好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」 チェリビダッケ/ミュンヘンフィル

2017-01-08 16:31:13 | ドヴォルザーク 交響曲第9番 新世界より
ドヴォルザーク 
交響曲第9番「新世界より」 

指揮…チェリビダッケ
演奏…ミュンヘンフィル
好み度…5(5点満点)

こんなにも深遠で大曲感を感じさせる新世界が他にあるだろうか。
晩年のチェリのスローテンポがこれほど功を奏した演奏もないだろうとも思う。
親しみやすいポピュラーソングはここになく、深く壮大で、旋律美に頼らない練られたオーケストレーションを浮かび上がらせた、厚く深い新世界が展開されている。
第1楽章出だしのチェロからして深遠な響きだが、普段何気なく響いて過ぎていく強奏箇所も十分な山場として展開し音の重なりは新鮮であり響きは雄大である。
第2楽章は出だしから木管も弦も、その重なりも深く美しく幽玄であり、弦楽器が郷愁を静かに奏でる箇所での低弦の響きも新鮮で印象的。この低弦の響かせ方は気に入っているのだが、今までチェリ以外では聴かれない。
第3楽章もゆっくりめではあるが、間延びしたり力感に欠くといったことはなく、弦と金管が一体となった充実の響きである。
終楽章も厚い響きは変わらず、音の重ね方も効果的で、また、金管の咆哮でぐっとテンポを落とすあたりも旋律の楽章間の統一感と郷愁を感じ印象深い。ラストもしっかり謳いあげ、まぁチェリの演奏はいろいろあるけれど、この演奏は新世界がこれほど深く大きな曲であったかとイメージを変える大名演でしょう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」 アバド/ウィーンフィル

2017-01-08 16:28:49 | ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」
ベートーヴェン 
交響曲第5番「運命」 

指揮…アバド
演奏…ウィーンフィル
好み度…3.5(5点満点)

第1楽章は覇気に欠けるといおうか、力感というか活力にやや欠ける印象。
何か、ちょっと力を抑えたまま無難に過ぎてしまうような感がある。
第2楽章もそれなりに美しいがあまり活力がないような気もする。
終楽章はようやく響きに力感を増すが、それでも特にこの盤に特有なものを得ているかといえばそこまでのものは感じられないように思う。
全体的にアバドらしく正統といえば正統だが、風格あるいは特有の雰囲気を得るまでには至っていないといったところか。
ライブ録音とのことなので、この日はどことなく乗り切れなかった日なのかな。
結構昔、FMで聴いたザルツブルクでの同じコンビの運命は自然体でのびのびと活力漲る運命をやっていたので、それを期待した分、ちょっと残念な感もあり。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ブラームス 交響曲第1番 テンシュテット/ロンドンフィル

2017-01-08 16:25:23 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番 

指揮…テンシュテット
演奏…ロンドンフィル
好み度…4.5(5点満点)

1983年セッション盤。
テンシュテットというと「爆演」とかというイメージで語られることも多いようだが、ここではむしろ古風できっちりと、模範的なまでに正統な中に情と熱を込めたような、そんな演奏のように思う。
特にスケール感とかが際立つ演奏ではないが、しっかり低弦も効かせた古風で密度の濃い厚い響きは、ちょっといかめしくて武骨なブラームスっぽくてよい。
第1楽章のひたむきな熱の塊のような響きもいいし、第2楽章も古風で厚い弦は心地よい。
終楽章のホルンのソロのゆったりと晴れやかな雄弁さも印象的だし、その後も厚い響きは細ることなく、フィナーレはトランペットをちょっと孤高な雰囲気に響かせて、自然に、堂々と謳っている。
テンポなど中庸であるが、その中にテンシュットらしい熱と情が密度濃く込められた、凡庸でない、名盤の域かと思う。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする