黒鉄重工

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バンクーバーの近郊列車に乗る その5【2015/08/11】

2017-02-24 23:39:49 | 鉄道撮影記

ウェストコーストエクスプレス(WCE)のウォーターフロント駅を15時50分に出発して、下車駅のポート・コキットラム駅に着いたのは16時24分。
距離は目測でおよそ27kmであり(正確なキロ程は調べても出てこなかった)、東京駅から東海道線に乗ると東神奈川駅か横浜駅くらいの距離です。列車通勤するには十分な距離だと思います。ちなみに終点のミッションシティ駅まで行くと約67kmあり、これは東海道線だと大磯駅まで行きます。こんなに遠いと自動車通勤だときついですかね。
プラットホームは1面だけ。朝夕にそれぞれ片道しか運行しないのでこれで十分間に合うんですね。見た目は綺麗でして、客車の塗装に合わせた街灯がおしゃれです。



乗客の降車が済んだら車掌が扉を締めて発車。次第に速度を上げながら巨大な客車はホームを去っていきました。
列車はミッションシティ側(郊外側)にディーゼル機関車、ウォーターフロント側(都心側)に制御客車を連結しています。
このバイレベルコーチの制御客車の顔は始めて見た時はずいぶんとお粗末なデザインだなと思ったのですが、他の制御客車を知るに連れてこれはこれで頑張ったほうなんだなと思うようになりました。今でもひどいと思うのはアムトラックやメトラの制御客車ですね。
WCEの制御客車の塗装は、前照灯やナンバープレートがある部分の黒い塗り分けが京王6000系のおでこに似ていて、窓や貫通扉の配置も相まって6000系に見えるような気がします。



列車の編成は機関車+客車9両の堂々とした長編成。八角形の車体がこれだけ連なっていると楽しいですね。
こんなに長いとビシっと写真を決めたいところなんですが、この駅からだと後追いしか出来ませんでした。まあ、バンクーバーの近場だとろくな撮影地が無いらしくネットにもそのような写真は見当たりませんでしたので、全体が収まっただけでも上々です。



直線でも撮影します。立地上側面逆光になるのも仕方なし・・・。



前回も書いたとおり、この駅の目の前はカナディアンパシフィック鉄道(CP)の広大な貨物ヤードが広がっています。
地上の目線から見ても全体が把握できないのですが、ヤード線は30線以上(幅350m以上)、長さは線路によって2~3kmまであるのでその広さは凄まじいものがあります。
たぶんこれだけで日本最大の操車場だった武蔵野操車場に匹敵するのではないかなと。これと同等かそれ以上のものがカナダには無数にあるんでしょうねぇ。



スー・ライン鉄道(SOO)の3ベイ・ホッパー車SOO75432。積み荷は穀物と思われ。
SOOはアメリカの五大湖西側あたりにある鉄道ですが、CPの子会社になっていて実質的にはCPのアメリカ内での路線です。CPは他にも何社かのアメリカの鉄道会社を買収しています。CNもそうですがアメリカ進出に積極的なんですよね。アメリカとしてはカナダ資本の鉄道に路線網を奪われて大丈夫なのかしらとも思いますが。


動きのない写真なんでアレですが、ホッパー車の貨物列車は入換をしているのかジリジリと右から左へ向けて動いていました。



こっちの貨物列車特有の組成が編成の中間に機関車を挟み込む中間補機です。あんまり長いと前と後ろだけでは足りないんでしょうかね。ちなみに機関車は遠隔操作されているので中に誰もいませんよ、とのこと。



4ベイ・グレインホッパー車CP603297。
麦の穂とカナダ政府の文字が特徴の穀物用ホッパー車です。種類が幾つかあって、特にCanadaの文字が大きく書かれた種類は好きでして、模型でも持っているほどです。
このグレインホッパーは、1970年代にカナダ政府が鉄道による穀物輸送のために20年に渡り13,500両を製造しました。所有権は政府にあるようですが、車番からして車籍はCNとCPの両者になっているようです(政府の私有貨車という体にも出来そうなものだが)。
古いものは車齢40年以上なので2007年以降廃車が進んでいるようで、まともに運用できるのは2027年まで、完全に廃車されるのは2036年までという試算だそうな。ちなみに2017年時点で約8400両が現役です。



SOO124097。比較的おとなしめの落書きですね。なんか書いてありますが弊ブログでは取り上げないでおきます。



ホッパー車の列車が抜けていきました。まあその後すぐに戻ってくるんですが。



暴力的な輸送力を提供するダブルスタックカー。基本的に40ft海上コンテナを運びますが、それより短かったり長かったりするコンテナも運びます。
写真のコンテナはヒュンダイのものですね。結構見かけます。トヨタのコンテナとかは見ないですかね。



駅を探検します。
駅の外に出て駅舎を見てみます。無人駅でして、改札口はありません。まあ簡単な構造ですかね。



駅舎の中には券売機があります。これで切符を買って乗ります。普通の使い切り切符の他に定期券もあったはず。この時は準備工事だけでしたが、執筆時時点ではICEBERGカード「コンパス」も供用されていて、タッチするだけで列車に乗れるはずです。



改めてホームを見ます。ヤードの途中に建ててあるので曲がりくねっています。



駅にはバスターミナルとパークアンドライド駐車場があります。列車からバスに乗り換えるという人もそこそこいるので、ちゃんと機能している模様。列車とバスでうまく乗り継ぎできる時刻表というのもポイントですね。
日本と比べて発達が後発になった交通機関ゆえに各交通機関との連携は考えられたものになっていると思います。
バスはコミュニティバス系統に就くIC Bus AC Series (S460)。日本だと日野ポンチョくらいの大きさ。



NFI D60LF (P8101)。青塗装の面積が多いB-Line塗装です。B-Lineは急行バス系統に付けられる名前で、主にそれに使われるためのバスですな。
これは確か#160系統だったはず。
WCEの列車は郊外行きの列車しか走りませんから(千と千尋に出てくる列車みたいだ)、翌朝にならないと列車でバンクーバーに戻ることは出来ません。なので帰りはバスに乗ります。
私が乗ったのが#160系統で、バンクーバーのダウンタウンまで直通するバスです。バンクーバーまで1本のバスで帰れるのはポート・コキットラム駅が最遠だったはず。
ただし執筆時現在は途中のコートニー・ループで終点となってしまい、バンクーバーへ直通しなくなっています。バンクーバーへ向かうにはそこから別の系統に乗り換える必要があります。また現在はポート・コキットラム駅からほど近くにあるコキットラム・セントラル駅からスカイトレイン・エバーグリーン線が乗り入れているので、それに乗り換えてダウンタウンへ向かったほうが確実のはずです(訪問時はエバーグリーン線はまだ未開業だった)。



ひと通り駅を見たのでホームに戻ると・・・あ、なんか来た!
というところで今日はここまで。


最終回へ→

バンクーバーの近郊列車に乗る その4【2015/08/11】

2017-02-17 23:35:40 | 鉄道撮影記

グランビルアイランドへ向かうバスが到着したのでバス撮影は終わり。バンクーバーの目抜き通り、グランビル通りから50系統のバスに乗ります。
グランビルアイランドは生鮮食品の市場やレストラン、土産物屋などがある買い物が楽しい観光地ですね。バンクーバーでは超有名な観光地なので観光客だらけです。
元々は造船地区だったんですが、すっかり造船が衰退したのを再開発して観光地化したやつです。ギャスタウンと同じパターンだな。
まあグランビルアイランドに関してはググればいくらでも出てくるんでそっちを調べてみてください(丸投げ


最寄りのバス停から歩いてすぐの所に入り口があります。99号線の橋の下に入口があるので暗ぼったいです。中は全然そんなことないのですが。



昔の漁港みたいにひしめき合うボート。みんな金持ちだなぁ。



地面には線路が敷かれていました。敷地内には市場や工場があるのでかつて貨物を鉄道輸送していてもなんら不思議ではないので、その時の名残なのでしょう。
車は空いている所に駐めていいみたいな感じでしたが(駐禁の場所もあるが)、早めに行かないとあっという間に埋まってしまいますね。



やはり鉄道車両を利用した店がありました。カブースを改装してできたペット用品店ですね。店内に見るべきところはないだろうと外観を見るだけにしました。



建物の中に延びる線路。中を調べても特に何も見つかりませんでした。
線路はこんな感じであまり収穫はなく。



生コン工場っぽい建物。コンクリートタワーがアートになっていました。



グランビルアイランド一番の名所、パブリックマーケットに来ました。



売っている品物も陳列の仕方も値札の書き方も日本とは異なるので見ていて楽しいですね。海外の市場はやはり面白いです。



鮮魚売り場。売り場の半分は鮭でした。さすがですね。でもこんな時期から鮭が揚がるんですね。



さていい感じに列車の次官になってきたし帰りは船で戻ろうと思ったんですが、思ったよりもこれは時間がかかりそうだ・・・。



列に並んでここまで来たんですが、行きたい方向と逆の船だったのと次の船がいつ来るか分からなかったので、踵を返してここへ来る時に使ったバス停へ走って戻る。ところでこの船、どっちかっていうと筏だなぁ。
どうにか乗降中のバスを捕まえることに成功して、時間までにダウンタウンへ戻ることが出来ました。考え無しで動くとたいてい上手く運ばないんですよね、私の場合。



バスを降りたらすぐ乗り換え!
今まで何度もウォーターフロント駅を歩いたことはありますが、運行時間外だったため唯一開かずの扉で入ることのできなかった空間、西海岸急行ことウェストコーストエクスプレス West Coast Express; WCEのホームへと降り立ちます。
ホームは1面2線。長さは十分ありますが、先頭ははみ出ていますのでこの駅で列車の編成を撮影するのは不可能です(ホーム端から入線する列車を撮影することは出来るかもしれないが確証なし)。それ以前に、改札員と自動改札機が入口を固めているので乗客以外がホームに入るのは難しいかと思います。
なお運賃は路線バスやスカイトレインとは別体系で、WCE独自の運賃を支払います。乗り継ぎ運賃制度も確か無かったはずです。WCEの運賃も並行するバスよりも割高です。(おそらくほぼ確実に)着席できて、乗車時間もバスより短いのでその快適料でしょうか。あとはまあ単純に運行経費が高いでしょうしね。



駅名標と客車。客車はボンバルディア製の2階建てバイレベル客車。
WCE客車の塗装は上越新幹線のE4系みたいで親しみが湧きやすいです。



台車は約半分がカバーに覆われています。この客車は横から見ると八角形に見えるので美観の意味でのカバーですかね。
台車は東急のパイオニアIII台車のような即梁の外側に車輪が、車輪の外側にディスクブレーキが付いているタイプ。弱々しく見えて不安ですが、割りと高速走行するんで大丈夫なんでしょうね。



すぐ発車時刻だったのであまり観察できないまま列車に乗車。別に次の便に乗ってもいいんですけど、帰りの時間も考えるとあまり猶予時間もないのです。
まずは1階に陣取りましたがすぐに2階へ移動しました。さすがデカい客車だけあって天井高さがたっぷりありまして、東海道線のグリーン車みたいに頭を下げながら歩くという必要は全くありませんでした。
客室の構造としては、プラットホームと同じ高さにある1階、その上にある2階、1階と2回を結ぶ階段の間にある中2階の3つに分けられます。東海道線のそれのように中2階にも座席があって隣の客車への貫通路もそこにあります。
座席は写真の通り2+2列のボックスシート。215系に近い座席形状・座席配置ですよね、これ。座り心地はまあそれなり。一部の座席には電源プラグもあるのでスマホいじり放題。トイレのある車両もあります。
車掌室はどうやら無いらしく、車掌は編成の真ん中あたりのドア近くに立って各種放送やドア扱いを行います。

列車は15:50にウォーターフロント駅を発車するとあまり速度を出さずに東へと走ります。線路が海沿いなので景色がよく、途中では機関区や工場の専用線の横も通るので車窓は飽きないと思います。
ちなみに車内の写真はこれ1枚だけです。さすがに人のいる車内であまりカメラを向けるのもはばかられたのです。何言われるかわかんないですし・・・。
乗車時間30分ちょっとでポート・コキットラム駅 Port Coquitlam stn.に着くのでそこで下車します。バンクーバーダウンタウンへの帰りのバスを考えた場合ここより先に行くと帰還が困難になる恐れがあったのと、駅の目の前が貨物ヤードなので何か起こるだろうと考えたのが理由ですね。

今日はここまで。


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第69回清水みなと祭りの展示艦船を見学 後編【2016/08/07】

2017-02-16 20:47:14 | 日常記

望星丸見学を終えたら再度自衛隊の展示を見ます。といっても地上展示ではなく航空自衛隊の飛行展示を見ます。
陸海空と3軍の装備を一度に見られるというのも中々良いものです。



最初に飛来してきたのは静浜基地の富士T-7練習機。プロペラの初等練習機です。
2機で編隊を組んで会場上空をフライパス。



もう一度フライパスするために旋回。
ちっちゃくしか撮れない・・・。カメラの望遠が足りない(210mm*1.5倍)のもありますけど、あんまり低く飛んではくれないんですね。カナダだとそんなに不満にはならなかったんですが。



少し時間を置いてから2回目のフライパス。3回目も同じような飛行をしてそしてそのまま帰投してしまいましたとさ。展示時間は15分取ってあったのに5分ちょっとで終わっちゃったぞ。その5分間だって半分はフライパスするための待ち時間だったし・・・。
うーんまあ、えぇ~、そうねぇ・・・。水平飛行でのフライパス3回だけかぁ・・・。ロールとかしてもよかったんじゃぁ・・・。
ちょっと期待していたものと違いましたが、第2弾があるのでそれに期待しましょう。



来ました。護衛艦も一緒に入れてみたんですがセンスが壊滅的なのでダメっすね。



飛行展示第2弾は浜松基地の川崎T-4練習機。こっちはジェットの中等練習機です。
編隊も4機と倍増。まずはダイヤモンドでフライパス。



旋回して再度フライパスの準備。



2回目もダイヤモンド編隊でフライパス。1回目と異なりおみ足を見せていますが、肉眼でわかるんかこれ?
で、これでおしまい。
おぉ~、そうかそうか。なるほどなぁ。別にブルーインパルスのような展示飛行するためのパイロットでもないですし色々制約とかあったのかもしれないですが、もうちょい動きのある展示が見たかったです。少し芸が無いぞ?
今年はちょっと航空祭に足を運んでみようかなぁと思いました。



最後の航空自衛隊にはガッカリしましたが見たいものは全て見たのでこれで撤退します。
帰りがけに2001テトラ号という名前のセンスが空振りしている起重機船を見かけました。収穫の終えたテトラポッドを海岸へ出荷しに行くところですかね。
かっこいいですね、起重機船。



帆船のオーシャンプリンセス号。エスパルスドリームフェリーが所有している貸切用のクルーズ船です。こんなのも持っていたのか。



テルファークレーン。貨物船から鉄道の貨車へと木材を積み替えるためのクレーンで、従来よりも圧倒的に効率的な積替えが出来るようになりました。
登録有形文化財なんですが、ひと目でどういう建造物なのか把握できないので貨車を置いて積み替えを再現するとか、そういう工夫があってもいいと思うんですけどね。見た目がクレーンっぽくないので鉄骨のオブジェか何かに見えなくもないんです。



昼飯はドリームプラザ内のどんぶり屋で穴子丼。満足。



帰りは電車でなくてバスにしました。途中、北街道を経由するので途中下車して近くの模型屋に久々に寄って買い物してから帰りました。

この日はこんなところです。おしまい。

バンクーバーの近郊列車に乗る その3【2015/08/11】

2017-02-13 21:56:48 | 鉄道撮影記

水上機を見た後はラーメン屋に入ってラーメンを食べてきました。無性に日本のラーメンが食べたくなったのだ。
その後は鉄道模型屋に行くためにスカイトレインのスタジアム・チャイナタウン駅まで歩いていたんですが、途中でこんな建物がありました。
ビーティストリート・ドリルホール Beatty Street Drill Hall というカナダ軍の建物です。ドリルホールというのは訓練所という意味ですな。
1901年築のバンクーバー最古の訓練所とのこと。街路樹が生い茂っていて全体が把握しづらかったですが、立派な建物でした。一応現役の軍事施設なのかな?



で、建物の前には戦車が2台保存されていました!
M4シャーマン?いやちょっと違うな・・・パチもん?と思って車体に貼ってある銘板を見たらラムMk II巡航戦車でした。
アメリカのM3リー中戦車を基にカナダが開発した戦車です。元になったM3は主砲が車体に固定されているので射角に制限があったことと車体がリベット止めなので強度に難ありなどの問題があり、カナダ軍ひいては戦車生産を委託しているイギリス軍からM3では性能に不満があったというのが背景にありました。
なので、ラムでは主砲を旋回砲塔に配置して車体も鋳造品を新たに造りました。よって、M3の面影はほとんど残っていません。どちらかというとM4に近くなっています。転輪を見るとアメリカ系の戦車なのかな?とも思いますが。
製造はモントリオール・ロコモーティブ・ワークス(MLW)、鉄道車両メーカーですね。ところが今まで戦車開発なんてしたことない連中でしたので、エンジン、トランスミッション、車体、砲塔など主要部品はアメリカから調達するという有様でした。
開発は1941年6月に完了して同年11月から量産が始まりました・・・が、翌年からM4シャーマンがレンドリースでドカドカとヨーロッパに送り込まれるようになると、連合国の兵装はアメリカのもので共通化させたほうがいいんじゃね?という考えが広まった結果ラムはいらない子になってしまい、連合国の戦車としては少なめの約1900台で生産中止。実戦配備はされず、訓練のみに使われました。だからこの訓練所に保存されているのかもしれませんね。
なお、ラムの生産中止以降はM4A1シャーマンのマイナーチェンジ版グリズリー巡航戦車を製造したんですが、兵装共通化の波に抗えずこちらもたった188台で生産中止。哀れ。
ただし、MLWはラムおよびグリズリーのシャーシを流用したセクストン自走砲を製造するようになり、こちらは大成功と言える評価を得ています。よかったな。



後ろ。機銃は撤去されてハッチも溶接されて閉じられていますが、状態は良好です。ラムMk IIは6ポンド砲搭載型で、ちなみにMk Iは2ポンド砲搭載型。Mk IはMk IIまでの繋ぎだったので50台しか生産されませんでした。Mk Iは現存車いないんじゃないかな?
この鋳造車体はM4A1のものに近い形状をしています。が、派生型の常として細かい所が所々異なっています。分かりやすいのは操縦手の覗き窓のある部分の車体が一段低くなっている点ですかね。
実戦にも出て無くて派生型も期待できない戦車なので立体化に恵まれておらず・・・。今後展開されるガルパン最終章にもし出てきてもプラモデルがないという状況です(カナダがモチーフと思しきメイプル高校なる学園艦がいる)。この際だからどっかから立体化されないかな~?



もう1台の保存戦車がこちら、M4A3E8シャーマン・イージーエイト
ここを拠点にしていた第28カナダ機甲連隊指揮官D.G.ワージントン中佐が第二次世界大戦中に乗車していた「ボス号」の塗装を再現した車両だと思います。解説によればフランス ファレーズ市の140高地での戦闘で損害を受けたとのことなのでその時の乗機ではないでしょう、たぶん。
イージーエイトについてはおなじみなので端折ります(手抜き



後ろ側も。



戦車ではないですが、カナダ海軍が使っていた64ポンド砲もありました。
艦載砲ではなくて、バンクーバー島のエスクイモルト海軍基地を防御するための陸上砲でした。こんな大砲じゃ射程なんてたかが知れてるようなもんですが、大丈夫だったんですかね?
1878年に敵の艦隊がやって来た時に慌てて配備した、と書かれていましたが、これってビクトリア周辺にかつて点在していた砲台陣地のことですか。今も数カ所の跡地が残っているんですが、その時使われていた大砲と確かに似ています。なるほど・・・と一人納得していますが、陣地の跡地に行った時の記事もいずれ書くんで待っていてください。みんなすぐに忘れるだろうけど。
その後大砲はバンクーバー初の民間軍事部隊第5ブリティッシュコロンビア砲兵旅団に渡ったそうな。



思わぬ収穫を得た後は、スタジアム・チャイナタウン駅へ無事に到着。
この駅はただの途中駅ながら3番線があって(スタジアムで試合開催時の多客対応?)、たまたま保線車両が留置されていました。ディーゼルのスイッチャーでした。



スカイトレインに乗ってレンフルー駅へ向かいます。
ここから歩いて鉄道模型屋の「セントラルホビーズ」へ行って物色。飛行機のプラモデルと貨車のNゲージを買いましたとさ。



再びダウンタウンへ。時刻はまだ14時半で、列車の発車まではまだ時間があります。
そこでバンクーバーの観光地のひとつ、グランビルアイランドで時間を潰すことにしました。そこまで走るバスが来るまでバス撮影です。
トランスリンク(コーストマウンテンバス)のNFI E40LFRの14系統。トロリーバスです。架線に対して左側を走っていて、路面電車と比較して多少の障害物なら避けられるのが強みですよね。いやもうだったら普通のバスでいいじゃん・・・とも思いますが。



トランスリンク(ウェストバンクーバー市営交通;通称ブルーバス)のNova LFS 257系統。
前にも説明しましたがトランスリンクのバスはコーストマウンテンとウェストバンクーバーによる共同運営です。
バスの車体にも違いがあり、ウェストバンクーバー交通の方はフロントにブルーバスの文字があり(自転車ラックが邪魔で見えにくいが)、フロントの屋根にはウェストバンクーバー市章が張り出されています。



サードウェーブのIC Bus CE。スクールバスです。



TMC MC-9 Special。キャピラノ吊り橋の無料シャトルに使われていました。あんだけ高い入園料取るんだから無料で妥当だろうと貧乏人丸出しなことを思いました。



ウェストバンクーバー市営交通 NFI D40LFの257系統。
ブルーバスの旧塗装、BCトランジットの旧塗装の色を替えただけとも見えます。

今日はここまで。


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第69回清水みなと祭りの展示艦船を見学 中編【2016/08/07】

2017-02-12 21:37:40 | 日常記

海上自衛隊の護衛艦「やまぎり」を下船した次は陸上自衛隊の装備を見ていきます。
最初は1/2tトラック。三菱パジェロがベースになっているのでなんとなくそっくり。



後ろ。屋根は幌になっていて、取っ払えるようになっています。
荷台は荷物とか人間とか色々運べるようになっとるんですな。



軍用車ですがパジェロの流用なので、エアコンやAM/FMラジオが付いているのが特徴だそうで。



軽装甲機動車。
器用貧乏って感じの車ですがじゃんじゃか造られたようで、意外と重宝がられているのかも。
ちなみに上で見切れている女の子は装甲車の屋根に乗って記念撮影していました。子供の特権やね。



高機動車。ハンヴィーじゃないよ。
装甲はないけど、移動力と積載能力に富んでいて使いやすいとのこと。



中にも入れますがまあ子供ばかりだったので・・・。
荷台の定員は10名です。



ペトリオットミサイル。一時期はトリオットと言われていましたが、最近は「ペ」派が優勢か。
陸上自衛隊・・・と思わせて航空自衛隊の装備でした。今まで緑色をしたタイヤの付いた車両はみんな陸自の装備と思ってました。塗装をよく見ると陸自のオリーブドラブ色よりも明るい緑色ですね。
PAC-3ミサイルを積んだトレーラーとそのトラクター、それと待機車を展示していました。トラクターはふそうのスーパーグレートのようです。



PAC-3地対空ミサイル。1つの発射筒に4発のミサイルを格納できるので、ここでは8発分、最大で16発分装備できます。
ミサイルを載せたトレーラーは確か東急車輌が造っていたはず。
日本では北朝鮮の弾道ミサイル対策で配備されていますね。弾道ミサイル迎撃は海上自衛隊のイージス艦からの艦対空ミサイルとこのペトリオットミサイルの2段構えで、ペトリオットはイージス艦が撃ち漏らした時のための最後の手段です。
ただ、大気圏外から隕石並みの速度(音速の十数倍以上)で自由落下してくるミサイルを迎撃するなんてまあムチャで、よく当てられるなぁと思います。ちなみにイージス艦の艦対空ミサイルは自由落下前に撃墜するつもりの運用なのでまだ当てやすいはずです。



待機車。
現場に展開した高射隊の隊員が休憩したり寝たりする時に使う車両です。



寝れると言ってもそこは軍隊なので寝心地はお察し。ベッドは24床まで展開できます。



これもふそうっぽいトラックですな。
これで地上展示はおしまいです。



次は再び船の展示へ。
やまぎりの他にも今回は東海大学海洋学部の実習船「望星丸」が展示されていました。1993年にここの近所にある三保造船所で竣工。海洋実習などに使用されています。



前から。遠洋航海もするでしょうから、それなりの大きさ。ちなみにこの望星丸は3代目。



艦橋をすっ飛ばして航海室。海洋実習の他に航海実習も行われていて、航海士の学生も乗船するんだそうです。



講義室かな?学生が実験の体験をさせていました。もうオープンキャンパスじゃんね。



ディーゼルエンジン。船のエンジンを見たのってもしかしたらこれが初めてかもしれない・・・。
博物館船って意外と機関部を見せてくれないんですよね。これだけでも収穫がありました。



水圧の実験では超ド定番のカップヌードルの容器を水圧で縮こませる実験。こんなに小さくなる。
そんなことより同じ味のカップ麺を21個も食べるほうがよっぽどアレだと思うんですけど。



他にも展示していましたがほーんへぇーって感じで(手抜き



後部甲板では今のカップ麺容器を水圧で圧縮する実験をしていました。この容器で人工的に高い水圧を生み出すのです。

望星丸もこれでおしまい。今日はここまで。


後編へ→

バンクーバーの近郊列車に乗る その2【2015/08/11】

2017-02-10 22:28:22 | 鉄道撮影記

前回に続き、バンクーバーの水上飛行場を観察します。
桟橋に4機連なって係留されているDHC-2ですが、すごくいい眺めですねこれ。いい・・・。



バンクーバー港水上空港は多くの路線が集中する空港なので、割りと引っ切り無しに水上機が飛来します。飽きませんね。



着水。DHC-2ですが見たことのない塗装です。



シーエアのCessna 208と離合。



機材はソルトスプリング航空のもの(C-FZZJ)でした。
ビクトリアとバンクーバーの間に広がるガルフ諸島最大の島であるソルトスプリング島とバンクーバーなどを結ぶ航空会社です。ビクトリアには飛来しないので初見です。



ハーバーエアのDHC-2 (C-FOCY) 旧塗装。



離水へ向けタキシングするDHC-2 (C-FWAC) 新塗装。
航空機にあるまじき四角四面とした胴体が変わっています。与圧されない低空用の機体だということです。
水上機には必須のゲタ(フロート)も胴体に対して前に張り出していますが、重量バランス的には重いエンジンと釣り合いを保つためにこれで正解なんですねぇ。



DHC-2のいる光景。くどいけど、良すぎでしょ。
ちなみに奥に浮かんでいるシェブロンのガスステーションは、船舶用のガソリンスタンドです。個人所有のクルーザーなどを相手に商売しています。



DHC-2が離水。



と思ったらDHC-2が到着。
最近はレシプロエンジンの音を聴く機会も減っていますから、そういう意味でも貴重です。
ちなみに、1機だけターボプロップ化されたDHC-2Tがいるんですが、1機だけということもあってお目にかかれませんでした。



ビクトリアでもおなじみDHC-3T(今日見たの初めてだな・・・)ですが、C-GHAGが整備を受けていました。エンジンカウルが外されていますね。



機首のアップ。エンジンはP&WカナダのPT6エンジン。傑作ターボプロップエンジンで、数多くのターボプロップ航空機に採用されています。
そのエンジンの大きさは意外なほど小さかったです。ターボプロップ化された機材を見るとたいてい機首が延長されているのでレシプロエンジンより大型化していると思ったのですが、あんな大きさで済むんですね。機首の殆どは配管で占められています。
ターボプロップはジェットエンジンの親戚のようなもので、まず空気取入口から吸入した空気を圧縮タービンファンで圧縮して高圧にしていきます。その高圧の空気を燃焼室で燃料を噴射してやると爆発的な燃焼が起きます。その燃焼で発生した噴流を丸々後ろに噴出させてその反作用で前進するのが戦闘機なんかに搭載されているジェットエンジンです。ただし圧縮タービンを回すために燃焼室の後ろに排気タービンを設けて噴流の推力を少し拝借して圧縮タービンを回す動力にしています。
で、ターボプロップはというと、上記のようなジェットエンジンだと低速域だと効率悪いよね、だからジェット噴流のエネルギーをプロペラに変えたらよくね?というふうに、排気タービン軸の先にプロペラを付けて回したもの、みたいなやつです。ジェット噴流の推力はプロペラに取られてしまってほとんど残っていないです。
レシプロエンジンと較べてみると、写真のように小型でその上高出力となっています。ただしレシプロエンジンよりも燃費が悪いのが欠点です。なので高出力化の必要が薄いセスナのような軽飛行機では燃費の面から今もレシプロエンジンが主流です。



DHC-3T (C-FHAA)。
ちなみに離着水は海岸から少し遠目の位置で東西(左右)方向に行われます。ビクトリアと比べるとその動きは単調でして、撮影するならビクトリアに軍配が上がります。
まあ運用する側からすれば着水直前に機体を急旋回させながら着水するなんてできればやりたくないでしょうしね。
なおビクトリアと比べると雲泥の差ほどあるバンクーバーの海上の面積ですが、離着水する場所(滑走路)はきちんと決められています。湾内は船の出入りも多いですから、好き勝手離着水していいもんでもないのです。



C-FHAJと離合。
キリがないので、いい加減離脱します。大満足でした。


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第69回清水みなと祭りの展示艦船を見学 前編【2016/08/07】

2017-02-09 23:09:52 | 日常記

2016年8月7日。
毎年恒例、清水みなと祭りで自衛隊が護衛艦や車両を展示したり練習機を飛ばしたりするので行ってみることにしました。ずいぶん昔からやっている恒例行事だそうです。
電車で行ったんでなんとなく静岡駅で211系を撮ったのですが、そういえば尾灯がLEDに交換されたのを思い出しました。確かに赤の色味が変わった気がします。



自衛隊装備の展示は清水港の日の出埠頭で行われていました。
まずは午前中で展示を終えてしまう護衛艦から見学することに。この日展示されていたのはあさぎり型護衛艦「やまぎり」(DD-152)でした。あさぎり型を見たのは初めてのことです。



といってもあさぎり型は前級のはつゆき型の改良型で見た目はそれほど変わらないので(艦体がひと回り大きくなっているそうな)、目新しさはあまり感じなかったです。



対艦ミサイル発射筒は4発載るはずですけど3発しかないんですねぇ。



おしり。



乗艦します。甲板だけ見て回れます。
まずは前部甲板に出ておなじみアスロックランチャーを見ます。ところでこれに収まっているミサイルはどうやって再装填しているんでしょうね?パッと見甲板にクレーンは見当たらなかったですけど。



艦橋とかマストとか。
艦橋は結構高さが低いように見えます。



御存知76mm単装速射砲。



見学中に駿河湾フェリーの「富士号」が通過していきました。こんなに小さい船だったの。
海の県道こと県道223号線にもなっています。だから何だって感じなのであまり浸透していませんけれども・・・。



掃海艇「ししじま」でも探した妖精さんこと救命訓練用人形探しですが、いました。わざわざ表へ引っ張り出してきたようですが、簡単には見つけられない所に立たされています。



たぶん、さいとう・たかをが描いたと思う顔をしていました。狙撃が得意そう。



必ず目にする魚雷発射管。



シースパロー艦対空ミサイルをを収めるMk.29ランチャー。



表側。1つだけ蓋が開いていて中を見られました。こういうのはうれしいです。



中はこうなっておるんじゃ。レールに固定されているんですねぇ。



艦載機はお留守。格納庫も見学は無しでした。

やまぎりはこんな感じでした。次回は他の装備品を見ていきます。


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バンクーバーの近郊列車に乗る その1【2015/08/11】

2017-02-05 20:07:25 | 鉄道撮影記

2015年8月11日。
バンクーバーの公共交通機関には路線バスやスカイトレインというLRTなんかがあります。それとは別にもうひとつ、ウェストコースト・エクスプレスという通勤用の列車があります。
通勤列車なので平日の通勤時間帯にしか運行されません。さらに列車の運行も朝は郊外からダウンタウンへ向かう列車だけで反対方向への列車は無し、夕方はその逆だけとバンクーバーを拠点や始点にするとどうにも不便な列車です。ホームライナーみたいなものでして、観光客はまず乗らないし乗る用もない。
しかし、うっかり北米の鉄道にドハマリしてしまった私はこれに乗らないわけにはいかずその機会を狙っていたのですが、中々行く決心がつかないまま夏になってしまいこのままだと秋になって明るい時間が減ってしまうので、その前に片付けようとようやく腰を上げて乗りに行くことにしました・・・今日はそういうお話です。

バンクーバーへはいつも通りフェリーを使って海路で。スワーツ港7時発のツワッセン港行きに乗ります。昼前にはバンクーバーに着いちゃうので夕方の列車に乗るには早いんですが、列車乗るためだけに行くのはもったいないのでその時間まで他のところを回ります。



フェリー内の食堂で朝飯を食べている時、そういえばフェリーの車両甲板って降りたこと無いなぁと思ったので、食後に行ってみたらカナダ陸軍のトラックが運ばれていました。フェリー使うんだ・・・。
アニマルガードがなんともアメリカンですが、あんな高さでぶつかる動物とかいるんかな?



バンクーバー側のツワッセン港に着いたらトランスリンクのバス620系統に乗り換え。車両はいつものNFI XDE60。



終点のブリッジポート駅でスカイトレイン・カナダ線に乗り換え。一駅先のマリーンドライブ駅で降りて電車の撮影を行います。



カナダ線の100形(仮称)。ヒュンダイロテム製の電車です。発射時の走行音はE233系にそっくりと俺の中で知られています。



後追いだと足回りまで撮影できます。高架線の脇に衝立がないけど、大丈夫なんかなこれ。



バンクーバーのダウンタウンまではスカイトレインが早くて便利なのですが、バスでもダウンタウンへ向かえます。
せっかくなので今回はバスでのんびり行きます。ダウンタウンへはいくつかの系統があって、私は3系統に乗りました。
乗車車両はNFI E60LFR。空中の架線から電気供給を受けてモーターでバスを駆動させる「トロリーバス」です。マリーンドライブ駅がトロリーバス区間の南端っぽいです。距離はダウンタウンから10km弱ほどですかね。
出発後はメイン・ストリートという通りをひたすら北上していきます。ず~~~っと住宅街が続いて途中で飽きてきてしまいました・・・。時間も思っていたよりかかったし、電車のほうが良かったと少し後悔。



ダウンタウンに着いたのは10時半頃。ウェストコーストエクスプレスの出発まではだいぶ時間があります。なので暇つぶしにまずは水上機の飛行場を見に行くことにしました。
その途中にバスがいたのでこれも撮影。インターナショナル・ステージラインズのMCI J4500。



バンクーバー・トロリー社のトロリーバス。ただしこちらは昔の路面電車風のボディを装荷したレトロ調バス。動力源もディーゼルエンジンです。
トロリーバスというと各地の観光都市でよく走っていることも手伝って現地でもこちらを指す場合が間々あって、本物のトロリーバスとの言葉の使い分けも無いです。なので「トロリーバスに乗ったよ」という話を聞いても、乗ったのは実はこのレトロバスの方だったという事もあり。



グレイハウンドのMCI 102-DL3。グレイハウンドは都市間高速バスなんですが、このバスは観光バスのアルバイト運用に就いているような感じでした。



やっとこさ飛行場に着きました。
桟橋に水上機が10機ほど駐機されています。これだけの水上機を一堂に見られるのはかなりそそる光景です。眺めも抜群!



ハーバーエアのDHC-2 (C-GMKP)。
バンクーバー港水上空港 Vancouver Harbour Water Airport (CXH)は、ビクトリアでの水上機撮影でおなじみハーバーエアを始め数社が就航する水上機のハブ空港です。バンクーバー島とその周辺の諸島を結ぶ便が多いです。
年間の発着回数は5万回。1日あたり約135回。日本の下手な空港よりもよっぽど多い回数です。ただし旅客数で勝負されると・・・(水上機は1機あたりの定員が僅かなのだ)。



これもハーバーエアのDHC-2 (C-FAXI)ですが、こっちは旧塗装。
ハーバーエアのDHC-2は幹線であるバンクーバー~ビクトリア線では小型機故にまず見かけない機種ですが、他の路線では主力です。



桟橋を眺めていると、右手から水上機が着水体勢に入ってくるのが見えました。



着水。ビクトリアと違って海面が広いですから着水は比較的楽そうです。



機材はシーエア Seair SeaplanesのCessna 208 "Caravan" (C-FLAC)。キャリアと機体ともに初見です。
シーエアは1980年創設の水上機を使用した地域航空会社でバンクーバー水上空港やバンクーバー国際空港を拠点にしている会社。定期便の他にチャーター便や遊覧飛行もしますよ。
セスナ208は1982年初飛行のブッシュプレーン。機体規模はおなじみデ・ハビランド・カナダDHC-3「オッター」と同じです。生産数は2000機以上と大ヒットと言えるでしょう。シーエアではセスナ208が保有機材の主力です。

こんなところで今日はここまで。次回も水上機。


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北米project 4 ~Is the order a warbird? その6【2016/03/04~10】

2017-02-03 22:58:58 | 海外旅行記

引き続き西部航空博物館の本館を見ていきます。
ビードBD-5。1/1航空機キットことホームビルド機のひとつです。家のガレージで作れるやつですね。
隣りにいるF-86と比べると分かるようにとても小さな機体に仕上がっています。デブは乗れないよね。
「お、かっこいいな」と思わせるデザインでして、キット価格は$2,600ほど(エンジン付き)。低価格な部類らしく、5100機分の発注がありました。5000機というと大ヒットと言える販売数でして。
製作時間は3500時間(!)と言われていて、仮に週2日ある休日に8時間/日かけて造ったとして437日間かかります。1年間の土日はだいたい104日あるので毎週末せっせと造っても4年以上。そもそもそんなうまくいくわけないんで、10年は掛かりそうですね、これ。絶対完成する前に飽きるやつだ。ディア○スティーニだ。
しかもその後会社が破産してしまって全ての部品が揃わぬまま・・・というキットが多数発生してしまい、多くはそのまま放棄されてしまったらしいです。哀れ。
最終的には50機とも数百機とも言われる数が完成を迎えました。もちろん飛行機として設計されたので飛行することも出来ます。こんなものでも型式証明取れるってすごいな。

この個体はジェームズ・ボンド主演映画「007オクトパシー」に出てきた超小型ジェット機「アクロスター」と同じ塗装を再現しています(例によって塗装とこの個体との関連はない)。このアクロスターというのがBD-5なわけです。
BD-5はプロペラ機なのですが(尾部にプロペラがある推進式)、実は007に出てきたようなジェットエンジン搭載型のBD-5Jがマジでいました。ジェットエンジンはプロペラシャフトのあるところに据えられました。世界最小クラスのジェット機です。ただし最高速度は480km/hでゼロ戦よりも遅いんですけどね。

ちなみに、日本ではクソマイナーな飛行機なのに映画に出演したからなのか、どういうわけかプラモデルがかつてエルエス模型から発売されていました。同社は倒産して現在はマイクロエースがプラモデルの金型を持っているので、今でも再生産しているのかもしれません。



ノースロップAQM-38A標的機
1959年から1970年代にかけてアメリカ陸軍で運用されていた訓練用無人ドローンです。超音速が出せるらしいです。



後ろから。翼が付いていて、巡航ミサイルみたいなもんですね。



ノースロップKD2R5「シェルダック」標的機
これも無人ドローンで、AQM-38よりも古い1947年初飛行。エンジンもレシプロエンジンです。



ノースロップJB-1「バット」
ノースロップと言えば全翼機です。全翼機というのは胴体や尾翼が無く主翼だけで機体が構成されている航空機のことです。ノースロップB-2爆撃機が有名です。
ノースロップの創始者、ジャック・ノースロップは全翼機が大好きで、1929年にはX216という実験機を飛ばしています。そもそもノースロップ社が全翼機造ったるぜという目的で設立されたようなもんやし。
全翼機は空気抵抗の低減や軽量化が出来る(なにせ胴体や尾翼がないのだ)一方で、操縦が難しいという欠点があります。この欠点の克服が難しかったようで、機体制御をコンピューターがやってくれるフライバイワイヤが実用化されるまではどうしようもなかったと思います。
ノースロップの悲願は先述のB-2で達成されるわけですが(この時ジャック・ノースロップはとっくの昔に引退していて病の床だったものの、軍の特別許可を受けて当時軍事機密だったB-2の模型を見せてもらったという逸話はB-2開発史ではよく出る話)、それまでの間に色々試してたんだぜ!・・・という機体のひとつがこのJB-1。

第二次世界大戦中、ドイツのV-1飛行爆弾を見たアメリカ陸軍は1943年に「ノースロップ~、僕もドイツみたいな飛行爆弾が欲しい~!」とせがみ、飛行特性を調べるための有人グライダーJB-1と、ジェットエンジン搭載の無人飛行爆弾JB-1Aが1944年に造られました。
グライダーのJB-1は無事開発完了しましたが、本番のJB-1Aは発射試験中、射出直後に墜落してしまいます。こりゃエンジンが悪いよね、と判断されてJB-1は開発中止が言い渡されてしまいます。
その間にせっせと開発していたもうひとつの飛行爆弾JB-2は順調に進み、こっちが採用されることになりました。といってもこれ、V-1をアメリカがコピーした兵器なんですけどね・・・。

ここのJB-1は現存する唯一の機体です。スミソニアンのN-1M、プレーンズ・オブ・フェームのN-9MBと共に、現存するノースロップ全翼機3兄弟の一角です。
これにはキャノピーが付いているのでグライダー型ですね。全翼機と謳っていますが垂直尾翼はあるし胴体もあるしで、完全な全翼機とはいい難いところ。
胴体に関しては、なにせエンジンと爆弾を積まなければいけないのでどうしようもないです。全翼機の意外な欠点はコレで、機体を主翼だけにして薄っぺらくしたはいいけど、エンジンと爆弾と人間はどこに載せるの?となってしまいます・・・。爆撃機くらいの大きさだったら大丈夫なのかもしれないけど。



射出座席。ふーんって感じで。



こ、これはノノノ、ノルデン式爆撃照準器 Nordan bombsight!!
アメリカ陸軍航空隊が使用していた爆撃機が水平爆撃する時に精密爆撃出来るよう爆撃手が使う照準器です。元々は海軍が洋上の艦船を爆撃する時に使うためのものとして開発されました。
ただの狙いをつけるだけの照準器という代物ではなく、これのキモは一度照準をつけるとこの爆撃照準器が爆撃地点まで機体を自動操縦、爆弾投下地点に到達したら自動で爆弾を落としていくということ。ここまでされるともう爆撃管制システムと言って差し支えないです。70年前にそのような演算装置と自動操縦装置が!?と驚きますよ。
ノルデン(以下略)は照準部 sighting head と安定装置 stabilization platformの2つで構成されています。 ここに置いてあるのはあいにく上側の照準部だけなのですが・・・。ここでいう安定装置とは照準部の水平を保つ装置という意味もありますが、それだけではなく機体も安定させちゃうぜという想像するよりもデカい意味なのです。

この標準部にはコンピューター、接眼鏡、諸元を入力するためのいくつかのダイヤルなんかがあります。コンピューターといっても我々の想像するようなものではなく、歯車やカムなどで演算を行う機械式アナログコンピューターです。
左側の球体状の物に付いている覗き窓はジャイロ装置で、これで機体の水平とか進行方向とかを読み取ります。真ん中のタイヤみたいな覗き窓は、地上の景色と対気速度、風速、風向き、高度などが計算できる目盛りが付いています。それを読み取ってダイヤルを回してコンピューターに入力していきます。
すると後はコンピューターが爆弾の弾道を計算して、爆撃照準器と爆撃機の自動操縦がリンクされて爆撃射程距離と目標上空での爆弾投下まで、機体を爆撃照準器が自動操縦してしまうのです。すごいよね。
コンピューターの計算には機体と地上の爆撃地点の間の現在の角度である「瞬間照射角 Instantaneous sighting angle」と機体と空中で爆弾を投下する地点の角度である「希望投下角 Desired dropping angle」の2つを使うんだそうな。
自動操縦によって爆撃機は適切な進路を取っていくことで、瞬間照射角と希望投下角の相違は減っていき最終的にはゼロになります。この瞬間、コンピューターが自動で爆弾を投下するようです。

すごい装置なんですよ、これ 。



よく分かる解説!(手抜き



この博物館は空港の格納庫を1棟使って運営しているというのは前前前回くらいに書きましたが、その向かいにも何かあるので覗いてみると、ありゃ、こいつはハリアーじゃないですか。中でもこれはホーカー・シドレー「ハリアー」T.4という型式です。初期型であるGR.1型を改良したGR.3型の練習機型というやつです。
ハリアーT.4はイギリス空軍が運用していた機体なんですが、塗装はイギリス海軍のもの。最初はまた縁もゆかりもない塗装だと思ったんですが、経歴(S/N XZ145 or 212026)を洗ってみるとイギリス海軍に貸与されていた時期があり、その時の塗装なのかもしれない・・・という感じです。
自国の兵器が好きすぎて死にそうなイギリス人ミリオタは機体の経歴を詳細に記録していると評判なわけですが、本当なのかもしれないですね。詳細な経歴がこうも簡単に出てくるとは。



ブリストルのペガサスエンジン。まあブリストルは合併されて今はロールスロイスなわけですが。
こんなにガバチョとターボファンエンジンの羽根がよく見える戦闘機もそういないと思います。



ハリアーと言えば、世界初の実用垂直離着陸機(SVTOL機)です。つまりは滑走路で滑走しながら離陸する通常の飛行機と違いその場で垂直に離陸できる飛行機です。
それのキモとなるのがペガサスエンジンです。今見たとおり空気吸入口は普通のジェットエンジンと同じですが、噴出口は大きく異なり4つ(左右2つずつ)に分かれているのが特徴です。
先端には可動式のノズルが付いていて、垂直離着陸時にはノズルを垂直(下向き)に、水平飛行時にはノズルを水平(後ろ向き)に動かすことでジェット噴流を偏向させて飛行するわけです。ただしノズルを下向きから後ろ向きに動かす時に主翼に十分な揚力が無いと(=揚力を持つだけの速度に無いと)たちまち墜落してしまうんですけどね。SVTOL機がなかなか上手くいかないのはここを克服するのが難しいからです。
ハリアーも実は実際の運用では垂直離陸は殆ど行われていなかったと言われています。垂直離陸だと主翼の揚力が使えませんから、エンジン出力のみで機体を持ち上げる必要があります。
ペガサスエンジンの最大出力だと、機体を持ち上げるのがせいぜいだったと言われていますから、武装した状態だと機体重量がエンジン出力を超えてしまい垂直離陸が出来ないそうな。なので、離陸時は滑走してエンジン出力の他に揚力にも機体重量を分担してもらおうというわけです。それでも普通の固定翼機と比べると短距離で離陸できるらしい。
あとは、垂直離陸時はなにせ最大出力近くまで出す必要があるんで燃料をバカ食いするとか。
SVTOL機があまり開発されないのは技術的な困難というよりも運用面でメリットがそんなに無いからという印象です。



トーランス空港の滑走路の方を覗いてみます。定期の旅客便や貨物便は飛来せず、自家用機やチャーター機なんかが発着しています。敷地内には格納庫がたくさんありまして、あの中は全部自家用機なんだろうなーと。
ここから見える範囲にも自家用機がたくさん駐機されています。



中にはこんな機体も。プロペラ練習機と言えばこいつ、ノースアメリカンT-6「テキサン」です。
元々は昔の軍用機なんですが、払い下げられたかなんかで民間に渡って自家用機として余生を過ごしていました。アメリカ軍の塗装をしていますが、民間のNナンバーのレジが登録されています。
博物館のおっちゃん曰く博物館のものではなくて個人所有らしい。日本だとクラシックカーを持つような感覚で昔の飛行機を飛ばしているからこの国はすごいですね。



他にも整備を受けてるセスナ機とかがいました。

はい、これで西部航空博物館編はおしまいです。
初っ端から濃いメンツを拝むことが出来ました。小さい博物館なので見学にそれほど時間を取られることは無いと思います。肩慣らしにはばっちりでした。

それでは次の博物館へと向かいます・・・。


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