Party Time/Arnett Cobb
(Prestige 7165)
ライオネル・ハンプトン楽団でイリノイ・ジャケーと人気を二分したテナー奏者にアーネット・コブがいますよね。彼のタフで力強いテナーがこの楽団の魅力であり両者の「フライングホーム」はとても有名ですよね。コブは交通事故で両下肢を骨折するアクシデントに見舞われますが、このあとカムバックを果たしプレステッジに録音を繰り返して行きます。本日は、このフライングホームをコンボで再演したプレステッジ盤をアップいたします。
メンバーはArnett Cobb(ts), Ray Bryant(p), Wendell Marshall(b), Art Taylor(ds)にRay Barretto(conga)を加えた五重奏団です。A-1の"When My Dream Boat Comes Home"のグルービーな演奏で幕をあけます。コンガの追加で極めてグルーブ感溢れるトラックになっておりコブ、ブライアントの好ソロが聴かれ、アルバム全体の雰囲気を提示する仕上がりです。A-3の"Blues In The Closet"のマーシャル、バレットによるイントロが印象的ですし、A-4のタイトル曲"Party Time"のコブのブローイングには心打たれますね。そして、B-1, 目玉の「フライングホーム」です。このアルバムでのコブのベストと言われるテナープレイが聴かれます。スムースでうねるようなコブのテーマ提示とソロでのメンバーのかけ声も入るブローイングが印象的ですね。「♪アルプス一万尺」の引用も聴かれますね。続く"Slow Poke"のレイのピアノでのイントロ提示もブルージーでいいですね。ブルースフィーリング溢れるコブのプレイは個人的にはこのアルバムの白眉と思います。ラストの"Cocktails For Two"のリラックスしたプレイもいい味です。事故からの復帰を感じさせないコブのテナープレイを堪能できる盤ですね。
所有盤はプレステッジの黄黒ラベル、Bergenfield NJのモノラル盤です。RVGのバランスのよい録音もすばらしいですね。