好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

ブラームス 交響曲第1番 デイヴィス/バイエルン放送響

2018-10-04 22:27:22 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番 

指揮…デイヴィス
演奏…バイエルン放送響
好み度…4(5点満点)

音楽を、しっかりしっとり、自然に美しく聴かせるという、デイヴィスらしいブラ1と思う。
線が細いとか厚みがないとかというわけではないが、力強さはやはりあまり感じないタイプのように思う。
終楽章の凱歌は強く吹かれているのが、むしろちょっと浮く感じを受けたりもするが、第2楽章の清らかな美しさはこのコンビならではの、ちょっと格別の感も受ける。
激しさはあえてむき出しにせず、自然な厚みで美しく聴かせるという、やはり「デイヴィスらしいブラ1」のように思う。


ブラームス 交響曲第1番 サラステ/ケルン放送響

2018-08-14 13:12:55 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番 

指揮…サラステ
演奏…ケルン放送響
好み度…4(5点満点)

なかなかの好盤と思う。どちらかといえば柔らかな雰囲気を感じさせるが、軟派な柔らかさではなく、程よい重さと覇気も感じさせ、第1楽章ではときに力強いティンパニなども印象的に、結構上質な雰囲気をつくっていて、第2楽章はちょっと静かめに、繊細な美しさが意識され、終楽章は冒頭のホルン、フルートの独奏から例の主題と、どこか爽やかで柔らかく心地よい。
全体的には柔らかい響きだが、フィナーレへの高揚感と力感あふれる盛り上げは力強く、凱歌もなかなか燦然とした響きを聴かせている。
柔らかい雰囲気ではあるが響きにはちゃんと重みと厚さもあり、ブラームス的な重厚感に満ちているとか強烈な個性を感じさせたりというタイプではないが、柔らかみと明るさを漂わせた重みがなかなかまっとうで心地よい、好盤と思う。

ブラームス 交響曲第1番 アルブレヒト/ハンブルク国立フィル

2018-08-04 12:00:35 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番 

指揮…アルブレヒト
演奏…ハンブルク国立フィル
好み度…4(5点満点)

なかなかいい。ハンブルク国立フィルの古風で渋みの効いた力のある響きがいいのでしょう。
スケール感を感じるといった演奏ではないが、低弦もがっちり効いていて、弦をはじめとする響きの、エッジの効いた渋みと厚みのある力感が結構魅力的。
これにライブならではの熱が加わっているのがまたいいのかもしれない。また、アルブレヒトの小細工なしの正面堂々とした運びも心地よいし、終楽章は少し速めだがアンサンブルが乱れず音量も落ちないあたり、棒さばきも上手いのでしょう。
チェコフィルとの録音の少し前のようだが、そちらと比べて「速い」印象はなく、ある意味よりブラームスっぽい展開と響きになっている。
第1楽章の渋みとエッジの効いた重みを感じさせる響きはなかなかのものだし、第2楽章ではこのオケの渋い艶を放つ厚みのある弦が美しい。第3楽章はかなりの快足。何で?と思わないでもないが、全体的に引き締まった演奏の中なので、許容かとも。終楽章は最初のホルンやフルートのソロが今ひとつ、のもどかしさも若干感じるが、最初の弦での主題をしっかり弾いた後は、少し速めのテンポながら音勢を落とすことなくしっかり音を揃えて古風な渋みと適度な推進力を伴って活力のある響きはフィナーレまで途切れなず、フィナーレも熱く堂々としたものである。
小気味よさと古風な力感を兼ね備えた、中堅どころのしっかりした良質のブラームス、等といった言い方でまとめてはいけない、これは快演と思う。

ブラームス 交響曲第1番 ライスキン/ライン州立フィル

2018-06-30 12:46:48 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番 

指揮…ライスキン
演奏…ライン州立フィル
好み度…3.5(5点満点)

どちらかといえば耳障りのよいタイプの響きだろうか。音も演奏もバランスよく整っているが、音質も演奏もちょっと軽め・浅めくらいな印象も受ける。録音もよく、標準的によい演奏とは思うが、特にどうという感銘もないかな。


ブラームス 交響曲第1番 スタインバーグ/ピッツバーグ響

2018-06-02 18:52:47 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番 

指揮…スタインバーグ
演奏…ピッツバーグ響
好み度…4(5点満点)

録音はちょっと高音が金属質な感じで、良ともいえないが、ちょっと多めの残響が結構程よく、歯切れよく力感のある響きと相まってかえって独特の雰囲気を醸しているようにも思う。重量感とかうねるような低弦といったものが感じられるタイプではないが、機能的で活力に満ちた推進力はちょっと聴き応えがある。機能的ではあるが血の通ったような響きで無機的ではない。
第1楽章ではテンポはやや速めだがそこここでテンポを落とす処理も効果的に、推進力だけでない味も加えている。
第2楽章は速くなく、弦は活力に艶も加えた響きを随所で聴かせている。
終楽章は全体のイメージとして明るい。ホルンのソロもフルートのソロも明るいし、その後のホルンの重なりも明るいし例の主題も明るい。その後も残響豊かな高弦はどこか敬虔な響きも湛え、内声も快活で活力は損なわれない。フィナーレの凱歌はティンパニつき。個人的にはティンパニなしのほうが好きだが、それほど耳につかないし、この活力ある演奏の〆として爽快な強さを付加して、この演奏にはありかと思う。
ブラ1らしいかどうかは別として、明るさ、爽快感、活力、推進力に満ちた良盤と思う。

ブラームス 交響曲第1番 ユロフスキ/ロンドンフィル

2018-05-12 19:18:21 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番 

指揮…ユロフスキ
演奏…ロンドンフィル
好み度…3.5(5点満点)

ちょっと軽いかな。軽快なテンポで一音一音も軽やかに短めに刻むようで、重厚長大が昔でこれが今風と言われればそうなのかもしれないが、私の好きなタイプではないな。
重みも力感も感じられず、終わりの拍手もいちおうブラヴォーの声はかかっているが、ロンドンっ子にしてはだいぶ元気がない。

ブラームス 交響曲第1番 ロヴィツキ/ワルシャワフィル

2018-04-22 22:58:54 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番 

指揮…ロヴィツキ
演奏…ワルシャワフィル
好み度…4(5点満点)

第1楽章は、特に弦の、野性味にも似た活力が一種迫力となって迫るような、引き締まった熱気に満ちた響きが強く印象的。音の強弱、刻む音と伸ばす音、決める音、細かなテンポの動き、等、どれも素直な活力があって嫌味がない。
第2楽章では独特の謳いまわしもあるが、弦の重なりは厚く潔く、その思い切りのよさはこの演奏らしくて好感。
終楽章は中盤以降やや速めの印象を受け、弦の迫力は第1楽章ほどには感じない。活力は健在といえば健在だが、奥行きに欠ける感があり、弦による主題提示での弦の厚さなどは印象的ではあるが、フィナーレもゆっくりではあるがちょっと力を抜いたような感じで堂々感に欠けるところもあり、楽章全体でやや単調・平易な印象も受け、感銘度はそれまでに比べ薄らぐ感はある。
「名盤」等といった貫禄を感じる類ではないが、特に第1楽章の個性の強い天真爛漫な活力は秀逸で心地よく、結構独特なこの盤にしかない雰囲気を持った好演と思う。

ブラームス 交響曲第1番 ヤング/ハンブルクフィル

2018-03-21 10:21:07 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番 

指揮…ヤング
演奏…ハンブルクフィル
好み度…4.5(5点満点)

冒頭は荒く鋭い重量感とともに力強く、引き込まれる。その後も、オケの響きは重々しいというよりは垢抜けた艶を漂わせた響きで、厚く男性的な力強さが印象的である。
第2楽章ではその艶のある響きは少しゆったりと、弦の重なりも美しく繊細さと安らぎ感を謳うようである。
終楽章のホルンやフルートのソロなんかもゆっくりと遠くを見るような優しさを含んで好感。例の主題も普通に弾きながら美しく、フィナーレはややゆっくりめに輝かしく謳っている。終楽章中盤が上質の音の連続ではありながらやや平易な印象も受けなくなくはないが、全体的なテンポとしては少しゆっくりめの、いまどきちょっと珍しいくらいに力強く、それでいてときに繊細に、上質にとてもよくできた演奏のように思う。深みとか、強い情感とか、あるいはほの暗い重厚感とか、といった向きとはちょっと違うようにも思う。
響きは十分力強く剛毅なようでいて、その力強さは凄みとか深みというよりは垢抜けた美しさへ転化されているような感覚を受け、何かを心に訴えるといったタイプではないようにも感じられるが、力強くも美しく堂々とした演奏のように思う。
ちょっと形容しがたいところもあるが、録音も優れた、堂々たるブラ1。

ブラームス 交響曲第1番 チェリビダッケ/シュツットガルト放送響

2018-02-12 10:10:51 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番 

指揮…チェリビダッケ
演奏…シュツットガルト放送響
好み度…4(5点満点)

一音一音丁寧に美しく完成度も高く、独特の雰囲気を色濃く湛えている。
音の強弱とかテンポとか、結構独自の解釈があるし、分厚い重厚感や燃焼感のようなものが感じられるわけでもなく、第1楽章なんかを聴いていると、いい響きなんだけどそこかしこで唐突に肩透かしを食うような、ちょっとちぐはぐした感覚も受け、何となくブラ1らしくない感もある。とはいえ、その響きは美しく完成度高く、第2、第3楽章は神経の行き届いた美しさを聴かせ、終楽章のホルンの雄大な強奏なんかは、やっぱりチェリでしか聴けないし、例の主題もしっとり美しい。チェリが若い分か響きに瑞々しさも感じられて(チェリの元気な声もそこここで健在)、録音もいい。
他では聴かれないものが随所で聴かれるのは確かであるが、個人的な好みとしては、何か全体的にしっくりこないところがあって、どこか微妙な位置づけの盤である。多分、あちこちでの特有の処理が普通のブラ1としては違和感を感じさせ、部分的なよさはあっても全体的にチェリらしい何かに昇華されているかといえばそこまでも感じられず、その響きの美しさや完成度の割には不完全燃焼感が残る印象を受けるのかもしれない。

ブラームス 交響曲第1番 ベルゲル/トランシルヴァニアフィル 

2017-11-11 08:35:29 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番 

指揮…ベルゲル
演奏…トランシルヴァニアフィル
好み度…4.5(5点満点)

派手さや華麗な美音や力みかえった推進力は感じず、一聴、重く、聴かせどころに乏しい演奏のような印象も受けるが、落ち着いて聴き返せば、ほの暗くズシリとしたよい意味で鈍重な重厚感は結構圧倒的ですらあり、ゆっくりめのテンポで、しかしだれることなく緊張感を漂わせて、ただ沈み込むような覇気のないくすんだ重さではなく、温もりを感じる情感と艶消しの美しさのような渋みを帯びた重さと重心の低い力感を持って、何ともブラームスらしい響きを聴かせている。重い低弦の響きもよいが、楽器同士が重々しく寄っかかり合うような重いアンサンブルがまたいい。金管のかぶせ方がいかにもブラームスっぽくいい雰囲気をつくっているようにも思う。
メリハリや新鮮味とかドラマ性とかは特に感じず、特にどこで何を誇張するわけでもないが、冒頭の序奏から重く厚い響きを聴かせ、フィナーレも柔らかい輝きに包まれるような心地よい雰囲気で、聴くほどにお気に入り度を増していくような盤。
聞いたことのない指揮者とオケだったけど、ルーマニアの指揮者とオケだそうです。聞いたことなかったけど、録音もいいし、いい盤です。