北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

「希望は戦争」を捨てた赤木智弘氏

2014-11-24 | 雑感
  

今週の週刊金曜日の特集は「非正規雇用2000万人時代」である。
企画は衆議院の解散風が吹く前に立てられていたと思うが、結果的に今回の衆議院選挙の争点の一つである労働法制の改悪問題をタイムリーに取り上げることになった。
POSSE代表・今野春貴氏の「非正規雇用の構図に大きな変化が起きている」は非正規雇用の構図の全体像と問題点をわかりやすく解説し、毎日新聞・東海林智氏の「『正社員ゼロ』『残業代ゼロ『』労働の商品化が加速する」は安倍政権の労働規制緩和を鋭く批判する。
JK産業や臨時教員問題も取り上げている。

私の一番興味深ったのは5本目の「赤木智弘×雨宮処凛」の対談記事。
赤木氏と言えば8年前、月刊誌「論座」で「31歳、フリーター。希望は戦争」を投稿して注目された人だ。
貧困と格差を拡大させる非正規雇用問題を告発するのはいいが、解決策として「希望は戦争」と挑発的な物言いをしたことに対しては週刊金曜日はじめ各方面から多くの批判にも晒された。
今回はその週刊金曜日への登場、そして非正規雇用がさらに拡大する中である。何を語るのか・・・

「希望は戦争」の中で赤木氏が求めたのは、社会が崩壊する事によって日本社会全体がリセットされることだった。
この8年間、日本には戦争こそ起こらなかったが、東日本大震災と東電福島第一原発事故によって戦後最大といえる大崩壊が起こった。
これについて赤木氏はこう述べる。
「持っているものを失うことはとてつもなく理不尽なこととされる一方、元々持たざることの理不尽は一顧だにされなかった。3.11でそれが明確になってしまった。そう考えると『希望は戦争』は理想論にすぎなかった」と吐露する。
雨宮処凛さんがこれに続けて「3.11後、貧困問題に関して声を上げづらくなった。『甘えるな、東北の人をたちを考えろ』とバッシングされた。相対的貧困率は過去最悪なのに、問題を口にだせなくなった」と厳しさを増す貧困の現場を報告する。

安倍政権が集団的自衛権の行使容認に踏み込み、戦争の危険が一段と現実味を帯びる中、非正規雇用の若者の中からも安倍政権の戦争政策に期待を寄せる声が聞かれる。
ぜひ赤木氏の発言にも耳を傾けてもらいたい。

この対談でもう一つ興味深かったのは、非正規問題の打開策についての発言だ。
「具体的対策とはいえないが、今の日本の根底にある『賃労働の重要度』というものを引き下げていく必要があるだろう。賃労働が重要かつ貴重であればあるほど格差がどんどん拡大していくからだ。もう一つ、『承認』を与える場が会社だけという現状を変えることも重要だ」
これって結構「里山資本主義」に通じる話ではないか。
※現状、会社による『承認』からSNSによる『承認』に流れる若者が多くいるが、これは赤木氏が言う『承認』ではない。


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