風を紡いで

旅の記録と料理、暮らしの中で感じた事などを綴っています。自然の恵みに感謝しながら…。

ハロー&グッバイ

2005年05月03日 | 2005年コッツウォルズ母娘旅
イギリスの田舎でスローライフを体験?チッペナムに2泊。国鉄の近くのB&Bを拠点にして、カッスルクームへ出かけた時のことだった。その日は日曜日でバスが無く、タクシーを使うしかなかった。歩くとどのぐらいかかるのか、B&Bのオーナーに聞くと、
「歩いたことないけれど、だいたい1時間ぐらいじゃないかしら」
―それを素直に信じたのが間違いだったと、気付くのはずっとあとになってからだった。

「往復タクシーではあまりに味気ないね」
「私、歩きたいなあ…」
「1時間ぐらいならちょうどいいから、帰りの道だけ歩こうか」
―行きはタクシーを使うことにした。運転手さんは、牧場をやっていて野菜も作っているがそれだけでは食べていけないので、タクシードライバーをしていると話してくれた。どこの国も農業事情は同じらしい。ティムさんも同じこといってたなあ…。

カッスルクームはコッツウォルズ南部の小さな村だった。散策したり、おみやげを買ったり、のんびりテラスで昼食を楽しんだ。昼を少しまわったころ、そろそろ帰ろうと、チッペナムまで歩き出した。車の中からでは見えないたくさんのものに出会う事が出来た。素晴らしい風景を堪能し、フットパスの畑地も歩いた。

ところが、なのである。
「1時間ぐらいって言ってたけど…。なかなか着かないね」
「まだ歩くのかしらねえ」「もう1時間以上あるいているよね」
―そうなのだ。実際に歩いたことのある人に聞いた訳ではなかったからだ。B&Bのオーナーも私たちが本当に歩くとは思わなかったのだろう。ただ聞いただけだと…。

結局のところ、夕方近くまで歩く事になってしまった。それも最短距離ではなく…。まだ日暮れではなかったが、歩き疲れていた時、出会ったのがこの写真の馬だったのだ。3頭の馬が草を食んでいたが、
「おいで!」
と呼んだところ、1頭が近づいてきたのだ。その目の優しかったこと…。どうして、あんな目をしているのだろう。

「ハロー!」
そして
「グッバイ!」
元気をもらって、私たちはまた歩き出したのだった。
一期一会、人生もそう…。