好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱」 ケーゲル/ドレスデンフィル/ベルリン放送合唱団 他

2019-08-31 17:07:48 | べートーヴェン 交響曲第9「合唱」
ベートーヴェン 
交響曲第9番「合唱」 

指揮…ケーゲル
演奏…ドレスデンフィル
合唱…ベルリン放送合唱団 他
好み度…5(5点満点)

激しさを誇示するでも雄大さを誇示するでもない。しかし、張り詰めたような、残響に敬虔な雰囲気を漂わせながら、重くはないがどこか翳りのある緊張感を感じさせるような空気感が印象的。激しさや情は、ないようでしっかりある。ただ熱を伴わないケーゲルならではの空気感とでもいえようか。第2楽章も弦の響きにもティンパニの強烈な強打にも緊張感漂い、一転第3楽章前半などは雲上をゆくがごときの静かな安らぎを感じるような美しさであり、後半も清らかな美しさを感じる。
終楽章に入り、主題の全奏は安らぎと明るさを感じさせ高らかな雰囲気が印象的。力感と厚み十分の2度目の導入後の声楽は、独唱は音量も程よくうまい。合唱はしっかりした音量がありつつ他の演奏では聴かれないような強弱だったりアンサンブルだったりを聴かせながらちょっと新鮮で美しい。歓喜の歌をこれくらいゆっくりアンサンブルの妙も含め聴かせる演奏もなかなかないし、その後もゆっくりとした展開の中で、十分な声量と美しいアンサンブルから聴かれる敬虔さと広がりをもった美しさもまたこの演奏ならではかと思う。男声もちゃんと聴こえるのが深みを増しているのだとも思うが、合唱は、とにかく豊かで清清しく美しく、ケーゲルが元々合唱指揮者だったとも聞き納得の感あり。独唱が終わった後は速度も普通になってオケも合唱も全開、壮大に〆ている。
第1楽章~第3楽章も緊張感ある敬虔な雰囲気を漂わせるが、終楽章合唱部での敬虔さと美しさを聴いていると、この曲からこんな側面を引き出すとはケーゲルがときに「鬼才」と呼ばれるのも頷けるし、ケーゲルはもっと評価されるべし、とする声にも頷ける。熱狂や激性を求めるなら「違う」盤だろうが、真摯な敬虔さを感じさせる、これは名盤のように思う。


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