好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」 シャイー/ロイヤル・コンセルトヘボウ管

2019-05-01 16:50:16 | ドヴォルザーク 交響曲第9番 新世界より
ドヴォルザーク 
交響曲第9番「新世界より」 

指揮…シャイー
演奏…ロイヤル・コンセルトヘボウ管
好み度…5(5点満点)

コンセルトヘボウの音色はしっかり響きつつ美しく、ちょっとゆっくりめのテンポも相まって、下手をすると安っぽく聞こえてしまうこの曲を堂々と聴かせている。
郷土色とかそういった色は消し去って、しかし乾かず叙情性もほのかに漂わせ、スタイリッシュながら堂々と、なかなか大きく聴かせている。
第2楽章の有名な旋律の木管などもしっとり美しい。
その他の楽章も気持ちゆったりめのテンポでゆったり歌いながら尖らず残響も美しくしっかり音をつくっている。そんなに内声を聴かせることはしていないが、そこかしこでの低弦等によるアクセント付けもさりげなく功を奏している。
多分にコンセルトヘボウのしたたるような響きの影響が大きいと思うが、急がず騒がずこの曲に美しさと叙情性を与えたシャイーもえらい、のちょっと大曲感も漂わすような、大きくしっとり叙情性をたたえた、どこか新鮮味をも感じさせる、約45分間しっかり聴く気になれる新世界であり、名盤と呼んでよい盤と思う。

ブラームス 交響曲第2番 ジュリーニ/ロサンゼルスフィル

2019-05-01 16:47:16 | ブラームス 交響曲第2番
ブラームス 
交響曲第2番 

指揮…ジュリーニ
演奏…ロサンゼルスフィル
好み度…4(5点満点)

ジュリーニのおおらかさとロスフィルの明るい響きはこの曲にあっているのでは、との期待を持って聴いた。
第1楽章は、聴かせどころは少しテンポを落としてゆったりめに情感を前面に聴かせ、強奏部はしっかり音を弾き切って、明るい力感とおおらかな情感、あるいはジュリーニの力強い表現意欲が感じられてなかなか。
第2楽章は厚みのある弦の響きが印象的ではあるが特に感銘を受けるかといわれればどうか。
第3楽章も特に可もなく不可もなく。終楽章では何かちょっとまとまりきらない印象を受け、いろんな音が聴かれる割にはオケ一体となった活力とか爆発感は感じられず、速度を早めるフィナーレも厚い高揚感を伴えないまま、ちょっと軽い感じを受ける。
全体的な響きとして、明るく鳴ってはいるが艶を伴った豊かさとかにはなっていないような印象を受けるし、演奏全体の印象として何か底の深みを感じないような気がして、ネットでいくらか名盤との評もあったが、そうとは思われなかった。


ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱」 デイヴィス/ドレスデンシュターツカペレ/ドレスデン国立歌劇場合唱団 他

2019-05-01 16:41:18 | べートーヴェン 交響曲第9「合唱」
ベートーヴェン 
交響曲第9番「合唱」

指揮…デイヴィス
演奏…ドレスデンシュターツカペレ 
合唱…ドレスデン国立歌劇場合唱団 他 
好み度…5(5点満点)

余計な色気などは出さずに、名人オケを相手に真っ向から上質の響きを響かせることに集中するとこういう響きになるのかと思う。
上手いだけでなく、厚く、渋みも効かせつつ、いぶし銀というにはあまりに艶を感じる音色と深みのある調和に彩られた響きは、尖らない緊張感と低弦にもしっかり支えられて力強くも美しい。厳かな空気を感じるようでもある。
特にゆっくりは奏されない(15分35秒)第3楽章も天上を遊ぶような清明な明るさを漂わせて格別な美しさを感じさせる。
終楽章は、独唱陣は音量も全体的にはまず程よく達者、オケと合唱はよく影響しあって互いに輝きを増すようであり、その合唱は明るく力強くのびやかさと広がりを感じさせてとてもよい。清清しさと力強さを併せ持った終楽章であり、〆も力強い。
特にクセは感じないが、完成度の高い、力強さを内包した、明るさと渋さと美しい力強さを同居させたような格調高い厚く美しい第九のように思う。
このオケあるいはコンビの古風な気品と渋みを漂わせた美しい響きとアンサンブルを聴くにもよい盤と思う。