただきます。
補正予算含め市長提出議案はすべて全会一致で可決。
採決で対応が割れたのは請願2件。
集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回を求める意見書を採択してほしいという請願と、日米ガイドラインの再改定協議を中止せよという意見書を採択してほしいという請願の2件(両請願とも紹介議員は私)で、いずれも提出者は「戦争をさせない石川の会」。
結果は、集団的自衛権はについては賛成2、反対8(棄権2)、ガイドラインについては賛成1、反対9(棄権2)であった。
安倍政権が勝利すると、来年度予算案が可決された4月以降、集団的自衛権関連の法案が次々と提出される。
そんな流れが予想される中、日米ガイドラインの再改定交渉で法案の中身が見えてくる。
必要最低限の武力行使という触れ込みがいかにデタラメかよくわかる。
ここは来春の統一自治体選挙の全国的な争点にしなければならない。
地方から安倍政権ノーの声をあげていかなければ日本は戦争への道を突き進んでいく。
そもそも日米交渉によって日本の法律の内容が決まっていくこと自体が問題。
日本はアメリカの51番目の州だから仕方ないと笑ってはいられない。
アメリカの州政府ですら、ここまで連邦政府の言いなりではない。
以下、私の賛成討論です(請願への賛成討論で、集団的自衛権や日米ガイドライン交渉に賛成という討論ではありません。念のため)。
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請願第4号「集団的自衛権行使を容認する閣議決定撤回を求める意見書」採択を求める請願書および請願第5号「日米軍事協力の指針(ガイドライン)の再改定作業の即時中止を求める意見書」の採択を求める請願書に賛成の立場から討論をさせていただきます。
請願第4号が求める意見書は、今年7月1日、安倍内閣がおこなった集団的自衛権の行使容認の閣議決定の撤回を求めるものです。この閣議決定は以下に述べるように、憲法に違反することは明らかであると同時に日本の安全保障環境を危うくするものであると考えます。また1内閣の判断による解釈変更は立憲主義を否定するものであり、手続き的にも許されるものでもありません。閣議決定の撤回要求は当然のことであり、意見書は可決すべきものであると考えます。
まず憲法との関係です。集団的自衛権の本質は他国防衛です。同盟国への武力攻撃に対して、直接攻撃を受けていない第3国が共同で武力を行使し支援するのが集団的自衛権であり、「武力による威嚇又は武力の行使は国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と定めた憲法9条1項に違反することは明らかです。
行使容認を認める立場からは「抑止力が高まり、紛争が回避され、日本が戦争に巻き込まれることがなくなる」との主張も聞かれます。わかりやすく言えば、米軍が戦争するときには自衛隊も一緒になって戦うと約束しておけば、いざ有事のとき、米軍はより確実に、より強力に支援してくれることになる。だから日本が攻撃される可能性はより低くなる。抑止力は高まるのだ」という発想です。論理矛盾であることは明らかです。この100年、世界で最も戦争をしているのは米国です。軍隊の侵攻なども含めると実に41回に及びます。ここで言う「抑止力」を高めるには、いざという時には応援しますよという空手形ではなく、自衛隊が米軍と共に血を流し、あるいは他国の人を殺傷する行動が求められます。紛争回避ではなく、まさに戦争中毒とも言われている米国の戦争に巻き込まれる危険性が飛躍的に高まることは明らかです。
当然、東アジア諸国との外交関係にも影響を及ぼします。自衛隊の海外展開に向けた装備強化は周辺諸国との軍事的緊張関係をいやが上にも高めることになります。東アジアの平和構築に逆行し、日本の安全保障環境をむしろ悪化させるものと言わざるをえません。
行使容認の閣議決定では、武力行使の前提条件として新しく3要件を設けたので、武力行使は必要最小限度にとどまるとの主張があります。最小限度なら憲法は容認するのかという論点もありますし、加えてここに示された3要件が本当に歯止めになるのかという論点もあります。後で触れるに日米ガイドラインの問題を見れば明らかなように全く歯止めにはなっていません。
何より懸念されるのは、米国から戦争への協力要請があった場合、これまでのように憲法上の制約を理由断ることができなくなったということです。曖昧な閣議決定の文言ですから、米国の要請を受けるかどうかは時の政府・与党の政治判断に負うことになります。かつてイラク戦争のとき、小泉政権は真っ先にアメリカの開戦に支持を表明しましたが、フランスやドイツは参戦しませんでした。今ではフランス、ドイツの判断が正しかったことは明らかなわけですが、この時、アメリカ政府関係者からは「フランスを罰し、ドイツは無視する」という発言がありました。この間のアメリカ追随の歴代内閣の行動をみたとき、果たして日本政府がフランスやドイツのようにノーと言えるのでしょうか。米国の要請を断れば日米関係の悪化は避けられないとして、対米軍事支援が事実上義務となっていくのではないでしょうか。
閣議決定という手続き問題にも少し触れてきたいと思います。「憲法上、集団的自衛権の行使はできない」とする歴代政府の見解は戦後一貫しており、国会審議もこれを前提に積み重ねられてきました。これに対して安倍首相は「安全保障環境の一層の悪化」を理由に、改憲では間に合わないとして行使容認の閣議決定に踏み込みました。しかし、かつてのソ連脅威論はじめ歴代内閣は常に安全保障上の危機を語り続けています。それでも集団的自衛権の行使に踏み込もうとする内閣は一つもありませんでした。単に頭の固い、融通の利かない内閣法制局長官だけがダメ、ダメと言いつつけてきたわけではありません。安倍首相の祖父にあたる岸信介(のぶすけ)首相はじめ、中曽根首相、小泉首相を含む歴代の総理大臣が国会でみずから答弁しています。これを踏まえて国会でも数多くの議論が積み重ねられ、様々な制度が構築されてきたわけです。
憲法という比較的短い文言からなる条文の解釈について、私たち素人から見れば、白を黒とは言えないにしても、グレーの度合いはどうにでも解釈できるのではないかと思いがちです。しかし、内閣法制局の解釈は実に緻密に積み重ねられています。例えていうなら詰将棋のようなもので、あらゆる角度からの疑問や批判も想定しながら何十手も先まで読み切ります。集団的自衛権の行使はできないという憲法第9条の解釈は、羽生名人でも覆せない詰みの状態だと言われています。仮に集団的自衛権を行使しようとするならば、憲法を改定する以外に道はありません。
閣議決定で憲法解釈の変更が許されるなら、政権交代ごとに憲法解釈が揺れ動くことになりかねません。独裁国家ならいざしらず、法治国家とは到底言えません。今回の閣議決定は憲法秩序を根底から破壊するものであり、許されるものではありません。
以上の理由により本請願は採択すべきものと考えます。
次に請願第5号についてです。本請願で求める意見書は、日米両政府間で現在協議されている日米軍事協力の指針、以下ガイドラインとさせていただきますが、このガイドラインの再改定作業の中止を求めるものです。
ガイドラインは日本が攻撃された際の自衛隊と米軍の役割を記した文書です。冷戦下の1978年、ソ連の侵攻に備えて初めて策定されました。その後1997年に改訂され新ガイドラインとなり、現在のガイドライン再改定協議は、いまほど述べてきた集団的自衛権行使容認の閣議決定を受け、その内容を具体化するためのものです。
以下、その内容と手続きに関わる問題点について簡潔に指摘したいと思います。
1997年に改訂された現行の新ガイドラインは、それまで「極東における事態」としてきた防衛協力の範囲を日本周辺での戦争、いわゆる周辺事態にまで拡げました。より広いアジア太平洋地域へと対象を拡大したわけです。これ自体、当時から憲法違反の疑いが指摘されているわけですが、10月8日に公表された中間報告は、この「周辺事態」という地理的な制約すら取り払い、地球の裏側までも活動範囲を広げるものとなっています。
活動内容についても従来の「後方支援」という概念をなくし、戦闘地域での米軍支援に道を開くものとなっています。国際的には完全に戦争参加と言われる行為です。集団的自衛権行使を必要最小限に限定するどころか、危惧された通り、自衛隊と米軍の際限のない一体化を進めるものであり、憲法無視も甚だしいと言わざるをえません。
手続き的にも問題があります。集団的自衛権に関わる法案は次期通常国会で提出が予定されており、ここで憲法との関係はもちろん、従来の有事法との整合性も含め、様々な議論が予想されています。国の形を変えてしまう閣議決定であり、法案審議の段階では大いに議論してもらわなければなりません。こうした中、外務大臣、防衛大臣がアメリカ政府の国務長官、国防長官とガイドライン再改定の政府間協議を事前に進め、集団的自衛権の行使容認を外交上、既成事実化させていくことは許されません。国民不在、国会不在、民主主義の否定につながるものと言わざるを得ません。
以上の理由により、ガイドライン再改定作業はただちに中止するべきです。
最後に請願第4号、第5号の採択について議員各位の賛同を求め、討論とさせていただきます。
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