バスに乗ってやってきたのは加悦SL広場。大江山鉱山駅跡を利用した鉄道保存施設です。
加悦鉄道は1925(大正14)年に丹後ちりめんのや村民の輸送のために設立されました。国鉄宮津線との接続駅である丹後山田駅(現・田野口駅)から加悦駅までの5.7kmが開業しました。
1939(昭和14)年には大江山でニッケル鉱山が発見され、加悦駅から2.6km延伸されました。
1945(昭和20)年にニッケル輸送は廃止され、貨物や旅客輸送もモータリゼーションにより衰退し、1985(昭和60)年4月30日に廃線となりました。
明治~昭和初期辺りの車両がたくさん保存されているので、前から行ってみたい施設でした。念願叶いました。
園外に保存されている京都市電N5。
1895(明治28)年京都市電開通とともに導入。表記はN5だが、実際はN23だという。
加悦鉄道とは直接関係のない車両ですが、展示されています。ちょっとくたびれていますが問題ない範囲だと思います。
園外展示は他にもありますがとりあえず中へ。
1261号蒸気機関車。
簸上鉄道(後に国有化)が1923(大正12)年、1260号・1261号を導入。1943(昭和18)年にニッケル輸送用に2両とも購入した。
閉山後は1260号は昭和電工富山に売却し、1261号は1967(昭和41)年まで活躍した。
国産機ですが、英国機が設計ベースになっているようです。
ハブ3号付随荷物緩急車。
独Van der Ziepem社1889(明治22)年製の木造緩急車。九州鉄道が導入し、伊賀鉄道経由で1927(昭和2)年導入。
こういうのが残っているのはいいですよね。
ちなみに加悦鉄道の社紋は片仮名の「カ」を8つ円形に並べたもの。カが8つで「カヤ」という洒落の効いた社紋です。同じような社紋は伊予鉄道(「イ」が4つ)がありますね。
ハ4975形ハ4975号付随客車。
1893(明治26)年鉄道省新橋工場製。1928(昭和3)年に加悦鉄道に譲渡され、1935(昭和10)年に廃車。
木造・2軸・二重屋根といういわゆる「燐寸箱客車」。ディズニーランドのウェスタンリバー鉄道みたいな馬車のようなコンパートメント式の座席配置になっています。
加悦鉄道導入後からえらく短命ですが、どうやら後述するハ20形へ車体更新するために導入したようです。よって、車体は復元されたものになります。
2号蒸気機関車。
英Rt. Stephenson製。1874(明治7)年に開通した関西初の陸蒸気(大阪~神戸)で運用。1912(明治45)年に鉄道員型式の123号に改番。
簸上鉄道経由で加悦鉄道開業時に導入。加悦鉄道の2号機として1956(昭和31)年まで活躍した。
日本の鉄道の黎明期からの機関車です。価値が有ることから国重要文化財に登録されています。
C58形390号機とC57形189号機。
加悦町が展示用として国鉄から借用した機体。C58は1946(昭和21)年汽車製造製。小樽築港機関区、北見機関区などに配置。C57は1946(昭和21)年三菱重工製。新潟機関区、直江津機関区、新津機関区などに配置。
国鉄の大型蒸気機関車ということで画になったり看板になったりしそうなものですが、園内の隅に追いやられている感がしました。これらに依らなくても魅力のある機体がたくさんありますし。
103号蒸気機関車。
1915年米H.K.PORTER社製。長門鉄道が導入し、その後東洋レーヨン滋賀工場で入換用として1964(昭和39)年まで使用。
廃車後は宝塚ファミリーランドで保存されていたが、同園閉鎖に伴いこちらへ移設。
加悦鉄道とは関係のない機体です。煙室扉あたりにアメリカらしさを感じられます。
103号は汽笛が4種類くらい付けられていました。わけわかんねえな。どれも鳴らせるようです。
DB201号ディーゼル機関車。
1953(昭和28)年森製作所製。戦後、石炭価格の高騰に伴う運転経費の増大に対処するため購入。蒸気の足回りを利用した草分け的ディーゼル機関車。森製作所製の機体いわゆる「森ブタ」の唯一の生き残り。
この日はちょうど加悦SL広場まつり(だったかな?)が開かれていて、動態保存車両の試乗が出来るわけなんですね。午前中はDB201+フハ2、午後はキハ101の運行です。
古典客車に乗れる機会なんてそうあるものではありませんから、もちろん乗ることにします。
フハ1形フハ2号付随客車。
1916(大正5)年名古屋電車製作所製。伊賀鉄道からの譲渡車で、1969(昭和44)年廃車。加悦鉄道で最も軽量な客車。
キハ101号気動車。
1936(昭和11)年日本車輌製。加悦鉄道10周年を記念して導入された半鋼製気動車。片ボギー台車構造の3軸車という珍しい形態をしている。
午後の試乗に使われる気動車。車体から張り出した荷物用の籠が特徴的。
次に行われる試乗会はすでに満席だったので、外から走る様子を見ることにしました。
復路は推進運転。車掌の信号さばきが見もの。
動いている姿を見ると興奮しますね。
で、その次の試乗会に乗りました。車内はロングシート。つめ込み対策というよりは車幅が狭いのでクロスシートだとろくに座席を配置できないからでしょうね。乗り心地はまあこの時代のものなんで悪いですね。
5分程度の乗車でしたが楽しめました。乗車料金という形で保存活動に寄付することも出来てよかったと思います。
TMC100BS。
1961(昭和36)年富士重工製。国鉄福知山機関区に配置。1978(昭和53)年に加悦鉄道に譲渡され、廃線まで保線・除雪作業に従事。
4号蒸気機関車。
1922(大正11)年川崎造船製。河東鉄道(長野電鉄)の3号機。1934(昭和9)年に譲渡され、1967(昭和42)年まで活躍した。旅客・貨物共に最も活躍した機体。
ベースは鉄道省1250形と同型です。あと付けの空気圧縮機が特徴的。
キ165ラッセル除雪車。
1938(昭和13)年国鉄土崎工場製。福知山客貨車区に配置。山陰本線、宮津線などの除雪作業を行う。廃車後は展示用として国鉄より貸与。
DB202号内燃機関車。
1963(昭和38)年日立製作所製。神奈川臨海鉄道で1984(昭和59)年まで使用された後、加悦SL広場が譲り受けた。車両入替の主力。
KD-4小型内燃機関車「カトーくん」。
1956(昭和31)年加藤製作所製。山陽本線万富駅のキリンビール専用線、日本専売公社専用線で従事。1976(昭和51)年廃車。
同型機が
大井川鉄道でラスティに化けてましたね。
続きます。
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