たとえば、ひとつの世界があって。
人でも、絵でも、音楽でも、雲が浮かぶ空でも、本棚でも、
食器に盛りつけられた料理でも、いま目の前に見える空間でも。
で、その全体ばかりを見ていると、そこだけに縛られることもあるというか。
つまり、これは「叶」という文字であって、それ以上それ以下でもなく
「叶」は叶うとしてしか生きられなくなるというか。
でも、こんな風にある部分を好きなようにカットすると、
全く違う音だったり色だったり時間の流れ等々を感じるんだなぁ、これが
どこを切って、どこを残すか、余白だったり、主張する黒だったりを
自分なりに居心地のいい場所を探すのが、好き
何事も、部分+部分+部分+・・が重なり合って、ひとつの世界ができてるわけで。
そう、私自身も。まだまだ知らない私も含めて、ね
↓のは、右側にある黒の直線を消して、左側の余白を少し増やしてみました。
どちらが世界が大きく感じるか、どちらが空間に緊張感があるか、
黒い点と丸い滲んだ点の温度はどちらが温かく感じるか・・
そんな妄想を始めると、時間を忘れてしまうのでして
さて、全貌はこんな感じです。嬉しいことに、お嫁に行きました。
作品は吐き出したらもう自分の物ではない、と思う日もありますが、
手放すとなぜか愛情も湧いてくるものでして
「叶」 (半紙1/2)
白い木枠の額に、乳白色と薄鼠色の紙を背景に。
作品の口の部分=○と書いた部分の左側の余白が横に伸びる力を感じたので、
薄鼠色を縦に置くことで、全体の空間が引き締まるかなと。
はてさて、どないでっしゃろ。
以前、「叶」の文字の由来を書きとめましたが、この作品は、
「願いを叶えたり、夢が叶う時、必ず誰かに支えられているような・・」
十の縦画を支えにして・・私なりに、そんなイメージで書いた「叶」の文字です