好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」 セル/ウィーンフィル

2015-09-27 22:56:50 | ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」
ベートーヴェン
交響曲第5番「運命」

指揮…セル
演奏…ウィーンフィル
好み度…5(5点満点)

名盤である。激しく熱い。
1969年ザルツブルグ音楽祭ライブ。
ウィーンフィルは、この楽団がときおりみせる「すごいときのウィーンフィル」の響きであり、
ふっきれたように、独特の響きでヴァイオリンが、金管が、よく鳴っているし、
完璧主義との定評のセルの指揮ぶりが、何とも熱い。
熱いがさすがにウィーンフィルとセル、厳しく音を揃えて少しも崩壊しない。
ウィーンフィル特有の艶と古風な華を漂わせてとにかく活力に満ち、ぬくもりを持った鋼のような運命である。
第1楽章は出だしから厚く激しい響きで迫るようだが、終盤にかけてさらに熱を帯びていくのがまたほんとにすごい。途中と最後の運命の動機の全奏も、4音目を十分に伸ばし、トランペットも高らかで堂々としたものである。
第2楽章も古風と華のある弦の活力が印象的で、第3楽章のホルンや弦もウィーンフィルならではとの感を受ける。
終楽章は、凱歌の前を存分に引っ張った後は、やや早めのテンポで押していく。弦も金管も十分に力強く響き活力に満ち、その熱い推進力たるや凄まじいばかりであり、この終楽章は熱狂的ですらある。ウィーンフィルの「すごいとき」の演奏は、他の楽団ではできないだろうなぁ、と思わせるわけのわからない迫力と独特の響きがある。たまにこういう、すごい演奏するんだよね。
セルはせセッションの録音では端正すぎるきらいがないでもないがこのライブでは熱い血の通ったものを感じるし、ベルリンフィルはこうはリミッタをはずしてくれない。
何とも力と推進力漲るすごい運命であり、名盤中の名盤と思う。


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