心の免疫力~書とことばから

もっと暮らしに書やARTを~
雲のように水のように あっけらかんと自在に生きるヒントを
求めて~ by 沙於里

感受・・してますか?

2008-10-31 | 木簡

                         木簡節臨(半紙1/3×3)



うひひひ。
いと いとし 

なんともとぼけた表情が好き。
「谷」とか「綌」の、ひょえ~っ 困りました~って顔がいいでないですかぇ~ 



おっとりとした線、全体にころんと丸みを帯びた体型。
誠実で、あんまり器用ではなくて、でもあったかくて、いつもやさしい笑顔で。
特に目立たないんだけど、居なくなるとなんだか寂しいなって感じて。

無防備で、無条件なあったかい愛情を感じる。
まっすぐ過ぎて傷つかないか心配になる。

こんな人に出会ったら、きっとちっぽけな自分が恥かしくなって、正座したくなる


臨書とは、感受すること。
技術は、感受なくして得られるものじゃないって思う。

臨書とは、生きるということ。
ただひたすらに、何かに役立てようなどと考えもせず、毎日を自分らしく生きること。

文字の形とか線の勢いとか、そんなものを理屈で議論するよりも、
みっともない姿でもいい、心の底からの感動が震えているような臨書がしたい 


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大事なのは結果ではなく

2008-10-30 | 木簡

                          木簡節臨 (半紙)



「之」の終筆の何とも堂々とした姿! 
ど~んとこい!受け止めてあげるぞよっていう、頼もしさに惚れ惚れ。

 ←原本


書いた人は曲がったことが嫌いで、背筋をピンと伸ばして、歩幅なんかもすごく
大きくて、ずんずんと胸を張って前へ進むタイプかな・・とかあれこれ想像してみる

この右払いは、書いていても気持ちがよくて、書き終わると鼻息が荒くなる。
お行儀よく半紙の中に収めようとして書くと、どこか萎縮してしまう。

紙に向かい、背筋を伸ばして、両腕を大きく2・3度回転させて、「おっっし!」って
気合を入れて、紙の中ではなくて、紙の外の空気を全部抱え込むような
大きな気持ちで書くべし・・とな 

隣の字とぶつかることなど心配せず、ガチンコしたらしたでよいのであ~る。
大事なことは結果ではなく、いかにこのスケールを表現できるか・・なのだから。

そう・・評価が大事なのではない。
評価されることを待つのではなく、自分が好きでたまらない、書きたくてたまらない、
まずはそれを実感できるかどうか、それが大事 


人生もまた然り。

何の得にもならないことでも、なんでそんな無駄なことをと言われようとも、
泥臭かったり、不器用だったり、かっこ悪くても、自分はこんな風に
納得してやっているんだという、まっすぐで熱いものを持っていたいです。

たったひとつでもいいから・・ 



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ものごと、肯定からはじめよう

2008-10-29 | 禅語・般若心経
                           (和紙)



般若心経の一節 「能除一切苦」
能く(十分に)一切の苦を除き・・・

一切の苦を除くなんてことはできっこないけれど

ついあれこれ愚痴がこぼれるとき、一切は「空」なんだから・・なんて説いてみても
そんなの理屈ではわかってるけどね・・と言いつつ、なかなか受け入れられなかったり

でもね、私にとってはそれは理屈じゃないんだな・・って思う。
ひとつの哲学っていうか、救いというか。。

いやだなって思うことや、心が痛かったり不安だったり、そういう苦しみとかから
解放されたいから、自分で選んで納得して、そうしようって思えたら、
それは宗教とかいうよりも、私の価値観のひとつになるわけで。

ものごと、理屈で考えるから、苦しくなるような気がする。

こうあるべきなのに、こうして欲しいのに、なぜ私だけが・・・と、理屈で追い回すと
苦しくなるのは自分なのに、それに気づかずにグルグルグル・・・。

「能除一切苦」

そんなのできっこない・・って思ったら、それまで。
そうなりたいなって思えたら、めっけもん。

ものごと、否定からではなく、肯定からはじめよう 

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「待つこと」の大切さ

2008-10-28 | 書の話
                          金文節臨 (半紙)




10/22のブログ でもご紹介した金文は、鋳物に鋳られた文字。

甲骨文よりも画数も多くなり、曲線があったり、絵文字的だったりして
どれもどこか愛嬌がある。

 ←原本

木簡とは反対に、勢いよりもじっくり粘ってバランスを確かめながら書く。
線はなるべく一定のリズムで、でも時々メリハリをつけて。

回りは、ティッシュを丸めて軽く墨をつけたものでトントンと叩いて
鋳物の感じを出してみたかったのだけど。

真っ白の中に文字があるのと、こうして囲った中にあるのとでは、
また印象が違ってくる。
囲った割りに、宇宙空間にたゆたっているように見えません  ?

金文は、「溜め」が大事。 
木簡のように勢いをつけて書くのではなくて、線の中に力を溜めて
墨が筆の先に下りてくるのを感じながら書く。

その感触は、心が落ち着いている時の呼吸と似ていて、何とも心地よく。
でもつい焦って「待てない」呼吸で書くと、バランスは崩れる。

半紙にたった四文字を書くにも集中力が持続しなかったり・・なんてことも。
結果をすぐに確かめたくて、最後の文字がぞんざいになったり。

「待つこと」

それがなかなかできないわけで。
書でも、日々の中でも。

金文は何も語らないけれど、「待つこと」の大切さを教えてくれる気がする


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人はなぜ迷うのか

2008-10-27 | 木簡

                          木簡節臨 (半紙)



人はなぜ迷うのか 
それは自分を飾ろうとするから。
人を羨んだり、自分を卑下したり、つい比べてしまうから 

たとえば上手に書こうとか、「恥かしくない」ようにとか、意識的に表面的なことに
かかずらわっていると、書というものは、自分から遠ざかるような気がする。

自分から離れた書には迷いがあり、見る側にしたら居心地の悪いものになってしまう。

木簡の線を眺めていると、嘘がつけなくなってくる。
飾ったって駄目だ。無心に自分の力量を出しきればいいんだと思えてくる。
素直な心になれたら、それだけで書は楽しくなる。

たぶん人生もまた然り。。 

突き抜ける素直な心を無意識裡に持てたなら、迷うことなく自分を発揮できるのにね。
でも、たったそれだけのことがなかなかできないわけで 

そんなことを感じながら、今日も木簡に感謝




別枠で(↓)昨日に続いて、展覧会を2つご紹介しますので、ご覧下さいませ~。

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展覧会情報 その2

2008-10-27 | 書展・展覧会情報


 まずは、和紙の会社にいた頃、お客様としていらしていた中村孝子さんの個展。
和紙に蝋を用いた独自のドローイング法で、一期一会の表現は書と通じる世界でもあり。
20年以上のおつきあいを頂いているご縁に感謝です。

  10/22~11/5まで六本木のストライプハウスギャラリーにて。
  詳細はこちらから→ストライプハウス


 そして、昨日の巨匠展にも出品されている稲村雲洞先生の社中展、第38回玄同社展
  10/29~11/3まで銀座の アートスペースGINZA5 で開催。

  10/8のブログ でご紹介した塩川素子(素渓)さんも出品されているので、
  是非お立ち寄り下さいませ~。


 11/3~11/9 第34回創玄現代書展
  銀座 東京セントラル美術館

展覧会もあれこれ、忙しい季節です 


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書展情報

2008-10-26 | 書展・展覧会情報

芸術の秋。
展覧会シーズンも到来ですね~。 今日は書展を3つご紹介。

①まずは昨日、蘭秀会展 でも利用している会場での第8回暮らしの書展にお邪魔しました。

   
    ↑主催者の方の作品 板に絵と書を書かれて

             ↑石橋犀水千字文臨書                 ↑小・中学生の作品 発泡スチロールに   

主催者は読売、謙慎書道会の先生のようです。
今日26日は10:00~6:00まで、27日は10:00~4:00まで開催中のようですので
蘭秀会の皆さま~近いのでお時間ありましたら是非。勉強になります!

②そして記事トップの写真は、10/31~11/5まで横浜市民ギャラリーで開催予定の
第21回神奈川書家三十人展。入場無料。

6/11のブログ でもご紹介した、尊敬する 石川芳雲先生 をはじめ 齋藤香坡 仙場右羊 
田村空谷、中原茅秋、船本芳雲・・(敬称略)と、そうそうたる方々が出品。

会期中毎日14:00~15:00「出品書家とめぐる書の楽しみ」というイベントがあるようです 


③それから10/28~11/2まで銀座鳩居堂画廊では、第32回書壇巨匠展。
毎日書道会最高顧問・奎星会名誉会長 稲村雲洞先生 はじめ、
こちらも書壇を代表する方々のミニ作品展。

書は手習い、そして目習いということばもあり。
是非、本物を体感しにお出かけくださいませ~





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見失いたくない精神

2008-10-25 | 木簡

                      木簡一節「候長」 (半紙1/3)



なんでそんなに火を噴くか・・
「長」という字の終筆の、なんとも気持ちのいいこと!

敢えて紙を横に使い、終筆の大胆さをアピールしてみたかった。
そのために「候」は小さめにして、視線は左側にと思って書いてみた。



でも今日のは半紙1/3と小さい紙だったので、欲求不満は否めず。
次回はもっと大きな紙で、書き終わったあとに、は~っとため息が出るような
スカッとしたものを書きたいなぁ 

潔さ、それが木簡の最大の魅力。

開き直りと潔さは、ちょっと違う。
開き直りの裏側には、どこかに反発、反論が潜んでいるような気がする。
でも潔さには、汚れも未練もなくさっぱりしているというか・・。

失敗や間違いを犯したとき、まずは逃げ道を探してしまいがちだけど、
この木簡のように潔い精神は、見失いたくないものですね~ 

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「学び」の本質とは

2008-10-24 | 木簡

                      木簡節臨 (半紙1/3×2枚)


今日も木簡 

迷いのない力強く潔い線。
けれどまっすぐで、正直過ぎるゆえの脆さも感じる姿。
そんなに頑張り過ぎるなよ~って、背中を叩きたくなっちゃう 

でも別な日に眺めていると、また違う顔が見えてくる。

意地っ張りで自己主張が強くて、融通がきかない頑固者・・とか
はたまた、几帳面で礼儀正しい律義者だったり、よく喋る人だったり。

人は、そう・・多面体なのだ~。
目の前の相手によって、心は変化する。
心の持ちようで、相手への思いも変化する。

臨書することは、奥行きを学ぶことかなって、ふと思う。

書は人なり。
臨書することは、人の奥行きを学ぶことなり~

書を学ぶ人が求めているものは、書技の上達ばかりではなく、
そんな精神性でもあると思う・・思いたい。

書だけではなくあらゆる「学ぶ」ということの本質は、
「心」を学ぶことなのではないかしらん・・と思うのでありました


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ロマンを感じるか

2008-10-23 | 木簡

                         (ネパール紙)



木簡には、あらゆる生身の人生が散りばめられている。

木簡は当時の文化を知る貴重な文化財でもあり、
書を学ぶ人にとっては、書法を学ぶ手本でもある。

でも私にとってはそれだけではなく、太古の昔も同じように生きた人々との
出会いの場でもあり、人生の学びの場でもあり

そこには会ったこともない人々の悦び、ひたむきさ、明るさ、生き生きとした生命力、儚さ、
たくましさ、切なさや、激しさ、愛嬌、洒落っ気、生真面目さ・・が見えてくる

書き手の人柄や、文字の発する個性を感じることにワクワクして、ロマンを感じる

 ←この中の「漢遂」

木簡の本を捲っていて、むむっ~ と目がハートになった文字「漢遂」。

「漢」の字の、ツクリに背を向けて冷めた表情のサンズイに対して、ツクリの点点・・の
すっとぼけて小走りしているような表情が、なんとも言えず好き。

「遂」の字は、原本は正直者で曲がったことが嫌いって感じだけど、私のはちょっと
背中を丸めて逃げ腰。
だって、「漢」が小走りでうっしっし~って言いながら、追いかけてくるから

・・・なんて、勝手にドラマを作って臨書してるわけです。

原本の個性に、自分が感じたものをプラスして、形として表現していく中で
何となく思ったようにできたとき、それはもう、一人ニマニマの世界です。

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