生命哲学/生物哲学/生活哲学ブログ

《生命/生物、生活》を、システム的かつ体系的に、分析し総合し統合する。射程域:哲学、美術音楽詩、政治経済社会、秘教

Bunge哲学辞典:classification 分類[と関連事項]

2012年08月27日 15時29分10秒 | Mario Bunge哲学辞典
2012年8月27日-2
Bunge哲学辞典:classification 分類[と関連事項]

クラス、分類、生命、自然類、種、分類学、類型学

class クラス [BungeDic1, p.39]
 一つの(単純なまたは複雑な)述語によって定義された収集体 collection(とりわけ、集合 set)。【同義語】類 kind、型 type、種類 sort。クラスの代数学とは、集合を全体として扱い、それらの合併〔和集合〕、共通部分〔積集合〕、そして補集合を研究する論理学の分野である。
 〔訳注。マーナ・ブーンゲ『生物哲学の基礎』では、二つ以上の述語によって定義された収集体を、類 kindとしている。なお、この哲学辞典には、kindという項目は無い。〕

 
classification 分類 [BungeDic1, p.39]
 一つの収集体を、互いに素な部分集合(種 species)に、 網羅的に分割することと、部分集合を、属といった、より高位のクラス(タクソン)にグループ化〔群化〕すること。分類には、二つの論理的関係が含まれる。すなわち、クラスにおける個体という属員性 membership(∈)と、より高位階のクラスにおけるクラスという包含 inclusion である。よって、あらゆる分類は、集合理論の↑【モデル model〔模型〕】(例)である。↑【分類学 taxonomy】

 
生命 life (p.163)
 諸生命科学の中心的概念.生きものまたは有機体の本性〔=本質的性質〕に関して四つの主要な見解がある.つまり,生気論,機械論〔mechanism〕(または物理化学主義),マシン〔機械〕主義〔machinism〕,そして有機体論(または生物システム主義)である.↑【生気論】は,『生命』を,たとえば『生命衝動』といった,何らかの非物質的な存在者と目標へと努力する傾向なるものによって定義する.↑【機械論】は,『生きている』という述語は物理化学の用語によって定義可能であると主張する.つまり,有機体は大変複雑な物理化学的システムにすぎない.↑【マシン主義】は,有機体を機械に似たもの,つまり設計され,プログラムされ,そして目標指向的〔goal-directed〕なものとして考える.有機体論(または生物システム主義)は,生命を何らかの極度に複雑なシステムの創発的性質とみなす.このシステムの遠い先祖は,約40億年前には生命のない〔abiotic〕ものであった.生気論は,まったく信用されなくなった.不毛であり,非物質的なエンテレキーなるものは,観察と計算をしようにも不可能だからである.機械論はいまだに流布しており,分子生物学の誕生以来は特にそうであるが,生きものの特有性のいくつかを説明することには失敗している.とりわけ,それは,なぜ有機体における代謝過程が,概して,中性的または自己に仕えるのではなく,有機体に『仕える』のかを,説明しない.機械論はまた,自己洗浄と自己修復のメカニズムの創発も,説明しない.つまり,生きていない化学系は,ついには反応のいくつか,あるいはすべてさえも停止させるような,反応を抑制する化学物質を蓄積するかもしれない.機械論は,デカルトによって創始され,それ以来広まったが,今日ではコンピュータ科学の連中に人気がある.その連中は,生命プロセスの特定の特徴をコンピュータシミュレーションしたものを,↑【人工生命】と呼んでいる.皮肉にも,マシン主義は,設計と計算という概念に含まれる目的論を,生気論と共有している.生物システム主義だけが,化学的前躯体からの生命システムの自己集成についての分子生物学的説明と,遺伝子変化と自然淘汰による進化の理論を認めるだけでなく,生命を化学レベルに根をおろした一つの創発レベルとして認めもする.↑【創発】,↑【創発主義的唯物論】,↑【システム主義】.

 
自然類 natural kind (p.191)
 恣意的からはほど遠い,一つの性質または一つの法則によって定義される収集体.例:すべての生きものは,生物体というクラス(自然類)を構成する;社会的関係によって結ばれる人々から成るすべての存在者は,社会システムというクラス(自然類)を構成する.唯名論者,規約主義者,そして主観主義者(とりわけ現象論者)は,自然類という観念そのものを拒否する.よって彼らは,周期律表,化学元素の変換〔transmutation〕,あるいは生物学的種形成を説明できない.

 
種 species (p.274)
 いくつかの基本的性質を共有する物の収集体〔集まり〕.例:化学的種と生物学的種.分類における最初の段階.より包含的な概念として,属,科,王国がある.属とその種の間の関係は,次の通り.一つの属はその種の和集合である.つまり,これらのどの一つもその属に包含される(⊆).そして,あらゆる個物は一つの種の属員〔成員〕である(∈).種は具体的個物であるという見解は,属員関係を部分-全体関係と間違えているために,この分析を無視している.↑【自然類】,↑【分類学】

 
分類学 taxonomy (p.289)
 ↑【体系学】の方法論:↑【分類】,特に生物学における分類の原理の探求.これらは:(1) 当初の収集体〔collection集まり〕のあらゆる属員は何らかのクラスに割り当てられる;(2) 二つの型のクラスがある.つまり単純なクラス(種)と複成的〔composite〕クラス(たとえば属)である.後者は二つ以上の単純クラスの和集合である;(3) 各々の単純クラスは当初の集まりの属員のいくつかから構成される;(4) 各クラスはその属員が一つの述語か,述語の連言によって決定される集合である;(5) 各クラスは明確〔definite〕である.つまり境界線上の例は無い;(6) 二つのクラスはいかなるものも,互いに素であるか,あるいはどちらかが他方に含まれる.つまり,前者の場合は同一の階級〔ランク〕に属すると言われ,そうでなければ異なる階級に属すると言われる;(7) 二つの論理的関係だけが,分類に関与する.個物とクラスの間に保持される属員関係∈と,異なる階級のクラスを関係づける包含関係⊆である;(8) あらゆる複成的クラスは,直前の階級でのそれの下位クラスの和集合に等しい;(9) 所与の階級のすべての複成的クラスは,対ごとに互いに素である(共通部分が無い);(10) 所与の階級のあらゆる分割は網羅的である.つまり,所与の階級におけるすべての和集合は,当初の収集体に等しい.もし条件(9)が満たされないならば,本来の分類ではなく,↑【類型学】で満足しなければならない.↑【種】.

 
typology 類型学 [BungeDic1, p.301]
 或る類の対象を↑【理想型 ideal types】にグループ化すること。例:進化と混血を無視して、人類を純粋な人種〔種族 races〕に分割すること。↑【分類】と混同されてはならない。類型的思考は、進化理論と集団遺伝学の出現とともに生物学では信用を落とした。社会的諸研究では、いまだに強い。

 
〔訳者の主張。
 互いに素であるようなタクソンたち(タクサ taxa)は、類型的思考として扱える。それは種というタクソン的階層に属する構築体である、個々の種[という分類カテゴリー]である。
 種というタクソンは、属員関係 membership relation と包含関係 inclusion relation という二つの関係を他(片や生物体という実在物、他方は構築体)と持っている。包含関係は構築体どうしの論理的関係である。
 包含関係は、分類学的階層 taxonomic hierarchy と呼ばれるものを構築するときの関係である。種階級 species rank を越えるタクサの関係や、それへの帰属は、しばしば生物分類学的営為において変更される。
 種タクサだけを設定するのがよい。属以上は、お遊びに近い。体系化のための構築体だからである。それらが実在的に感じられる場合もあるが、現実に生物体を産み出しているのは、種システムであって、属システムというようなものは実在しないであろう。(在るとして)観念世界には存在するかもしれない。(ここで実在性 reality の相対性については触れない。実在性についても、その種類と程度が考えられる。ここでは、どの世界から、その世界またはそれ以外の実在性を測定するかが問題であって、要は、実在性や実在感(の種類と程度)は、相対的である。

 
 1. 種[という分類カテゴリー]は、生物体という具体的存在者(つまり実在する物体)とは属員関係にある。
 2. (実在的な realistic、あるいは実在する real かもしれない存在者 entity としての)種システムは、その種に属すると同定される生物体を生成するまたは産み出す。
 3. 2に規定される種システムが実在するかどうかは、かなり未来の研究課題であろう。検出手段が揃わない。しかし伺い知ることならば、或る程度は可能である。
 4. 現今では、各種の発生システムを図解することが急務である。とりわけ、発生なら発生に必要かつ十分な諸メカニズムをシステム的に図示することが重要である。
 5.



Bunge哲学辞典:time 時間〔時〕

2012年08月27日 12時45分16秒 | Mario Bunge哲学辞典
2012年8月27日-1
Bunge哲学辞典:time 時間〔時〕

time 時間〔時〕 [BungeDic1, p.297-298]
 数学と新古典派ミクロ経済学を除けば、すべての専門分野によって共有される、基本的な存在論的カテゴリー〔部類、範疇〕である。時間という概念は、つかみどころが無くて、それゆえ大変無意味な論題でありつづけた。たとえば、ハイデッカーは『時間とは一時性が成熟することである』と書いた。別の例は、時間は流れるという隠喩である。それが無意味なのは、時間は物ではないからである。↑【時間の矢 arrow of time】。『流れる』(変化する)ものとは、実在する物である。きわめて大ざっぱに言えば、時間は実在する物が変化する歩み〔歩調 pace〕である。(すなわち、時間は絶対的ではなくて、相対的である。)しかし時間は、いかなる特定の実在物の性質でもない。つまり、空間と同様に、時間は『公的 public』、すなわち、すべての物によって共有される。(より精確には、任意の所与の参照枠に対して相対的な relative to 時間は、電磁的信号を通してその枠と結ばれ得るすべての物によって共有される。二つの時間概念が区別される。すなわち、物理的(または存在論的)時間と知覚的(または心理的)時間である。物理的時間は通常客観的だとみなされているが、心理的時間は、定義によって、或る主体によって知覚される時間(むしろ期間〔経過期間〕 duration)である。物理的時間は客観的であるが、他のあらゆるものから離れてそれ自体で存在するのではない。そういうわけで、時間はなんらかの過程かそこら、たとえば揺れる振り子か放射性物質の崩壊という過程を観測することによって測られる。そして厳密に言えば、時間は知覚不可能である。われわれは、或る過程を知覚するか感じることができるだけである。そしてこのような知覚は、そのような過程におけるわれわれの参加〔関与 participation〕に決定的に依存する。よって、感覚遮断についての実験の対象者は、すぐに時間を数えそこなう。物理的時間の本性について、主に三つの見解がある。すなわち、時間は存在しないという見解(無時間論 achronism)、それ自体で存在するという見解(絶対的捉え方)、そして生成の歩調だという見解(関係的理論 relational theory)である。無時間論は、時代錯誤となった。絶対的見解によれば、時間は変化する物とは独立的であるので、何物も変化しない場合でさえ、そして宇宙が空ろであっても、時間は在る。時間を捉えるにあたっての最初の重要な変化は、特殊相対性理論(1905)とともにやってきた。それは、時間を空間に(それらの区別は保ったまま)溶接し、時空間という概念を構築した。またそれは、あらゆる物理的状況において、二つの時間変数を区別した。すなわち、参照枠に付属する相対的時間と、着目する物理的な物に付属する固有時間である。一般相対性(1914)の始まりに先立って、物理学者は絶対的捉え方を前提とした。物理的な物または着目する過程を表象するに際して、剛直な rigid 空間-時間格子(または参照系)を選んだという事実に示されるように、である。それ以来、物質が高濃度である領域では(よって、強度の重力場では)、空間-時間測度の相関係数の値は物質の分布に依存し、したがって実験的に決定されなければならない、と一般的に合意されている。絶対的時間についての理論(仮説演繹的システム)は無い。他方、関係的時間についての一般的(哲学的)理論は少しある。いくつかは主観主義〔主観論〕的で、他は実在論的である。実在論的な最も簡単なものは、写像すべき或る物における時間順序を、その物の状態の連鎖 sequence とし、経過期間 duration をその同じ物における事象〔出来事〕の連鎖とする。その公理は次の通りである。所与の参照枠に相対的な任意の三つの点事象である e、e'、そしてe'〔→e"?、増補版を見よ〕に対して、
  T(e, e') = -T(e, e')、かつ、
  T(e, e') + T(e', e") = T(e, e")。
↑【時間の矢 arrow of time】、↑【空間 space】。



Bunge哲学辞典:argument 論証

2012年08月26日 10時55分33秒 | Mario Bunge哲学辞典
2012年8月26日-2
Bunge哲学辞典:argument 論証

argument 論証 [BungeDic1, p.23]
 【a 日常言語】論争。
 【b 論理〔学〕】前提から結論への(妥当な、または妥当ではない)推論。唯一の妥当な論証は、演繹〔導出〕である。妥当性はもっぱら、形式に依存する。それゆえ、『すべてのメロンは高潔である。これはメロンである。よって、このメロンは高潔である』は、形式的に妥当である。妥当性にかかわらず、諸論証は実り多かったり不毛であったりし得る。妥当ではないが実り多ければ、それらは_魅惑的 seductive_だと言われるかもしれない。例:無作為標本から母集団への統計的推測。非演繹的論証は、内容に依存する。したがって、帰納的論理または類推的論理を建設しようという企画は、倒錯している wrong‐headed。非演繹的論証は、認知心理学と認識論に属するのであって、論理学に属するのではない。類推的論証と帰納的論証は、示唆的ではあるが、論理的に妥当ではない。

 〔訳注。論理または論理学の範囲を、非演繹的論証も含めた(意味内容に関連した)論理的側面を研究するものだと拡張すれば、演繹的論証の性質も逆照射的にわかるというものではないか? 頑迷固陋な wrong‐headed というべき。さらに、論理学が推論を扱うのならば、推論は心理学の一分野、つまり心的物体の振る舞いに関する学問だと主張できるだろう。
 なお、科学は事実と関わるので、科学的推論とか科学の哲学のおける論証または議論 argumentは、演繹的推論だけではなく、なんらかの形で事実に言及することになる。いわゆる「科学的」事実に言及しないのならば、その議論は、狭い意味での論理学または数学の部類である。〕



Bunge哲学辞典:category mistake カテゴリー錯誤、causalism 因果主義

2012年08月26日 10時28分07秒 | Mario Bunge哲学辞典
2012年8月26日-1
Bunge哲学辞典:category mistake カテゴリー錯誤、causalism 因果主義

category mistake カテゴリー錯誤〔部類錯誤〕 [BungeDic1, p.35]
 或る類 kind に属する或る対象を、別の類に属すると提示〔呈示 presentation〕すること。例:自由意志を予測可能性と混同すること、また、『集団的記憶 collective memory』と『行為〔行動 actions〕の意味』について話すこと。

causalism 因果主義 [BungeDic1, p.35]
 ↑【因果連関 causation】は、生成の唯一の様態 mode だとする存在論的テーゼ〔定立〔定立命題〕〕。放射能、神経細胞の自発放電、そして↑【自己集成 self-assembly】によって反証された。
 〔訳注。前二者は暗黒物質が検出されれば反確証例にはならないかもしれない。また、自己集成は、機構が不明のままであると思う。マーナ・ブーンゲ『生物哲学の基礎』では、創発は自己組織化と同一視されているが、自己組織化もまた機構が不明のままであると思う。つまり、十分な説明の無い概念である。〕


日本の政治経済社会構造:ウォルフレンによる分析

2012年08月26日 01時14分54秒 | 生命生物生活哲学
2012年8月26日-1
日本の政治経済社会構造:ウォルフレンによる分析

 2012年8月25日、ウォルフレン『人間を幸福にしない日本というシステム』を読了した。
 たとえば、小沢一郎氏は排除されるだろうという(1994年の)予想は当たっている。
 注目した箇所は次の通り。

 1. 日本の官僚制度の特徴(83頁)。
  各省庁は、それぞれの法をつくり、それを好きなように解釈できる権力を持っている。また、その法を、許認可を与えたり与えなかったり、脅したりなどして、執行する力がある。政治家は、官僚たちがやることにほとんど影響力が無い。
 2. 実際に(闇)権力をもっている人たちを管理者と呼ぼう(90頁以降)。
  管理者たちとは、
  1. 政府省庁の官僚、
  2. 産業団体(経団連、日経連)、系列企業、銀行
であり、支えていたり補完しているのは、
  3. 御用学者(政府官僚御用達)の多い審議会、
  4. 大新聞やテレビなどのマスコミ、
  5. 一部の労働組合、
その他である。
 3. 検察庁は法務省の統制下にあるから、官僚制度全体の下僕である(115頁)。
 4. 管理者たちは、物事をあいまいにして、恣意的な運用を行なう(116頁)。
 5. 投機家は、紙の経済で儲けることができた(190頁)。
 6. 日本経済新聞は、バブル経済を演出した高級官僚専属の広報紙の役割を担った(203頁)。
 7. 大蔵省役人が権力を握り続けていられるのは、他よりも重要情報を握っているからである(203頁)。
 8. 「日本の主要企業の投資資金は、保険会社や信託銀行を経由して株式市場に流入した家計部門の貯蓄によって賄われた。企業の手もとには投資された資産が残ったが、〔略〕家計部門と金融機関からは何兆円もが消えて失くなった。つまり、1980年代後半に起きたことは、家計部門から産業部門への〔略〕移転にすぎないのだ。」(204頁)。
 9. 「村山首相の同意をとりつけた消費税値上げは、「福祉税」財源手当てとして提示された。しかし実質的には、これも経済官僚の「バブル」政策の尻ぬぐいをするためのものだ。」(204頁)。
 10. 「日本の住む人々は必要以上に長びく不況にさらされている。世界一高い物価から逃げられない。〔略〕そして今後は、保険料、公共料金、税金などの引き上げが日本の人々を見舞うことになるだろう。」(223頁)。
 11. 「日本の有害な惰性の第二の原因は、一般の人々があい変わらず「シカタガナイ」と言いつづけ、思いつづけていることだ。」(235頁)。
 12. 「大蔵省の官僚たちは株価と地価の狂乱的暴騰へと日本経済を導き、それが「バブル経済」を出現させた。〔略〕日本の何百万世帯の財力にそのつけをまわした。そしてすぐにまた、彼らは納税者と消費者からもっと金をしぼり取ろうとしている。それは、大企業と金融機関を破産させないためにこれから必要となるであろう金であ〔る〕」(237頁)。
 13. 「日本には、政治的な意味で力をもった知識人階級がない。〔略〕市民は〔そうした知識人階級〕をつくる手助けをしなければならない。」(271頁)。
 14. 「日本の多くの知識人は、管理者たちに誘い込まれて、既成秩序の宣伝活動をさせられている」(272頁)。
 15. 「八〇年代の前半には、当時の中曽根康弘首相の強力なお声がかりで、既成の体制を保守する大目的のために、知識人の第二の大動員がおこなわれた。京都に国際日本文化研究センターができたのはこの運動の一環だった。」(273頁)。
 16. 審議会は、日本の統治システムをより民主的にする制度だと見せかけられている。〔略〕実際は、官僚制に仕える召使のような人々で構成されている。〔略〕
 審議会制度が日本の政治システムから駆除されるまでは、この制度がもたらす害悪を最小限にとどめるための別の運動が必要である。〔略〕
 審議会の意思決定の全過程が公開されねばならない。」(283-285頁)。
 17. 新しい法律をつくったり、いまある法律を変えたりすることができる。通称「市民立法権」という公民権である。地方自治法第二章〔編?〕第十二条第一項。
 クビアック『日本にデモクラシーを:市民運動のための処方箋』
http://books.google.co.jp/books?id=3AoNDI3oNH0C&printsec=frontcover&dq=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AB%E3%83%87%E3%83%A2%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%82%92:+%E5%B8%82%E6%B0%91%E9%81%8B%E5%8B%95%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E5%87%A6%E6%96%B9%E7%AE%8B&source=bl&ots=hVPnZW_3up&sig=jzXanmWNclSK2lEzIxc4nRpGwEc&hl=ja&sa=X&ei=EvY4UMb7I-rOmAXlyoHQAQ&ved=0CDAQ6AEwAA#v=onepage&q=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AB%E3%83%87%E3%83%A2%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%82%92%3A%20%E5%B8%82%E6%B0%91%E9%81%8B%E5%8B%95%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E5%87%A6%E6%96%B9%E7%AE%8B&f=false
 18. 「大学は、〔略〕日本では、新聞と同じく、市民社会の力を弱めがちである。〔略〕大学は現状維持のための勢力なのだ。」(309頁)。
 19. 政治制度の目的の中心には、政治と秩序という理想がある。
 20. 「大衆社会の形成者としてのテレビの影響は、総合的に見れば、〔略〕市民社会にとって不健全なものである。〔略〕受け身の娯楽に慣らされてしまっているのだ。しかし、政治は真剣な営みなのである。」(331頁)。
 21. 怖れるな Fear not。勇気を揮おう。
 22. 「真の愛国心とは、最終的には隣人たちへの思いやりから生まれる。近くにも遠くにもいる、あらゆる隣人たちへの人間的共感から生まれるのだ。」(348頁)。

 
 日本を変革するためには(242-243頁)、わたしなりにまとめると、
  1. 日本の政治社会の仕組みについて知ること。
  2. 官僚など政治的権力者たちの行動について知ること。
  3. 情報公開と話し合いを求める。
  4. 家族や知り合いを市民になるようにすすめる。
  5. 影の省庁をつくる。市民集団をつくる。
    政府の行動を監視し、自分たちの解決策を練る。
    行動的な市民の仲間を募って、或る省庁に的を絞って働きかける。
    グループ間のネットワークをつくる。

 この本を読んで、大恐慌があるとして、それは「日本発」だという見解はあたっているのかもしれない、と思った。

 
[W]
*ウォルフレン,カレル・ヴァン〔Karel van Wolferen〕.(篠原勝訳 1994.11),人間を幸福にしない日本というシステム.毎日新聞社.[OCL302.1]

ウォルフレン,カレル・ヴァン.(井上実訳 2012.3)日本を追い込む5つの罠.角川書店[角川oneテーマ].



Bunge哲学辞典:CESM model CESMモデル〔構成環境構造機構モデル〕

2012年08月25日 22時18分53秒 | Mario Bunge哲学辞典
2012年8月25日-18
Bunge哲学辞典:CESM model CESMモデル〔構成環境構造機構モデル〕

CESM model CESMモデル〔構環構機モデル、成環造機モデル〕 [BungeDic1, p.36]
 順序四つ組 M =〈構成、環境、構造、(諸)機構〉として、或る↑【システム】の↑【概要を述べたもの sketch】。例。製造工場は、労働者、技術者〔工学者〕、そして管理者から構成され、その環境は市場であり、それは契約と通信および命令の諸関係によってまとめられ〔一緒にされ〕、その諸機構とは製造、売買 trading、借用、そして営業企画 marketingの諸機構である。或るシステムの機構〔メカニズム〕が知られていないか無視できるならば、メカニズム的CESMモデルは、機能的なCES概述へと縮まる〔reduce to〕。

→システム system (p.282)
→2011.1.5 システム主義、システム的アプローチ systemism, systemic approach[
http://pub.ne.jp/1trinity7/?entry_id=3406301


sketch 概述〔見取り図〕 [BungeDic1, p.270]
 ↑【schema】。

schema 図式〔大要〕 [BungeDic1, p.256]
 主要な性質の概述〔sketch〕または目録〔一覧 list〕。『独身男子、気が若い、非喫煙者』といったもの。



Bunge哲学辞典目次[C]

2012年08月25日 21時45分37秒 | Mario Bunge哲学辞典
2012年8月25日-17
Bunge哲学辞典目次[C]

Mario Bunge哲学辞典目次

[C]
calculus
cardinal/ordinal
Cartesian product
categorical imperative
category
category mistake
causalism
causation
cause/effect
certainty/doubt
CESM model
chain (or ladder) of being
chance
change
chaos
charlacanism
chemistry
choice
choice, axiom of
chutzpah, philosophical 哲学的厚顔無恥
circle, vicious/virtuous
clarity
class
classification
closure
coextensive
cogito, ergo sum
cognition
cognitivism
coherence
coherence theory of truth
cointensive
collection
collectivism
commandment
common sense
commonsense realism
communication
compatibility
complement
completeness
complexity
composition
computationalism
concept
concept formation
conclusion
concrete
condition
conditional
confirmation
conjunction
connective, logical
connotation/denotation
consequence
consequentialism
conservatism
consistency
constitutive/regulative
construct
constructivism
contemplation
content
context
contingency
contractualism or contractarianism
contradiction
contraposition
controversy, philosophical
convention
conventionalism
conviction
coreferential
correspondence, principle of
correspondence rule
correspondence theory of truth
corrigibility
cosmology
counterexample
counterfactual
counterintuitive
coverage
creation
credence
criterion
criticism
cryptocontradiction
crypto-tautology
cubism, philosophical
culture
culturology
cybernetics


Bunge哲学辞典目次[B]

2012年08月25日 21時17分04秒 | Mario Bunge哲学辞典
2012年8月25日-16
Bunge哲学辞典目次[B]

Mario Bunge哲学辞典目次


[B]
background of a research field
baroque philosophy
basic
Bayesianism
becoming
behaviorism
being
belief
BEPC schema
biconditional
bioethics
biologism
biology
black box
black-boxism
body
bond or link 結合または連結 [BungeDic1, p.32]
Boolean algebra
breakthrough
burden of proof 立証責任〔挙証責任〕 [BungeDic1, p.33]


Bunge哲学辞典目次[A]

2012年08月25日 21時15分54秒 | Mario Bunge哲学辞典
2012年8月25日-15
Bunge哲学辞典目次[A]

Mario Bunge哲学辞典目次

[A]
about について
absolute/relative 絶対的/相対的
absolutism
abstract
abstraction
absurd
academic
accident
accidental
account
action 作用 [BungeDic1, p.9]
actual
actualism
actuality
actualization
addition
ad hoc hypothesis
aethetics 感性学〔美学〕 [BungeDic1, p.11]
afterlife
agathonism
agency 作用* [BungeDic1, p.11]
agent/patient 作用者〔動作主,作動者〕〕/受動者〔被動者〕 [BungeDic1, p.11-12]
〔aggregate〕
agnosia
agnosticism
agonism
alchemy, epistemic
alethic
algebra
algorithm
all/some
altruism
ambiguity, lexical
amoral
amoralism
analogy
analysis
analytic philosophy
analyticity
analytic/synthetic divide
anarchism
and
animism アニミズム [BungeDic1, p.18][初版の訳→増補改訂版の訳にすべし]
annihilation
anomaly
antecedent/consequent
anthropic hypothesis
anthropocentric
anthropomorphic
anthropology
antinominalism
antinomy
antiphilosophy
antithesis
any
anything is possible
apodeictic
appearance
approach
approximation
a priori/a posteriori
apriorism
arbitrary
argument
arrow of time
art
artifact
artificial/natural
associativity
assumption
atheism
atom
atomism
attribute
authoritarianism
autonomy/heteronomy
axiology
axiom
axiomatics


Bunge哲学辞典:burden of proof 立証責任〔挙証責任〕

2012年08月25日 21時13分05秒 | Mario Bunge哲学辞典
2012年8月25日-14
Bunge哲学辞典:burden of proof 立証責任〔挙証責任〕

 
burden of proof 立証責任〔挙証責任〕 [BungeDic1, p.33]
 推測、規範、または方法を申し出る者はだれでも、それを正当化する道義的責任を持つ。たとえば、心的なことの非生物学的説明、あるいは、社会的なことの生物学的説明を進める者はだれでも、それを支持する証拠〔根拠 evidence〕を示す義務がある。対照的に、科学者と科学技術者は、科学者でない者〔非科学者〕のとっぴな空想的産物〔奇抜な考え〕を照合する義務の無いところにいる。同様に、刑事には、異星人に誘拐されたという主張を反証する義務は無い。生体医学研究者には、信仰療法が申し立てられたあらゆる事例を照合する義務は無い。また、工学者〔技術者〕には、永久運動機械のあらゆる新しい設計を検査する義務は無い。


Bunge哲学辞典:bond or link 結合または連結

2012年08月25日 20時44分01秒 | Mario Bunge哲学辞典
2012年8月25日-13
Bunge哲学辞典:bond or link 結合または連結


bond or link 結合または連結 [BungeDic1, p.32]
 二つの物が結合されている、連結されている、または対にされている coupledとは、それらにとって相違を生じる関係がそれらの間に在るとき、そしてそのときに限る。例:物理的力、化学結合、交友関係、取引関係。諸関係はさらに、_結合_と_非結合_に分割される。空間的時間的関係は、非結合的である。しかし、時空的関係は、結合を可能にさせたり、不可能にさせたりする。〔非結合の〕例:近接、間にあること、時間的遷移。