原子力規制委員会が原子力災害対策指針を策定し、これを受けて石川県の原子力防災計画も大きく変更されたことはこの間、何回かに分けて書いてきた。
安定ヨウ素剤の配布・服用のルールも変わったので少し触れてみたい。
原発事故で放出される放射能に対して内部被ばく、外部被ばくを防ぐには、基本的には放射能が飛んでこない遠くまで逃げるか、放射能が入ってこない密閉された空間に避難するしかないが、唯一、ヨウ素131に対しては事前に安定ヨウ素剤を服用して甲状腺がんを予防することができる。ということで原子力防災計画の中の緊急時医療措置の項目にはヨウ素剤の服用が盛り込まれている。
どこが変わったかというと、これまでは事前に配布してなかったのを5キロ圏=PAZに限り(一部例外的に5キロ圏外も)事前配布することになったのだ。原発が全面緊急事態に該当する事態になるとすぐに避難、それも自家用車の避難もありとなったので、配布する余裕がないのだ。言い換えれば、いままでは余裕のある事故、つまり自治体職員がヨウ素剤を備蓄場所に取りに行き、それから地域の集会場などに運んできて服用してもらえる都合のいい事故しか想定してこなかったということだが。
そこは今日は追及しない。
さて、各家庭に事前配布されたから「さあ、これでいつ緊急事態が発生してもすぐに服用できるぞ」となるかといえば、もちろんそうはいかない。
事故は24時間、365日、いつ起こるかわからない。当然家族そろって家にいるとも限らない。子どもたちが学校や保育所にいってるときはどうする?学校にも保育所にも備蓄しなければならない。遊びに出かけてるときはどうする?塾に行ってるときは・・・などなど考え出すと肌身離さず常時持ち歩いてくれとなるかもしれない。
お父さん、お母さんも仕事に出ているときはどうする?当然、職場にも備蓄だ。人が多く集まるスーパーや病院などにも備蓄しておかなければならない。
仕事や観光などで一時的に5キロ圏に滞在している人にもすぐに渡せるよう、あちこちに余分に備蓄しておかなければならない。大きなイベントをやるときは参加予想人数分を備蓄しておかなければならない。車を運転して志賀町を通過する人のために町中、電柱ごとにヨウ素剤備蓄のボックスを置いたほうがいいとなるかもしれない。
さて、これでもまだ対策は万全ではない。
安定ヨウ素剤は丸剤なので、もっとも放射性ヨウ素の影響を受ける乳幼児は飲めない。粉末の安定ヨウ素剤が別にあり、これを液体に調整する必要があるが、これは薬剤師などがおこなわなければならないとされている。
ということは、乳幼児は全面緊急事態の前(施設敷地緊急事態という)に逃げなければいけないということだ。もちろん乳幼児だけでは逃げられない。一緒にいるお母さん(もしかしたらお父さんの場合も、じいちゃん、ばあちゃんということもある)、あるいは保育所から保育士さんと一緒に一足早く避難ということもあるかもしれない。
ごく一部の人だが、安定ヨウ素剤にアレルギーがある人もいる。この人たちも一足先に避難だ。
そんな家族別々の避難が可能か、ありうるのかという問題がでてくる。
施設敷地緊急事態という段階で逃げ始めて間に合うのかという問題も合わせて検討しなければならない。
国からの服用の指示が県を経由し、町を経由し、住民まで速やかに届くかという問題もある。
国が適切に服用の指示を出せるのかという問題もある。福島第一原発事故では、国の指示を受けヨウ素剤を服用した住民はいない。
ヨウ素剤に関してさらに難しい問題は、実は事前配備されない5キロ~30キロ圏の区域にいる人たちへの対応だがこれについては別の機会にしたい。
PAZ内のヨウ素剤について考え出してもこのようにたくさんの問題がある。
まだまだいろんな問題があるだろう。そこを検証するのが防災訓練だと思うが、実は実際にはまだ事前配備されていないので、今回の訓練は従前どおりの備蓄場所から持ってくることになっている。
ここまで読んでいただいた皆さんにはガクッとさせるような結論で申し訳ないが、これが今回の訓練の実態である。
安定ヨウ素剤の配布・服用のルールも変わったので少し触れてみたい。
原発事故で放出される放射能に対して内部被ばく、外部被ばくを防ぐには、基本的には放射能が飛んでこない遠くまで逃げるか、放射能が入ってこない密閉された空間に避難するしかないが、唯一、ヨウ素131に対しては事前に安定ヨウ素剤を服用して甲状腺がんを予防することができる。ということで原子力防災計画の中の緊急時医療措置の項目にはヨウ素剤の服用が盛り込まれている。
どこが変わったかというと、これまでは事前に配布してなかったのを5キロ圏=PAZに限り(一部例外的に5キロ圏外も)事前配布することになったのだ。原発が全面緊急事態に該当する事態になるとすぐに避難、それも自家用車の避難もありとなったので、配布する余裕がないのだ。言い換えれば、いままでは余裕のある事故、つまり自治体職員がヨウ素剤を備蓄場所に取りに行き、それから地域の集会場などに運んできて服用してもらえる都合のいい事故しか想定してこなかったということだが。
そこは今日は追及しない。
さて、各家庭に事前配布されたから「さあ、これでいつ緊急事態が発生してもすぐに服用できるぞ」となるかといえば、もちろんそうはいかない。
事故は24時間、365日、いつ起こるかわからない。当然家族そろって家にいるとも限らない。子どもたちが学校や保育所にいってるときはどうする?学校にも保育所にも備蓄しなければならない。遊びに出かけてるときはどうする?塾に行ってるときは・・・などなど考え出すと肌身離さず常時持ち歩いてくれとなるかもしれない。
お父さん、お母さんも仕事に出ているときはどうする?当然、職場にも備蓄だ。人が多く集まるスーパーや病院などにも備蓄しておかなければならない。
仕事や観光などで一時的に5キロ圏に滞在している人にもすぐに渡せるよう、あちこちに余分に備蓄しておかなければならない。大きなイベントをやるときは参加予想人数分を備蓄しておかなければならない。車を運転して志賀町を通過する人のために町中、電柱ごとにヨウ素剤備蓄のボックスを置いたほうがいいとなるかもしれない。
さて、これでもまだ対策は万全ではない。
安定ヨウ素剤は丸剤なので、もっとも放射性ヨウ素の影響を受ける乳幼児は飲めない。粉末の安定ヨウ素剤が別にあり、これを液体に調整する必要があるが、これは薬剤師などがおこなわなければならないとされている。
ということは、乳幼児は全面緊急事態の前(施設敷地緊急事態という)に逃げなければいけないということだ。もちろん乳幼児だけでは逃げられない。一緒にいるお母さん(もしかしたらお父さんの場合も、じいちゃん、ばあちゃんということもある)、あるいは保育所から保育士さんと一緒に一足早く避難ということもあるかもしれない。
ごく一部の人だが、安定ヨウ素剤にアレルギーがある人もいる。この人たちも一足先に避難だ。
そんな家族別々の避難が可能か、ありうるのかという問題がでてくる。
施設敷地緊急事態という段階で逃げ始めて間に合うのかという問題も合わせて検討しなければならない。
国からの服用の指示が県を経由し、町を経由し、住民まで速やかに届くかという問題もある。
国が適切に服用の指示を出せるのかという問題もある。福島第一原発事故では、国の指示を受けヨウ素剤を服用した住民はいない。
ヨウ素剤に関してさらに難しい問題は、実は事前配備されない5キロ~30キロ圏の区域にいる人たちへの対応だがこれについては別の機会にしたい。
PAZ内のヨウ素剤について考え出してもこのようにたくさんの問題がある。
まだまだいろんな問題があるだろう。そこを検証するのが防災訓練だと思うが、実は実際にはまだ事前配備されていないので、今回の訓練は従前どおりの備蓄場所から持ってくることになっている。
ここまで読んでいただいた皆さんにはガクッとさせるような結論で申し訳ないが、これが今回の訓練の実態である。
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