先日紹介した地域再生人材大学サミットin能登の公開シンポジウムが輪島市文化会館で開催された。
午前中の基調講演は県内外からの参加者で1200席の会場に立ち見がでるほどの超満員(特に輪島市頑張った!)。
5年目を迎えた能登里山マイスター養成プログラムを次年度以降どのように継承・発展させるか、特に財源問題が絡んでまだ確たる姿が決まってはいないが、今年3月に設立された能登キャンパス構想推進協議会をベースにして協議が重ねられている。
今日のシンポはその能登キャンパス構想推進協議会が主催する初めての取り組みとなる。
全体を通じて印象深かったのは、大学が従来の教育と研究の施設から社会貢献、地域連携の分野に大きく踏み出しているということだ。
県内では金沢大学の里山里海プロジェクトはじめ星稜大学、金沢工大などが様々な地域と連携した活動を展開しているが、全国各地の大学が文科省の地域再生人材プログラムを活用して53のプロジェクトとして動いているという。
大学も少子化時代を迎え、さらに国立大学は独立法人化され、従来の枠に収まっていては存続が危ぶまれる時代を迎えたということもあるだろうけど、中村浩ニ金沢大学大学学長補佐の「能登を地域再生のモデルに」「能登を国内最高レベルの研究拠点に」という言葉は心強い。
もっとも心意気だけでなく財源の裏付けがこれから求められるが・・・
午後のパネル討論会も中身の濃いものだった。テーマは「ニッポンの転機!大学は地域再生、その人材養成にどうかかわればいいのか」
テーマは長いが時間はわずか2時間。欲を言えば最低3時間はとってほしかった。
午前中の基調講演に続いてパネリストとして参加した気仙沼の畠山重篤さん。「森は海の恋人」を掲げて漁師が植林する運動を展開したことで有名だ。話を聞くのは確か2度目のような気がするが一回目がどこでだったか思い出せない。
それはともかく、東日本大震災を経ての発言、さらに一言ひと言の重みが増したように思う。
いまでこそ産学連携が当たり前のように語られているが、私の学生時代は「産学連携粉砕」「学問の自由を守れ!」の時代だった。
いまどきそんなことを言っていても相手にされないことは十分承知をしているが、ただ、畠山さんのように学問はどうあるべきか、地域とどう関わるべきか、そんな哲学をしっかりもって進まないと、産学連携がますます薄っぺらなものになり、大学が金儲けに利用されるだけになったり、逆に大学のPRに終わってしまったりするのではないか。そんな意味でも畠山さんの講演はずりりと重い話だった。
パネリストとして最後に発言したのが珠洲の大野長一郎君。時間が押してわずか5分程度の発言になったのは気の毒であり残念だったが、そのわずかな時間で今日のシンポの核心を突く発言を的確におこなったはさすが!
畠山さんとの出会いの中で植林の意義を確認。さらに里山マイスター養成プログラムでで製炭業の意義を科学的に分析・解明し自分の仕事に確信をもっていくプロセスが簡潔に報告された。そして「地方に人が住む価値(意義)」を会場の参加者に問うた。
実は同じ問いかけを以前、彼と話しているときに受けたことがある。
狭い珠洲の中でも彼の住む東山中地区はこれまた不便なところ。冬場の除雪や水道を引くだけでも財政の負担は大きい。年老いた人の中には「ここに住み続けることに罪悪感を感じる」そんな声もあるという。
そうじゃないんだ、ここに住み続ける、暮らし続けることにこんな意義があるんだ、とすぐに答えたいが、彼が聞いているのは単なる「環境保全に役立ってるよ」といったしょぼい答えではない。もっと社会の本質に迫る答えを彼は追い求めている。
ところで、県内の大学などの高等教育機関が連携する組織として5年前に発足した大学コンソーシアム石川というものがあり、ここを母体となって大学による様々な地域貢献活動が展開されている。
今日のシンポでも大学コンソーシアム石川の活動を紹介するパンフが配られていたが、この大学コンソーシアムを京都に次いで石川でもつくるべきと県議会で提案したのがちょうど10年前の9月議会だった。
ちょっと懐かしく思い出してしまった。
2001年9月議会の県議会での質問はこちら
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