好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

ブラームス 交響曲第1番 サラステ/ケルン放送響

2018-08-14 13:12:55 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番 

指揮…サラステ
演奏…ケルン放送響
好み度…4(5点満点)

なかなかの好盤と思う。どちらかといえば柔らかな雰囲気を感じさせるが、軟派な柔らかさではなく、程よい重さと覇気も感じさせ、第1楽章ではときに力強いティンパニなども印象的に、結構上質な雰囲気をつくっていて、第2楽章はちょっと静かめに、繊細な美しさが意識され、終楽章は冒頭のホルン、フルートの独奏から例の主題と、どこか爽やかで柔らかく心地よい。
全体的には柔らかい響きだが、フィナーレへの高揚感と力感あふれる盛り上げは力強く、凱歌もなかなか燦然とした響きを聴かせている。
柔らかい雰囲気ではあるが響きにはちゃんと重みと厚さもあり、ブラームス的な重厚感に満ちているとか強烈な個性を感じさせたりというタイプではないが、柔らかみと明るさを漂わせた重みがなかなかまっとうで心地よい、好盤と思う。

チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」 ザンデルリンク/ベルリン響

2018-08-14 13:10:50 | チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」
チャイコフスキー 
交響曲第6番「悲愴」 

指揮…ザンデルリンク
演奏…ベルリン響
好み度…4(5点満点)

同じコンビのチャイコ後期3曲の録音の中では一番よい雰囲気を感じさせているように思う。
テンポも音の出し入れも特にこれといったことはしていないが、この曲の特有の雰囲気やよさといったものはそれなりに引き出されているように感じる。
尖らないちょっとくすんだくらいの落ち着いた響きで、特に弦の厚めの響きや終楽章最初の部分の木管の響きなんかはなかなか印象的でもある。

ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱」 チェリビダッケ/ミュンヘンフィル/ミュンヘンフィルハーモニー合唱団 他

2018-08-14 13:07:13 | べートーヴェン 交響曲第9「合唱」
ベートーヴェン 
交響曲第9番「合唱」 

指揮…チェリビダッケ
演奏…ミュンヘンフィル
合唱…ミュンヘンフィルハーモニー合唱団 他
好み度…4(5点満点)

第1楽章はテンポはそんなに遅いこともなく(ゆっくりだけど)、金管などがとくに特別な響きをすることもなく、チェリにしては普通の範疇だが、その響きはこのコンビらしく、熱さや激しい感情などは感じさせずに、美しい弦の響きとアンサンブルと、高揚部でもしっかり十分の力感を感じさせつつ響きは音(ね)を上げず、残響をも計算に入れたかのような響きはチェリらしさを感じる。
第2楽章は両端がかなり遅く、中間部はむしろ速めと、普通のイメージとはむしろ逆のテンポ。聴きながらやっぱり両端は速めを想定して書かれたものだろうとは思いつつ、新鮮ではあるしそんなに違和感は感じない。むしろこの曲の第2楽章として重厚感を増してこれもありかと思わせる(というか、スコア通りなら中間が速い、というようなチェリのコメント(よくわからなかったが多分そういう内容)が解説にある)。
チェリの叙情楽章は大抵美しいが、この第3楽章も美しい。テンポや処理に特に変わったことはないが、響きにこのコンビならではの美しさが感じられる。
終楽章冒頭のコントラバスは打ちのめされたものの迷いのような響きであるが、反対に歓喜の旋律は弱音から力漲っているようなところがちょっと面白い。とはいえ、管弦による歌はそれほど大きな盛り上がりは見せない。
独唱は結構大きく録られているが、達者な方たちのようで、かえって荘重な雰囲気をつくっているようでもある。
合唱はよく響いている。歓喜の歌の後はかなり速度を落とし、これくらい思い切って落とすのはチェリらしくもあり、特有の雰囲気をつくって美しい。感動的かといわれればそういうものでもないようにも思う(フィナーレは結構圧巻)が、まぁチェリ自身所謂感動的な音楽は目指していないのかもしれない。大掛かりで厳かな賛美歌を聴くようでもある。
総じてそれほどチェリ節は出ていないとはいえ、第九でもチェリはチェリらしかった。熱も情も排して、しかし重くて美しい鉱石の結晶のようとでも言おうか。
ベートーヴェンあるいは第九らしいかと言われればどうかと思うし感動的な演奏を聴きたいときは他の盤がいいと思うが、感情を排して美しさと完成度を備えた演奏を聴きたいときにはよい盤と思う。