北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

菅政権よりもっと悪い政権とは?

2011-01-28 | 雑感
 週間金曜日1月28日号が届く。
 「政権交代」の理論面での立役者・山口二郎北海道大学教授の政治時評は必ず読むようにしている。
 
 民主党が連携に向け秋波を送る社民党は法人税減税や辺野古新基地関連予算に反対し、公明党も菅総理の政権担当能力に大きな疑問符を付け「総辞職か解散を」と迫っている。
菅内閣3月退陣説が現実味を帯びてくる。

 こうした中、山口氏は菅内閣崩壊となれば次の総理が誰になろうと解散総選挙は不可避とし、政界再編含みの展開を予想する。そして、そこで出てくるのがみんなの党や怪しげな地方首長などポピュリズムやデマゴーグだと警戒する。
 「今よりもっと悪いものが出てくることが確実なときに、わざわざ最悪を引き寄せるべきではない」とし、菅内閣の継続が最善の選択だと主張する。

 確かにみんなの党や河村名古屋市長、橋本大阪府知事らが主導する政党がさらに大きく幅を利かす政治は想像したくもないが、その一方で菅内閣が「よりマシ」政権であるという評価もハタ!と考えこんでしまう。
 山口氏の「よりマシ」だとする根拠は、雇用の拡大、社会保障の強化に対する菅首相の「本物の思い」である。

 その根拠の是非はさておき、森、小泉、安倍、福田、麻生と続き、さらに鳩山、菅とコロコロ変わる政権交代劇は、確かに下には下があるもんだという現実を私たちに突きつけている。
 
 「世界」の2011年2月号でジャーナリストの山崎柊氏は、政治の混迷の常態化を前にし、その原因を政権固有の問題と近年の政治構造上の問題に仕分けするべきと指摘する。

 菅内閣については、政権固有の問題としては野党の習性、党内対策の欠如、組織としての未熟さをあげ、構造上の問題として、有効な処方箋が示しにくい少子高齢化、年金、医療制度の劣化、社会保障費の増大による国家財政の悪化をあげる。

 確かに構造上の問題を固有の問題として批判しても、それは非生産的な「非難」としかならない。構造上の問題にどう対処するか、その方針と展望なしで政権交代を繰り返しても、それは「与党の交代」でしかなく、「政治の質の向上」は保証しないことだけは認識しておかなければならない。

 山口氏の政治時評に戻るが、氏は「今最も必要なことは菅首相が「生活第一」という理念を堅持し、この理念を社会保障や雇用政策の根本にすえることを約束するという言明である」とし、その上で、ねじれ国会の中、腹をくくって政策論議を仕かけるべきだと言う。

 「生活第一」も腹をくくった政策論議も今のところ皆目見えないが、国会はこれから予算委員会の論戦に入る。山口氏の声がどこまで菅首相に届くか注目していきたい。
 


コメントを投稿