心の免疫力~書とことばから

もっと暮らしに書やARTを~
雲のように水のように あっけらかんと自在に生きるヒントを
求めて~ by 沙於里

書 TEN 作品ご紹介 

2010-12-13 | 書TEN
昨日の続き、書TENでの皆さまの作品をご紹介。

最初の写真は、越智麗川氏の屏風。
道歌『今いまといまと言ふ間に今ぞなく今と言ふ間にいまぞ過ぎゆく』

いつも題材にされることばにぐっとくるのでして。

からだの奥底にある感情を搾り出して滲んでくる想いは、
痛いほどのかすれとなって、空間に刻み込まれているような 
私にとっては、その想いを探ってみたいという余韻が残る作品です。

今回、ゆっくりお話を伺う時間がなかったので、また別の機会に是非 

そして・・



「○とヽ」「川」は岡村雞守齋氏。
和画仙に和墨を使われたとのことで、その墨色の美しさに心奪われるなり。
墨汁だと平板になりがちだけど、和墨は、黒が何色にも重なり合っている様。
「川」は同じ墨でも、台湾画仙に書かれたそうで、写真ではよくわからないけど、
実際は発色の違いがよくわかり。

「海は如何なる川も拒まず」は内山武彦氏。
ことばのスケールのまま、淡墨でおっとりとした作品は、お人柄そのまま 

「虚構」2点は浅見満氏。
こちらも淡墨。躍動感ある造形が魅力。



茂吉のうた『虹の断片』と『風塵雷神』は木原光威氏。
茶がかった淡墨と青墨の作品。
以前から、何かの機会で作品を拝見しては、いいなぁと思っていたので
今回ご一緒できて、感激 

『落椿』『雪』『冬の月夜』は伊地知星夏氏。
かな作品のパネルは、300年前の布地を使われたというものもあり。
『雪』は、ほんわかやさしい雪がこんこんと 

『萬葉集』『辿』は多田翠香氏。
アップにすると、おっとりとしたあたたかい線と穏やかな造形に、なんだかほっこり
『辿』は2本の筆を使われて書かれたそうで、その妙が淡墨でさらに。

書TENの作品ご紹介は、残るは中谷翠泉氏と谷合双辰氏。
それはまた明日また。どうぞおつきあいくださいませね

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書TEN 閉幕

2010-12-12 | 書TEN
                             「無一物」


2010 書TEN ─今─ 昨日無事閉幕しました。
たくさんの方にお越し頂き、新しい出会い、発見、感激もたくさん頂きました。

このグループは、今回新たに中谷翠泉氏の呼びかけで集まったメンバーによる第一回展。
そのコンセプトは「自由な立場で自己表現する場としての新しい書展を」。

当初集まられた10人のメンバーのうち、お一方が諸事情で参加できなくなったとのことで
畏れ多くも私なぞが、越智氏よりお声をかけて頂きメンバーに加えて頂いたのでして。

皆さま、現日でご活躍をなさっている先生ばかり。。
数ヶ月前の顔合わせの折、書作への熱き思いを伺い、
緊張とプレッシャーで、胃が痛い中での制作の日々でしたが、
このチャンスを与えて頂いた皆さまに、本当に感謝感謝です 

またひとつ、自分を見つけられたような気がしています。
そして、好きって思うものを辿っていくと、どこかで繋がっているご縁というものも
改めて感じ、嬉しい思いでいっぱいです 

最初の写真は、今回自分らしさのひとつとして、古道具とのコラボ作品「無一物」。
大正時代の帯戸に、パネル貼したものを。
帯戸の存在感に負けないように、でも張り合わないようにと思って書きました 

古い時代の生活の中にあったものが、どんどん消えていくのはもったいないこと。
その時代を生きたものと、今を生きる自分とのコラボ作品、
これからの沙於里スタイルとして、楽しみながら増やしていこうと思います。

ということで、今回の作品「無一物」と「根」、そして「四十七の笑」




中国の折本の表紙を、真っ赤な和紙で張り替えて。

裏表に貼っちゃったので、皆さんからは見にくいよ~と 
礼儀正しい折本の見方なぞお構い無しに、どうぞご自由にめくって下さいまし~
・・ってことで、最終日には折本は破けたり「笑」も剥がれたり 
ありがたいこってす。

この「笑」のお蔭で、たくさんの方と楽しい会話もできて嬉しかったです。
これからの私の書との関り方の、もうひとつの道にしていけたらと思います。

会場にお越し下さった方、ブログにお越し下さった方、応援して下さった方、
お声をかけて下さった越智氏、メンバーに加えて下さった皆さま、
小津ギャラリーのスタッフの皆さま、表具でお世話になった東洋額装の小林さん・・

この場をお借りして、たくさんたくさん感謝を込めて・・ありがとうございました 

皆さまの作品はまた明日にでもご紹介します 


搬出作業の前に記念写真。越智氏・浅見氏は残念ながら不在。



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書TEN 今日は最終日

2010-12-11 | 書TEN
                          「無一物」の部分 

書TEN、今日最終日です。
昨日もたくさんの方にお越し頂き・・ありがとうございました。

会場で、87歳とおっしゃる男性が「四十七の笑」の作品について
1点1点、どんな思いで書いたのかお話頂けますか?と。

これは、思い出し笑いです。これは泣き笑い、これは・・・と頁を捲りながら。
すると・・
「どんなことを思い出されたのですか?」
「それは・・ひ・み・つです」
 笑・・
「昔の彼氏のこととかですか?」
 笑・・・

「これは女性に振られたおじいちゃんの笑いに見えますね」
「で、これはかわいいおばあちゃんの笑顔」
「あ、ということは、このおばあちゃんに振られたのかもしれませんね」

ユーモアとロマン溢れるお話に、皆さんと大笑い。。
そんな時間が、書を続けてきてよかったなぁって思える瞬間 

今日はどんな楽しい会話に出会えるか・・朝から会場でお待ちしております。
最終日の今日は午後4時まです。


作品のうちの1点『根』 カメラを使いこなせずボケて赤っぽくなっちゃう・・
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2010 書TEN レポート その4

2010-12-10 | 書TEN
                             「笑」

今日はまた「笑」の作品をば。

これは、黒いケント紙に青のアクリル絵の具とチューブの胡粉で、シャッシャッと。
そこに、書き損じを取ってあった紙に、爪楊枝で書いた「笑」を貼ったもの。

折本に仕上げた「四十七の笑」の中のひとつ。
最初は同じ大きさの紙にいろんな「笑」を、と思ったのだけど、
線も書風も引き出しが足りないゆえ、色や紙に助けを求めたわけでして 

初日に、出品者の木原氏がこの「笑」の折本を、ずずいとご覧下さり
「木簡の線に似ていますね」と。

「あ。私、木簡大好きなんです! 木簡ばかり書いてます」
「うんうん、木簡の線ですね、僕も木簡好きです」

なんだか親(木簡のことね  )を褒められたような?嬉しい気持ち 

それでも、木簡の線ばかりじゃ飽きちゃうので、
あったかい線や華奢な線やらを探しつつ 

同じく出品者の岡村さんにも、「僕はこれが好きかな」って言って頂けて 


「書はこうあるべき」とか「書は美術か芸術か」とか「抽象か文字か」とか
実はどっちでも何でもいいって、最近思う。

そんなことは見た人が感じるものであって、その議論や目的が先にあったら
裸の書は書けないような気がする。

表現は、もっともっともっともっと自由であっていいんだと思う。
その枠組みに守られたり、あぐらをかいている中での表現では
人をびっくりさせることなんてできないって思う・・なんて 

もちろん書家という立場、役割はあるのでせう。
書家は書の古典、書法を学び、そこから己の書を追求し、
文字にしろそうでないにしろ、「書」としての表現者であるべき(?)なのかもしれない 

ところで、私は書家ではないし、書家になりたいとは思ってなくて 

「ではない」といえる程のものも到底持っていないけれど
まぁ、縛られることが一番苦手な我が儘な人間ゆえに、
書家なんだから、こうあらねば的議論に加わりたくないというか。

私にとって書は目的ではなくて、書は自分探しのパートナーであるような。
そして同じように、誰かにとっても書が、そんなきっかけになればいいなぁって思ってる。
ちょっとづつ、そんなお手伝いができたらなぁって思ってる。

それが、私の師への、そして大好きな木簡への恩返しになればなぁと 

そんなわけで、今回の書展の私の挑戦の三つ目は、「四十七の笑」。

たった一つの文字から生まれる表現の可能性は無限。
たった一人の人間の可能性も無限。

古道具とのコラボが舞台なら、二つ目のそれは衣装、そして三つ目は役者。
そう、書の表現はひとつの舞台作品であるような 


 『2010 書TEN』 は明日までとなりました。
今日は午後2時~会場におりますので、お越し頂けましたらお声をかけて下さいませね。
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2010 書TEN レポート その3

2010-12-09 | 書TEN
                          「根」 (部分)


今日も引き続き、書TENのご案内。

今回の出品にあたり「自分らしさとは」と、改めて自問自探。
そして「今」の自分らしい表現方法として、三つのことに挑戦してみたなり。

一つ目は、おとといお話した古道具とのコラボ、そして今日は二つ目。
古道具とのコラボが舞台なら、二つ目のそれは衣装。

2007年に始めたこのブログ、当初は編集機能も使いこなせてなかったけれど
毎日拙作を載せるにあたり、画像の加工や背景の加工なども楽しめるようになり。
作品が、背景の演出でいろんな表情を見せてくれることに興味も広がり。

書展などでは、ほとんどが表具は表具屋さん任せなのでして。
でも考えてみたら、舞台や衣装まで演出するというのが
書いた人の最後の愉しみでもあるような 

今回の作品は、裏打ち前の作品をデジカメで撮って、
どんな色合いどんな配色にするのか、あれこれシュミュレーションをしてみたのでして。

それを表具屋さんに画像として送って、生地を探して頂き。
本当はお店に赴き実際の生地を拝見したかったのだけど、時間切れとなり
メールに添付された画像を確認しての依頼となったのでして。

なので当日、どんな色、どんな生地になったのかドキドキわくわくでした。
・・で、自分なりに思っていた色とはちょっと違いましたが、
ひとつの実験として、次につなげていけたらと思いまする 

そのシュミュレーション画像も近々アップしまする。
う~ん、こっちがよかったかなぁとか、それもまた楽しや

今日の画像は、出品作(軸)の一つ「根」の部分。

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2010 書TEN レポートその2

2010-12-08 | 書TEN
                         

今週は2010書TEN開催中につき、ちょっとづつご紹介しますので
おつき合いくださいまし 

腕が悪くて写真があまりうまく撮れてないものでして・・小さめに。
今日は入り口入って右側から三分の一位までを。

入ってすぐには、越智麗川氏の「時」(↓写真の左上)
会場の小津和紙さんの紙を使って書かれたそう。
うごめく模様にたゆたう「時」の文字から、それぞれの「時」が広がるような



上から:越智麗川氏  伊地知星夏氏
     木原光威氏  伊地知星夏氏
     浅見 満氏  伊地知星夏氏


そして、最初の写真、木原光威氏の軸作品が3点のうち、手前は「虹の断片」
奥のは連作の「風神雷神」。
青墨・茶墨による、迫力と温かさに包まれるような作品に、ため息 

木原氏の作品は、以前から書の雑誌などで拝見しながら、いいなぁって思っていて
今回そんな方とご一緒させて頂き、感激 

お話もたくさんできて、改めてお人柄がにじみ出ているなぁと 
偶然にも渡部大語先生をお慕いしていらっしゃるとのことで、
好きって思うものを追いかけていくと、どこかでつながるんだなぁと、しみじみ

最初の写真の下の大作「刹那」は越智麗川氏。
いつも選ばれる題材には、ぐっと迫るものがあり。
「にじみ湧き登るような想い」の奥には何があるのか・・と、惹きつけられるなり。

越智氏は、もう1点、大きな屏風作品もあり。

あんまり載せちゃうと、会場にお運び頂けないので、ちょっとづつ 

11日午後4時まで、小津ギャラリー で開催中です。
お立ち寄り頂ければ幸いです 


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書TEN 初日レポート

2010-12-07 | 書TEN
                           折本「四十七の笑い」

『2010 書TEN』 昨日6日から、無事スタートしました。
午前9時会場集合で、陳列作業開始。

私の作品は、軸作品が1点と、手作り折本と、もう1点、
大正時代の、帯戸(木の扉)を額の代わりにして作品を展示しとります。

今回の出品にあたり、私らしさってなんじゃろ・・と、改めてじっくりと。
それらを、今回3つの作品で、挑戦してみたなり。

そのひとつが、この帯戸。

子供の頃から古いものが好きで、大学生の頃から集めた
古道具や骨董まがいのものが、部屋のそこここにあって。

最近ちょっと忘れかけていた思いが、近所の古道具屋のお蔭で沸々と。
あれこれ遊んでみているうちに、そうだ!・・って。

今回は、全紙を半分にして、木戸は横にして、真ん中の境の左右に「無一物」と。
表具は 東洋額装さん とあれこれ相談させて頂きつつ、パネル貼りにして
前日、会場に宅急便で送っておいた帯戸に貼り込み作業。

東洋額装の小林さんには大変お世話になり、感謝感謝です 

作品というより、帯戸の存在感に助けられているような 
今後の、私らしいスタイルのひとつとしていきたいと思いまする。

あと2つの話はまた明日・・っていうか、今日の更新はギリギリもう23時・・


初日の昨日、初めてお目にかかる方もいらして、お一人お一人の作品への思いも伺い。
皆さまの書への熱き思いに刺激と感激を頂き、改めまして・・
私などにこの機会を与えて頂けたことに深く感謝を致しつつ、
自分らしさ、自分にできることを見つけられたらと思っています 


書TENは、今週土曜日11日まで、小津ギャラリー で開催中です。
ご高覧頂ければ幸いです 


私は10日午後2時~と11日は朝から会場におりますので、お声をかけて下さいね 



左下:銀座鳩居堂で12日まで個展を開催中の城所湖舟先生 がお越し下さり。
右下:今回目録に書評を頂いた、美術評論家の田宮文平先生より各々ご講評頂き。

初日は出品者全員が揃ったということで、田宮先生を囲んで懇親会。
その場に、お忙しい中駆けつけて下さった大五郎先生こと、渡部大語先生 もご臨席。

ブログでつながるご縁の力に感謝をしつつ、楽しい嬉しいひと時でした。
お越し下さった皆さまにも・・ありがとうございます。


追伸:折本「四十六の笑」は、表紙を入れたらもひとつ増えて四十七でした~

本日のレポート、長々とおつきあい下さり 

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2010 書TEN ─今─ 愈々今日から

2010-12-06 | 書TEN
                             「笑」 (半紙1/2)


昨日もご案内させて頂きましたが 

2010 書TEN ─ 今 ─ 愈々今日から11日まで、小津ギャラリーで、スタートです。

ここだけの話・・
ついさっきまで、当日持込の作品の工作してました 

「笑」四十五種・・を折本にファイングして、表紙を和紙で張り替えて。
出来上がって数えたら、四十六種になってました 

出品票を提出したあとで、タイトルの 「笑」四十五種 は、
なんだか色気も遊びもないなぁ・・と思ったり。

ということで、ここではタイトル変更して、『四十六の笑』くらいにしておきます

今日は朝9時から搬入・陳列作業後、午後1時から開催です。
たくさんの出会い、発見、感激のある会となりますように 

ご高覧頂ければ幸いです。
今日は会場でお待ちしております。


                            

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2010 書TEN ─今─ 明日から

2010-12-05 | 書TEN


いよいよ明日から、展覧会が始まります 

私は畏れ多くも三点出品しています。
そのうちの1点は、たぶんあまり書展では見たことがないような形式の作品です 

でも実は明日の搬入・陳列作業時に、貼り込み作業をするのでどうなることやら・・と
心配で今夜は眠れないかもしれませぬが・・・

お近くにお越しの機会がありましたら、お立ち寄り頂ければ幸いです。

私は6日・10日(お昼頃~)・11日は会場におりますので、お声をかけて下さいませ。


   2010 書TEN ─ 今 ─ 

  現在と未来を自由な立場で自己表現する場として、
  10人での新しい書展を出発いたしました。
  燃える情熱を感じさせる展覧会でありたいと思っております。(目録より)

  
  ◆会期:2010年12月6日(月)~12月11日(土)
      午前10時~午後6時まで  (6日は午後1時より 11日は午後4時まで)
 
  ◆場所:日本橋 小津ギャラリー 電話03-3662-1184

   *地下鉄 銀座線・半蔵門線 三越前駅A4出口徒歩8分
   *総武本線 快速新日本橋駅5番出口徒歩2分
   *地下鉄日比谷線 小伝馬町3番出口徒歩5分


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2010 書TEN のご案内

2010-11-14 | 書TEN
                       色反転画像処理 (部分)


この2ヶ月、いつも心を占領していた作品制作が、今日でひと段落 

あとは表具屋さんとあれこれ相談しつつ、当日を待つばかり。
あ、でももうひとつ、当日持参予定の作品もまだこれからだけど。

この機会を与えて頂いたことに感謝をしつつ、
この開放感と、ちょっとした充実感は心地よく 

そんなわけで今日は更新も遅くなり。
これから、遅ればせながら衣替えを始めます 

さてと。
その作品の発表の場、『2010 書TEN ─今─』のご案内。

◆会期:12月6日(月)~12月11日(土) 10:00~18:00
   但し 6日は13:00より 11日は16:00まで
◆場所:小津ギャラリー(小津和紙2階)  

また、会期近くにもご案内させて頂きますが 

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