北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

志賀2号の評価対象断層が確定 ゴールなきスタートラインへ

2020-10-03 | 志賀原発

   北國・北陸中日新聞(2020.10.3)

昨日(10月2日)、原子力規制委員会の新規制基準適合性に係る審査会合が開かれ、志賀原発の敷地内で活動性があるかどうか(活断層かどうか)の判断が必要な「評価対象断層」について、海岸部の「K-18」を追加し、最終的に陸域6本、海岸部4本の計10本とすることが確定した。


  北國新聞(2020.10.3)

昨日の会合に限って言えば「北陸電力が示した方針を規制委側が了承した」となるが、この間の経緯を振り返ると、評価対象断層を一本でも減らしたい北電と漏れがないよう万全を期したい規制委側との攻防の末、最終的に北電が規制委の指摘を丸呑みしたということになる。
特に海岸部は、いざというときの「冷やす」機能に不可欠な原子炉補器冷却系配管という重要構造物が設置されてるにもかかわらず、1号機の計画時(計画公表は1967年11月)から規制委員会の審査会合が始まるまで(2016年6月)、北電は断層の存在を確認するためのまともな調査すら行わず、審査会合でも当初は海岸部の断層を評価対象にすることすら考えていなかった。
規制委員会とのヒアリングを重ねる中でようやくK-2を対象とすることにし(Kは海岸部の断層)、その後、規制からの指摘でK-3を加えた2本とすることとし、さらに今年3月13日の会合でK-14を加えた3本とする方針を提示した(私のブログ「評価対象断層は陸域6本、海岸3本+α」参照)。
しかし、3本に絞ることについても規制委側は「不確かさがある」と納得せずさらなる検討をもとめており、昨日の審査会合で4本を示すに至ったというわけである。



規制委の指摘をようやく受け入れたということで昨日の審査会合(資料等はこちらから映像はこちらから)は、規制委側からの厳しい質問や指摘もなく淡々と終了した。



ようやく活動性の本格審査に入るスタートラインということだが、有識者会合の評価書が規制委に提出されたのが2016年4月。
4年6カ月、この間、敷地の地質・地質構造の審査会合に絞っても13回の審査会合が重ねられている。
ようやく活動性の有無を審査するスタートラインだが、「これぞまさに活断層」との指摘を覆してゴールにたどり着けるとは私には思えない。



淡々と終了した審査会合だが、一点新たな報告があったので紹介しておきたい。海岸部の断層について、3月13日の審査会合では従来の11本から10本増えて21本とされたことを前掲のブログで指摘したが、今回の審査会合ではさらに5本追加され26本とされた。その中から4本を選定したということである。
北電は長く海岸部の断層を断層と認めず、浸食作用によってできたシームとしてまともな調査すら行ってこなかったのである。
北電の安全意識はその程度のものだということをあらためて指摘しておきたい。

最後に、次回(第31回)の志賀原発を廃炉に!訴訟口頭弁論は11月5日午後2時から。
北電代理人からは「評価対象断層が確定しました。審査は着々と進展しています!」という報告があるのだろうが、私たちは規制委の審査状況を聞きたくて提訴したわけではない。
規制委追随の司法はいらない。


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