ビクトリアにはエスクイモルト基地海軍軍事博物館 CFB Esquimalt Naval and Military Museumがあるというのは遠い昔に書いたんですが、オープンハウスが開かれるということを聞きつけたので行ってみました。
まず基地のゲートに行って入れてもらいます。
ゲートを入って左側には何だか大砲が置いてありました。あれ、こんなの前には見なかったな・・・。最近置かれたってわけでもなさそうですし、単に見落としてただけですな。
これは7インチ70口径Mk.6連装砲。イギリスのヴィッカーズが開発した対空・対水上用主砲で、カナダ海軍のレスティゴーシュ級護衛駆逐艦とマッケンジー級護衛駆逐艦に搭載されました。
Mk.69射撃指揮装置と連携して運用され、連射速度は90発/分、射程は約17km(10.5mile)でした。砲身の摩耗や整備性を無視すれば120発/分まで連射速度を上げられたようです。
対潜ロケット「アスロック」ランチャー。お馴染みのアレですので詳細は省略(手抜き
護衛艦のランチャーとは微妙にランチャー開口部が違うんだな~とか思ってたんですがよく考えたらこれ後ろ側だ。なんでケツ見せて置いたんだ・・・?
これは改レスティゴーシュ級護衛駆逐艦に搭載されていたランチャーのうちのひとつだそうな。
最後に3インチ50口径Mk.33連装砲。
アメリカが開発した大型艦用の対空砲ですが、駆逐艦の主砲にも用いられました。カナダ海軍でも駆逐艦の主砲として採用、対水上用にも使われました。駆逐艦とはいえ主砲としては弱っちい感が否めないです。
ゲートをくぐる時に守衛に基地内の船を撮影していいか訊いたら「ええんやで」と返されたので堂々と撮影。特に撮影制限されてるわけではないようですが、一言断っておいたほうがいいですね。
広大な領海を持つカナダですがその大半は草も生えない北極圏なので、カナダ海軍の艦艇は意外とショボいです。海軍基地も太平洋側のエスクイモルトと大西洋側のハリファックス、あとはケベックシティの海軍本部だけ。艦艇も主力はフリゲート約10隻と潜水艦数隻で、海上自衛隊と比べると隔絶の感が。昔は空母まで持ってたのにね。
で、写真の艦はHMCSイエローナイフ(MM-706)。キングストン級沿岸警備艇7番艦です。警備艇ですが掃海能力も備えているため艦種記号はMM (mechanical minesweepers)となっています。他にも演習や救難救助も行うマルチロール艦といえます。
もう1隻、HMCSホワイトホース(MM-705)。ちっちゃい船なんですね。可愛らしいですよ。
カナダ海軍艦艇の塗装は青っぽい灰色で特徴的です。やはり日本とは海の色が違うんですかね?
奥にも何かいますが一部しか見えません。
ハリファックス級フリゲートと、一番奥の煙突2本のがプロテクチュール級補給艦かな?
補給艦の方は退役済みだそうな。
前回も見た「リンボー」対潜迫撃砲。
ドックがありますね。エスクイモルト基地には大小1基ずつのドックがあって、こちらは大きい方のドックです。
微妙に見づらい角度なんですが、今まで間近で見ることはなかったので興味深い設備です。
地図で測ってみたら長さ300m、幅30mくらいはあったので歴代カナダ海軍の艦は全て収容できる広さですね。
ちょうどハリファックス級が入渠中です。艦は建物だと言われるのがよく分かる作業現場ですね。
そんなこんなで博物館に着きました。今のドックはここの横から見えます。
ところでこの建物、初めて来た時は何かの建物を転用したんだろうと思いつつも元が何かわからなかったんですが、元は海軍病院とのことでした。基地にある4つの国定史跡のうちの1つです。
屋外展示品にフォードM37ジープ(1946年製)がいました。
LT. ゼネラル・アッシュトン・アーモリー博物館所蔵の車両で、ここの物ではありませんが、軍事博物館のイベントなので出張してきたんでしょう。戦後型であるデメキンのM38よりもやっぱりこっちの方が好きですね。
大戦期型のジープはウィリスとフォードが生産していたんですが、元々はバンタムという聞いたこと無いような会社が開発したものでした。聞いたことがないのも納得の規模の小さな会社で、これじゃ生産能力足りないよと考えたアメリカ陸軍は設計図を勝手にウィリスとフォードに公開してしまい、バンタム含めた3社に改良案の提出を命じたのでした。バンタム怒っただろうなぁ。その後3社はそれぞれ1500台の発注を受けることになりました。
でもよく考えたら3種類もジープいらないよ1種類に絞ろう、となった結果ウィリスMBが選ばれたのでした。バンタム悔しかっただろうなぁ。
そしてアメリカも第二次世界大戦に参戦するようになると、ウィリスだけでは需要を捌けないことから大量生産ならお任せのフォードでも生産が始まりました。その27万台のうちの1台がこれというわけです。ウィリス製とフォード製は同一仕様車となっていて、見分けるポイントは皆無です。あったら教えてほしい。この個体も左に見切れている解説板が無ければどっち製だか分かりませんでした。
ちなみに冷や飯を食わされたバンタムは、他の車両の生産を任されていました。さすがに陸軍も不憫に思ったのかも知れません。
シボレーカナダCMPトラックC-15A(1943~44年製)。カナダ生まれの多目的トラックです。製造年が跨っているのは特定が出来なかったからかな?
派生型がいくつもあるトラックなんですが、これはシボレーカナダのC-15Aシャーシ(4x4輪駆動、ホイールベース2.57m、搭載量15CWT≒762kg)を搭載したタイプです。キャブはNo.13タイプ。
CMPトラックもシボレーとフォードの2社で生産されましたが、ジープと違い判別が可能です。シボレーはグリルが菱形に交差していて、シボレーの十字ロゴマークが入っています。対してフォードはグリルが十字に交差していて、ロゴは無しとなっています。
非牽引式の給水車もありました。
本当に水が出る!
普通の飲料水で実際に飲んだんですが、なんだか飲んだ気がしませんでした。綺麗なんでしょうけど容器と蛇口がなぁ・・・。見てくれってのは大事。
式典の時間になったんで集合します。お話の後にテープカットをしました。めでたいめでたい。
この後ケーキが振る舞われました。コストコで売ってるような超でかいシートケーキだったんですが、申し訳ないけどアメリカらしいクソマズケーキでした。砂糖が飽和してんじゃないのかってくらい甘かったです。二度と食うか。
博物館の奥の窓から船が見えますね。前は気付かなかった。
それでも微妙に見通しが悪い・・・。
HMCSカルガリー(FFH-35)です。カナダ海軍の主力艦です。趣味的にはちょっと寂しいなぁ駆逐艦クラスは持ってほしいなぁと思うんですが、これもまあ予算の都合もあるんでしょう。
ただビクトリア級潜水艦を撮影出来たのは収穫でした。英海軍アップホルダー級のお古で、カナダでは2000年から4隻が再就役しています。
4隻のうちのどれかは艦番号が無いので分かりませんです。HMCSシクーティミ、HMCSビクトリア、HMCSコーナーブルックのうちのどれかです。
オルカ級巡視艇。1番艦のオルカ(PCT-55)と2番艦のレイヴン(PCT-56)です。動物が艦名の由来になっているんですね。
この巡視艇、もはや軍艦ではないのか艦船接頭辞のHMCSを付けないようです。
館内は前回見たのと一緒なので省略しますが、別室が公開されていたんでこちらを見ていくことに。
女性軍人の活躍の間。
女性用軍服だとか通信士として働く女性だとか。???「カービィ将軍、テレックスに緊急メッセージが!」
傷痍軍人の間。
片腕でポーカーやってるマネキンがいました。器用なことしますなぁ。
寝床の間。
艦内をイメージしたセットでしょうかね?そりゃまあ狭っ苦しいのだ。
100ポンド電気触発機雷。1900~1906年に使用(or製造)されたものだそうな。
この後ものんびりと過ごして頃合いを見て撤退しました。
おしまいです。