
『スクリーンの日本人 ~日本映画の社会学~』、1月に読了。木下昌明著 (木下さんのコラム)。影書房。1997年10月刊。『映画批評の冒険』(創樹社) に続く第2冊目の著書?
素晴らしい評論集。あまりタイトルについて深く考えずに読み始めた後、日本人論であることに気付く。深い。特に、労働者の視点が著者の特徴か。
黒澤批判 (pp.16-19、p.100)。
「必要以上に自然の変形・歪曲」した人工的な美化に対する批判 (p.37)。
共生に対置した資本主義システム、資本の論理批判 (p.47)。
「病気もの映画」批判 (p.62)。エイズと731部隊の関係。「かつての癩病者の隔離収容ではたした医学の非人間的体質・優生思想が、戦後五〇年たった日本の医療体制のなかに深く浸透していて、人間をモノのように扱っていることが理解できよう。この七三一部隊を生んだ戦前の非人道的な医学観がこんにちでも広く日本の医学界に浸透している・・・」(p.63)。