Activated Sludge ブログ ~日々読学~

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●『松下竜一未刊行著作集3/草の根のあかり』読了(1/2)

2009年07月28日 07時53分44秒 | Weblog

『松下竜一 未刊行著作集3/草の根のあかり』、7月に読了。梶原得三郎新木安利編。海鳥社。2009年2月刊。

 扉の写真は、得さん御夫妻。随分若く見える佐高信さん。旧婚旅行中のセンセご夫妻。『草の根通信』360号記念パーティでのセンセ。

 本巻は3部構成。第一部は『草の根通信』の一九八八-一九八九年、第二部は同じく二〇〇二-二〇〇三年の「ずいひつ」から。第三部は「朝日新聞」(西部版)掲載の「ちょっと深呼吸」から。

 日本赤軍の「せんすいひろし」氏に関連した、めちゃめちゃなガサイレ(p.7、381、393)。「そうか、警視庁から烙印を押されると、こういうことになるのかと私は唖然としました。当の本人がびっくりする程の〈過激派〉像がゆきわたっていくのでしょうね」(p.104)。12年間にも及ぶ国家賠償請求訴訟に勝訴(p.383)。担当弁護士は福島瑞穂さん。

 ルイさん(p.16,28、61、114、341、364、413)。
 山田悦子さん(p.14、27)。
 カマタ・トシヒコ、鎌田俊彦さん(p.84、169)。
 緒形さん(p.318、358、411)。「・・・さんは一度も講演を引き受けたことがないそうなので、破格の友情出演ということになる」(p.319)。
 岡部伊都子さん、「「大泣き」の図(1989.6)」(p.137)。
 箕面忠魂碑訴訟原告の古川佳子さん(p.142)。
 須賀瑠美子さん(p.188)。地域通貨。
 横田耕一(憲法学)さん(p.205)。
 松下和亜さんの寸又峡「山湯館」(p.224)。
 孤独なOさん(p.232)。「きっと不審者というよりは、帰る先を見失って途方に暮れている老人と見られたのにちがいない。/「ちゃんと説明して、わたしの保証人は松下竜一さんですと言ったらですよ、おまわりさんが急に態度を改めて、あっ失礼しましたといって行きました」/その情景が見えるようで、松下センセと細君はふきだしてしまった」。
 筑豊文庫の上野英信さん(p.234、264、288、372)。晴子さん(p.288)。
 筑摩書房の松田哲夫さん(p.242、251)。
 「松下竜一を勝手に応援するページ」の山口県立大学の清原万里(まさと)さんの急死(p.260、386)。
 「石原慎太郎という人物を容赦なく(てつけつ)し、彼に期待を寄せる最近の世の風潮の危うさをも同時に撃つといった評論集」の『空疎な小皇帝』の著者、斎藤貴男さん(p.284)。「〝幻の作家〟の正体は(2003.4)」(p.284-297)。
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●『松下竜一未刊行著作集3/草の根のあかり』読了(2/2)

2009年07月28日 07時50分42秒 | Weblog

【梶原得三郎・新木安利編、『松下竜一 未刊行著作集3/草の根のあかり』
 「松下センセの『怒りていう、逃亡には非ず』に、マドンナという名で登場する人」(p.299)。
 「死刑囚の息子とひんぱんに面会するために、北海道の故郷を捨てて一人で東京郊外に移り住んでいるのだ」(pp.334-335、412)。「不自由な足で杖をついて久々に息子の面会に訪れた母を、拘置所は規則によって拒んだのだ」。
 「一歩も引かずに国家(建設省)とわたりあった人物」蜂ノ巣城主の室原知幸さん、その夫人ヨシさん(p.320)。
 広川隆一さん(p.361)。
 小田実さんと、瓢鰻亭の主の前田俊彦翁(p。363)。

 仁保事件(p.33)。

 「いのちき」(p.53、73、195、294、406)。「・・・三十余年をペン一本でいのちきできたのですから、よほどの好運に恵まれたのだと考えるしかありません。いい編集者とやさしい読者に恵まれて・・・・・・」(p.195)。
 「クーラーのない松下センセの家は、風通しも悪くて夏は蒸し風呂の有様なのだ。「暗闇の思想」の教祖としてはクーラーなどつけるわけにはいかない」(p.162)。

 「「読書絵日記」・・・「本との〝出会い〟は楽しい」、「背表紙が光る」とあって、棚の一カ所がキラッと光っている。・・・/「この本ともそーやって出会った」という説明の第二コマで、文庫本の棚から引き抜かれる本が松下センセの『潮風の町』なのだ。・・・/もっと嬉しくなるのは、本を買った男が書店を出てくるシーンである。彼の頬は紅潮し、ドキドキと胸の鼓動が昂まっているのが分かる。これから分け入ろうとする作品世界への期待をあらわにして、真の読書家はこのように一人ひそかにときめくものなのだ」(pp.55-56)。
 
「なにしろ、本の洪水である。そんな中から、読者はどうして私の本と最初の出会いをするのだろう。目立つほどに並んでいるわけではないし、公告されている本でもないのだから、不思議な気がする」(p.338)。

 「ジンジャーによせて(1988.9)」(pp.68-83、111)。〈表現〉に目覚めた梶原和嘉子さんとの深い〝師弟愛〟。

 「もう一人の例外的な存在が得さんで、勤勉なくせにもうけることを知らぬこの男もまた、恒常的な貧しさにその生き方を規定されているところが、傍で見ていてあわれというしかない。/松下センセと得さんがなぜかくも厚い友情で結ばれているかの秘密は、この共通項にある。・・・傷をなめ合うような共感が二人の間をつなぎとめているのだ。・・・こういう不安の共有こそが友情をつちかっていくのである」(p.110)。「ふっと思ったことだが、六十歳を過ぎて連れ立って万華鏡を買いにいそいそと行く友を持つことは、たぶんとてもしあわせなことではないだろうか。・・・/だがつまりは、このコンビが続いてきているのは、表層に現れているさまざまな相違点はともあれ、一番奥にひそむロマンティシズムがそっくり同じであるからに違いない。万華鏡を連れ立って買いに行く二人だもの」(pp.208-209)。
 「「小さなさかな屋」は梶原鮮魚店の物語であり、・・・小心なる和嘉子さんにいたっては、なんとなくおびえる気配でもあった。/「こんな不器用で損な生き方をしてはいけませんよという、反面教師やないかしら・・・・・・」」(p.168)。

 「洋子病」という奇病(p.127)。

 「文部省公認作家?(1989.5)」(pp.129-143)。無実の罪でガサイレを受けた作家の作品が娘の教科書に載るなんてとんでもない、というクレーマーとセンセの電話での問答。「・・・その著作権の及ばないのが教科書・・・教科書に限っては勝手に載せても構わないことになっているのである。「教科書に載せてやるんだ、ありがたく思え」という国定教科書時代のおカミ意識の名残なのだろう」。「なんと、小説の章で松下センセは志賀直哉と並んでいるではないか。・・・/少年の日に仰ぎ見た〈小説の神様〉と並んで自作が掲載されているのを見たときの、松下センセの胸の高鳴りは察していただけようではないか」。

 「編集者の命名センスに脱帽したのは、『五分の虫、一寸の魂』のとき。・・・/・・・という書名を示されたとき、私はアッと思った。・・・/なにしろ五分の虫、一寸の魂なのだから、容(うつわ)である身体よりも魂の方が倍も大きいときている。/電力という国の基幹政策に環境権の旗を掲げて挑んだ七原告は、法律知識もなければ裁判体験もないのに弁護士もつけずに無謀な裁判に邁進したのだった。ただただ環境権確立の心意気だけに燃え、身のほど知らずに魂が舞い上がっていたというしかない。〈七人の侍〉だとうそぶいていた」(p.378)。センセの著作から九年後の出版で、チョモランマ登山隊長であり、初代の南極越冬隊長でもあった西堀栄三郎さんにも同名の書があったとは!

 最後は、梶原得三郎さんの「松下さん、あなたが記憶される限りまだ希望はある、と思いたい」(pp.405-413)。「属国と化したこの国の現状」。「・・・ブッシュ大統領めがけて、イラク人記者が靴を片方ずつ投げつけたのです。・・・「イラク人からのさよならのキスだ、犬め」、「これは夫を亡くした女性や孤児、殺されたすべての人のためだ」といいながら投げた・・・一般にイスラム世界では「犬」と呼ぶのも靴を投げつけるのも「最大級の侮辱」だということです。/・・・訪問先の国でこれほどの怒りを直接にぶつけられたことは長く記憶されるべきだと思います。・・・イラクに攻め込んで十万人もの人々を殺したブッシュに対する抗議としては控えめに過ぎるといわねばなりません」。山田泉さんの死。大道寺将司・益永利明さんのTシャツ裁判の一部勝訴。伊藤ルイさんは「一国の人権レベルは獄中処遇にあらわれる」と。
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●『セブン-イレブンの正体』読了

2009年07月27日 07時56分33秒 | Weblog

『セブン-イレブンの正体』、7月に読了。古川琢也+週刊金曜日取材班著。金曜日。2008年12月刊。

 本の帯には、「年間2兆4000億円を売り上げる世界最大のコンビニチェーン・セブン-イレブン。その高収益の「裏側」はタブーで塗り固められ、大メディアで取り上げられることは決してない。消費者が知らない“流通の覇者”の実像に迫った」。

 「1 〝本部一人勝ち〟の金儲けのカラクリ」の「数百億円を捨てても大丈夫」。元締めが決して損をしないとんでもない会計システム。「もはや「もったいない」を通り越して、「非人道的行為」」(p.6)な怖ろしい程の量の大量廃棄を日々繰り返しても、元締めは決して損をしない。「税法の原則も逸脱」(p.22)した会計システム。さらに、「経営者が自分の店の請求書を見るために、裁判まで起こさなければいけない」(p.23)。最高裁は2008年7月4日、「支払い内容の開示を求める加盟店側オーナーの主張を、全面的に認める判決」(p.36)を当然下した。「二審の判決を完全に覆し、逆に本部側の開示義務が明確に認定された。・・・最高裁がここまではっきり認めた法的責任を否定するのは、もはや困難だ」(p.37)。

 「3 人気商品「おでん」の裏側」の「難しい鮮度管理」。「結局、加盟店の実態とはかけ離れたシステムの矛盾は、「本部は商品廃棄リスクを負わずに加盟店に過剰発注させ、最大の利益を得る」という特殊会計が抱えている問題に行き着くのだ」(p.45)。

 「4 「オーナーを監視せよ」黒い社内体質」の「24時間の監視体制」。「本部社員は・・・一人はレジ前に、もう一人は出入り口の横に仁王立ちしてレジを監視、経営を別にするはずの事業者の人権を無視し、一時間おきに店の売上金を抜き取り続けた。/「刑事みたいなのが立っているけど、何かあったの」/「ヤクザかい、入口にいるのは」」(p.56)、と来店客からの不審な声が上がるほど異様。「・・・まるで暴力団ですねぇ・・・。/・・・二人体制×十二時間交代での監視をさらに継続、二0分から1時間ごとに、レジから売上金の抜き取りを続けた。しかも、車についている会社のロゴマークはテープで隠されていた」(p.57)。堂々とできない理由でもあるのか?
 同章の「「FC会議」の不気味な光景」。「新修社員は・・・肩書きが『管理職』扱いになるので、残業手当が支払われませんでした。・・・/・・・新卒の新入社員が労働基準法上残業代を払わなくてもよい『管理監督者』に該当するわけがない。それを認識しながら経費削減に利用しているとしたら、経営陣や人事労務担当には遵法精神がない」(pp.60-61)。「・・・『FC会議』・・・鈴木会長の講演会が開かれます。/鈴木会長から、・・・などという『目標額』という名のものすごいノルマを課せられるんです。・・・といった季節ごとのイベント商品は酷い。しかも、会長の指示は絶対で皆、『ました!』と答えなければならないのです。・・・1000人以上の社員全員で、不気味な光景ですよ。宗教みたいです。ほかにも鈴木会長にちなんだ著書が出版された際、半強制的に購入させられました」(p.62)。
 世界的二輪レーサー、ノリックこと阿部典史さん(享年三二)はセブン-イレブンの配送車両にはねられて死亡。大広告主に配慮してか、普通であればバカ騒ぎするはずのマスコミが沈黙・・・。一方、「配送業者が強いられている、想像以上に過酷な現実が」(p.81)あるのも事実で、店主だけでなく配送業者や運転手にも異常なノルマ。「6 四六時中見張られる商品配送ドライバー」の「急ブレーキ1回で1回の減点」。「運賃を減らされる一方で、限界を超えた配送ノルマを強いられる――。/配送は一〇〇点満点で評価され、「急ブレーキ一回につき一点」といった具合に、イレギュラー行為があるたびに減点される。・・・配送後「なぜこの店でこんなに時間がかかったのか?」などと問い質される。したがってドライバーは、配送中常時監視されているに等しい」(pp.81-82)。

 「7 〝鈴木敏文王国〟に屈する大メディア」の「印刷段階で記事削除を要求」。「・・・毎日新聞社に圧力をかけて改竄させた、セブン-イレブン本部の暴挙は異常です。・・・その圧力に屈服した毎日新聞社も情けないですね」(pp.90-92)。
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●『USAスポーツ狂騒曲 アメリカは今日もステロイドを打つ』読了

2009年07月23日 07時55分17秒 | Weblog

『USAスポーツ狂騒曲 アメリカは今日もステロイドを打つ』、7月に読了。町山智浩著。集英社。2009年2月刊。

 「ステロイドが生まれてからスポーツ選手の体は急激に変化していった。・・・/デカく、強く、それはアメリカの思想だ。スーパーサイズのハンバーガーとコーラをむさぼり、戦車のようにガソリンを食らうSUVやトラックを好み、ガソリンを求めて戦車で他国に攻め込む」(pp.8-9)。

 「・・・問題なのは「ベースボールチャペル」が、キリスト保守派団体の支援で運営されている、ということだ。・・・ダーウィンの進化論や避妊に反対し、同性愛や妊娠中絶を法律で禁じようとするブッシュ政権を熱烈に支持する政治勢力となっている」(p.167)。

 本の帯が全てを語る。「アメリカの10代のステロイド使用者数、30万人! なぜアメリカ人は副作用を知りつつ、ステロイドで筋骨隆々の身体になろうとするのか・・・。「アメリカンスポーツ=富と名誉、夢と希望、強くてカッコいい」の思い込みをぶっ壊すエピソードの数々。「アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない」の著者が暴くスポーツバカ大国・アメリカの真実」。
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●『創(2009年7月号)』

2009年07月22日 07時53分45秒 | Weblog

『創』(2009年7月号)、7月に読了。

 篝一光さんの写真シリーズ「東京street!/第21回 東京の坂」(pp.12-15)。野清志郎さんの葬儀後数日の「たまらん坂」(多摩蘭坂)にも多くのファンが。

 佐高信さん「筆刀両断!/戦争ごっこボケの道化 田母神一座」(pp.86-87)。「・・・花田紀凱。『朝日新聞』批判で食っているが、ナントカの一つおぼえでそれをやってきた花田が一時、『朝日』の出している雑誌に入ったのはおそまつだった。呼ぶ方も呼ぶ方なら、入る方も入る方。タカ派で売っているが、・・・節操は、この男にはおよそないらしい」。「・・・曽野綾子を最大限に持ちあげている。しかし、・・・保守派を自認する・・・が、大江の『沖縄ノート』を曽野は「ものの見事に誤読」していると論証し、それに乗っかった秦郁彦や渡部昇一のいい加減さも暴露しているのである」。「要するに田母神らには、最初から「国民の生命」など頭にないのだが、私たちは、少なくとも、それは「ある」だろうと「誤解」しているから、話がこんがらがってくる」。

 鈴木邦男さん「言論の覚悟/よど号症候群」(pp.88-91)。「あさま山荘事件の時、解放された・・・さんは「犯人は紳士的だった」と発言した。・・・それ以来、・・・さんは一言も発言していない。・・・/ただ、シンパシーが生まれたのも事実だ」。「・・・こうした「共感・一体感」は当事者でないと分からない。日野原さんも、テレビで喋ろうとすると、遮られたという。・・・視聴者のイメージ(思い込み)に沿った<物語>を作りたいのだ。/こうした「ストックホルム症候群」と相反する言葉として、「リマ症候群」という言葉がある。これは、人質側に犯人側が共感し、影響を受けるのだ。・・・/・・・ゲリラは人質に銃を向けることができず全員が殺された。銃を捨てて投降した子供のゲリラ兵まで軍隊は皆殺しにした。この時、僕はTBSの「ニュース23」に呼ばれたので、「これは虐殺だ!」と言ったら、抗議の電話が殺到し、電話回線がパンクしたという。/・・・さんは「鈴木さんの言う通りです」と言っていた。人質を解放し、ゲリラは投降する交渉をしていた。それが実行される寸前に、軍隊は突入し、ゲリラ全員を殺した」。

 森達也さん「極私的メディア論/第44回 日本のメディアの不自由さ」(pp.96-99)。「韓国・・・彼女は言った。・・・「・・・だって捕まったばかりの人はまだ容疑者ですよね。・・・テレビのニュースなどで容疑者の名前や顔を見たことは、ほとんどないです」」。「でも今の日本のメディア・・・当たり前のようにその顔を撮り、名前や住所、職業なども屈託なく明かし、ただし手錠と腰縄だけには、しっかりとモザイクを忘れない。これが定型になっている」。「メディアだけではない。法廷における無罪推定原則も、和歌山カレー事件の判決を引き合いに出すまでもなく、まったく形骸化している。・・・/・・・無罪推定原則は、そもそもの立証責任は検察側にあることを示している。/つまり検察側が被告人の有罪を合理的に立証できないのならば・・・その段階で被告人は無罪となる。ならねばならない。/・・・だからこそ無罪推定原則は、数多くの誤判や冤罪を歴史的に繰り返してきた近代司法が辿り着いた必然であり、罪なき人をできる限りは罰してはいけないとの崇高な決意によって誕生したテーゼなのだ」。「・・・全裸事件から北朝鮮ミサイル問題、新型インフルエンザと、最近の報道の一極集中と過熱ぶりは、あまりに常軌を逸している」。「国境なき記者団が2008年度に発表した世界報道自由ランキング・・・上位を占めるのは、ノルウエーやアイスランド、フィンランドやスウェーデンなどの北欧諸国。これらすべてが、犯罪報道においては匿名報道を先駆的に取り入れた無罪推定原則を守る)国々であることは象徴的だ」。2006年の51位よりは上昇したとはいえ29番目の「日本のメディアの自由度はあきれるほどに低い。それは確か。でもそれは国家権力や企業サイドからの圧力ではなく、メディアが自ら招いた規制であり、自ら招いた不自由さなのだ」。

 「週刊誌編集長とジャーナリストの闘論! 週刊誌がこのままつぶれてしまっていいのか」(pp.104-121)。佐野眞一氏「『週刊新潮』には、櫻井よし子さんや福田和也さんなど、常連の寄稿家が何人かいます。あのコラムを持ちながら、誰も虚報問題を論じていない」。田島泰彦氏「・・・ひどいのが、オリコンをめぐる訴訟です。・・・雑誌を差し置いて、コメントを出した烏賀陽弘道さんというジャーナリストが訴えられた。個人がターゲット・・・」。佐野氏「・・・「出版」というのはパブリッシュ(pubish)―パブリック(pubic)という言葉の語源です。公共のものなのです。社会のものですよ。それを資本の論理で休刊させてしまう。『月刊現代』にしろ『論座』にしろ・・・少しでも闘ったのかどうか。その痕跡すら見えないわけですね。・・・/・・・賠償金高額化の問題ですが、「お前ら、泣きごと言うなよ」というのが僕の意見です。「しっかり調べないからだろ」と」。山口一臣氏「スタッフには常に「・・・訴えられることを前提として、それに負けないような取材をして下さい」とお願いしています」。北村肇氏「ネットがどう頑張ろうとも、新聞、雑誌がジャーナリズム性できちんと勝負すれば負けるはずがない」。

 篠田博之編集長「林眞須美さんは死刑の恐怖を切々と訴えた/確定死刑囚は「死」とどう向きあうのか」(pp.122-131)。「成果が大きかったのは「フォーラム90」が昨年10月に実施したアンケートだ。・・・福島みずほ議員の協力を得て実現したのだが、78人の死刑囚から回答が寄せられた」。

 「永六輔[放送タレント]×矢崎泰久[元『話の特集』編集長]のぢぢ対談 第3回/選挙なんて知らない」(pp.126-134)。麻生首相について、矢崎さん「あの人は教養だけの問題じゃなくて、人間としての品性が卑しいでしょう」。城山三郎さん『粗にして野だが卑ではない』元国鉄総裁石田禮助さんを思い出す。
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●『創(2009年6月号)』(1/2)

2009年07月21日 07時33分04秒 | Weblog

『創』(2009年6月号)、6月に読了。

 マッド・アマノさん「風刺天国 No.30」。〝完全無所属〟で見事当選した森田健作千葉県知事について、「元気モリモリタ 偽装無所属 自民党支部代表とは無関係?」(p.1)。

 魚住昭さん、「問題山積! されど大事な雑誌ジャーナリズム」(pp.46-51)。リード部は、「『月刊現代』休刊、『週刊新潮虚報など様々な問題が噴出する雑誌ジャーナリズムだが、検察批判などで新聞にはない役割を果たしてもいる。雑誌ジャーナリズムの意義を改めて考えてみたい」。「赤報隊虚報、『僕パパ』・・・編集者は基本的な作法を」。「編集部は、そういうのをおかしいと思わないのでしょうか。・・・基本的な裏取りが出来ていませんね。・・・/さらに驚いたのは、「こうして騙された」という検証記事の見出しです。「騙されたはないだろうと思うけれど。騙されることのすごく多い世界なんだから、引っかからないようにするのがプロの仕事。それをあたかも新潮社が被害者であるかのように書いている。/そしてまた驚いたのは、「疑惑の段階でも報道するのが週刊誌の役割だ」なんていうね。あれは・・・週刊誌文化の誤りだと思います。/僭越な言い方ですが、ものを書くときには、必ず書かれる側の人がいる。書かれた人は、誤った報道をされたら人生がメチャクチャになる恐れが十分にあるのです。疑惑の段階で報道するのが出版社の役割だ、なんてことは言ってはいけない。・・・やはり負けが多すぎます。少なくとも引き分けぐらいまで持っていけるような、あるいは負けるにしても完敗はしないような取材をして書くべきだろうと思います」。『僕パパ』事件ついても、「著者の草薙厚子さんはほとんど素人だから、・・・少なくとも編集者は、あんなに大量に調書を引用したら犯人探しが始まる、犯人探しが始まったらすぐ特定されるということに気付くべきですよ。・・・『週刊新潮』の場合も『僕パパ』の場合も、編集者の基本的な作法の欠落を見せつけられましたよね」。「小沢一郎秘書逮捕は検察の暴走」。「・・・それほど今度の捜査はひどかったということ・・・」。「検察が流す情報に従って記事を書いていくという、このシステムは変わるわけがありません。三井環さんの事件のときなど、本当にひどかったですよ。あんなに明々白々な口封じ逮捕を、きちんと批判できなかった」。

 元木昌彦さん、「『週刊新潮』虚報事件と週刊誌の弱体化」(pp.52-55)。「・・・編集部としては前代未聞のみっともないこと・・・」。「・・・という見出しではなく「島村と共謀してこうして読者を騙した」にしなくてはいけない」。いつものこの会社の体質だが、「取材が浅いなどという程度の問題ではなく、初めに「何が何でもこの記事をやる」というのがあったように思う」。「・・・この件に関しては何を言われてもしょうがない。この場合、あまりにも杜撰過ぎる・・・。/・・・部数を落としているところに、信頼性まで落とすような大きなミスを犯してしまった」。信頼性がそもそもこの雑誌にあったのであれば。だから、権力につけ込まれる。一連の相撲の八百長疑惑についての『週刊現代』の記事について、「私から言わせれば、あれはずさんな取材ではない。記者は相当取材している。・・・/・・・あまりにも一方的に、『週刊現代』に対してあのような判決を出すのは、いくらなんでもおかしいと思う。/・・・裁判員制度をにらんで雑誌に対して厳罰を課すという流れがあるような気がする。・・・/裁判員制度に批判的な論陣を張る雑誌ジャーナリズムに、司法の集中的攻撃がなされているような状態だ」。だから、言わんこちゃない!

 江川昭子さん、「保守系『諸君!』にも及んだ雑誌休刊ラッシュ」(pp.56-60)。「編集部員の数を減らせば、雑誌の質を落とすことにもなる」って、そもそも「質が高い」という前提? 「若い書き手や新進の学者」? 誰のことを指してんだろう? 「・・・その手の主張で充ち満ちている」のに、「・・・斎藤貴男さんも、しばしば同誌に寄稿した時期があった」からといって、免罪されるのかな? 「・・・冤罪事件を取り上げ、警察の無理な取り調べや、自白を安易に採用する裁判所の実態なども、具体的に報告してきた」そうだけれども、それが巻頭を飾り、この雑誌の主題的扱いで、主張となっていたのでしょうかね? あくまでも刺身のつま的、ごく僅かに残された良心的な編集者の罪滅ぼし的なもの?? 「ノンフィクションの若き書き手を発掘して育てる場として活用してきた」って、誰のことだろう? 「〝愛国的〟もの言いがやたらと受けるご時世では、『諸君!』のように、「まっとうな」保守系論檀誌・・・」、思わず噴き出す。まっとうには、一応、「 」がついてはいるが。「・・・秦郁彦氏と、田母神氏を擁護する評論家の西尾幹二氏の討論を掲載した。/・・・編集部が工夫した形跡が見て取れる」ね~、人選がすごく悪いと思いますが。両氏こそ、ネット世界と変わらず、「理屈や事実抜きで感情むき出しのナショナリスティックな発言」が多いのではないでしょうか?

 編集部、「『僕パパ』事件でついに判決! 奈良少年調書流出事件/判決と鑑定の証言」(pp.72-77)。「・・・内部資料の写真がカバーに使われていた・・・」のを見た時、医師は真っ青になったことでしょう。「講談社に対してジャーナリストとして主体的な立場を貫けなかった草薙さんの問題で、そういう人に渡したのが間違いだったということですね」。「ところが、できあがった本は、広汎性発達障害についての記述はほんの一部で、全体としては、調書をそのまま掲載したセンセーショナルな本になっていた。しかもそういう手法をとったために情報源が容易に特定されることになった」。

 香山リカさん、「「こころの時代」解体新書/「うつ病ビジネス」にご用心」(pp.88-91)。サプリメントによる詐欺的なビジネス。「「セロトニン不足がうつ病の原因」という部分は間違いではないだけに、完全なニセ科学と断定することは難しい。しかし現実的には、葉酸やアミノ酸をちょっと口から摂っただけで、それが脳内のセロトニンやその代謝経路に直接、何らかの影響を与え、うつ症状を改善されることはほぼ期待できない」。GABAが含まれたチョコレートについても、「いくら口から有効成分を摂ったとしても、そのほとんどは脳には送られずに排泄されてしまう」。
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●『創(2009年6月号)』(2/2)

2009年07月21日 07時29分57秒 | Weblog

【『創』(2009年6月号)】
 篠田博之編集長、「意思表示のために真紅に身を包んで・・・/最高裁死刑判決直後に眞須美さんから届いた手紙」(pp.106-111)。「・・・安田好弘弁護士が主張していた「くず湯事件」の事例などは、ほとんど判決文では言及されていなかった」。「動機も解明されず、直接的な証拠は何もないなかで、状況証拠の積み重ねだけで死刑を宣告してしまってよいのか」。判決には、「カレー毒物混入事件の犯行動機が解明されていないことは、被告人が同事件の犯人であるとの認定を左右するものではない」なんて、酷過ぎないか? 弁護人、「・・・多くの疑問があり、この程度の証拠で有罪を認定し、しかも死刑にするのは、近代刑法の無罪推定の原則と証拠裁判主義の原則に反し、あまりにも酷いと言うほかありません」。林健治さん、「・・・くず湯事件は私が進んでヒ素を飲んだのに、どうして妻眞須美の私に対する殺人未遂になるのでしょうか。こんなに確実で明白な殺人未遂でないという証拠があるのに」。鈴木邦男さん(林眞須美さんを支援する会)、「もはや法治国家ではない。疑わしきは罰せずというのはどこへ行ったのか。/マスコミのあり方も問題だ・・・」。

 浅野健一教授、「「発表もの」しか書くなと言う「道警裏金追及」地裁判決」(pp.112-117)。リード部分、「かつて道警の裏金を果敢に告発し新聞協会賞に輝いた道新だが、その裏金追及のエースだった記者らが元道警幹部に訴えられたその裁判で、4月20日、とんでもない判決が出たのだった」。「・・・裏金になったと認め、・・・処分した。・・・組織的な裏金作りを一部認め、約9億6000万円を返還した」。それなのに、・・・。「報道被害者」と称する元道警幹部の記者会見では、「司法記者クラブの記者たちは、何も重要なことを訊かなかった。・・・仲間の記者が泥棒をした組織によって被告席に座らされているのに、怒りも憤りも感じないのかと、私は苛立った」。「仙波敏郎・愛媛県警巡査部長が3月末巡査部長のまま退職したが、全国でまだ警察に裏金があると言っている」。その仙波さんは、「裏金は『不適切経理』ではなく、犯罪行為だ」と言っている。道新の当時の道警キャップは、「この判決は、当局の発表ものを書くこと以外のことはやるなということだ」。

 日野原重明氏と鈴木邦男さんのの対談(pp.118-124)。日本初のハイジャック事件とされる「よど号事件」に乗客として遭遇したそう。ストックホルム症候群。「・・・全く新聞のニュースもいい加減なものだと僕は思いました・・・・僕はあれ以来、マスコミをあまり信用できなくなった。・・・歴史というのは外の人が書いているんです」。

 「永六輔[放送タレント]×矢崎泰久[元『話の特集』編集長]のぢぢ対談 第2回/政治なんて知らない」(pp.126-134)。矢崎「・・・毎晩、バーでブランデーを飲んでる坊ちゃま相に聞かせたい(笑)」。永「・・・政治家って、世襲するたびにみんな小粒になっているじゃない。・・・政治というより、政治成り下がっている。「家」と「屋」の差って大きいと思わない? 本来なら「家(いえ)」としてどんと構えるべきとことろ、「屋根」しかないんだから」。矢崎「・・・麻生首相がいきり立って迎撃指令を出していたけど、なんか、鶏小屋の中にいるニワトリが、オリの向こうから近づいてくるネコを見て、コケコケ雄叫びを上げているような感じなんだよね。北朝鮮は、そんなから騒ぎをしている日本を見てせせら笑っているわけでしょう」。矢崎「・・・中川昭一の核武装論は酔っ払いのタワ言だとしても、絶対に許せないよ」。

 雨宮処凛さん、「ドキュメント雨宮革命/第19回 ホームレスの定義を巡って」(pp.138-141)。ヨーロッパの路上生活者はホームレス3万人の1割以下らしい。「健康で働ける人がホームレスをしている」ことに大きな違いがあり、薬物やアルコールなどに何の依存症も抱えていないのにホームレス化していることに海外の人々は驚くそうだ。欧米ではアディクション問題で、日本では小さな政府の無策といった「失業問題」。日本が〝見習っている〟アメリカでは、「社会保障の弱い部分を支えてきたのはNPOと教会・・・そこに行けば餓死しないようになっています」と湯浅誠さん。さらに、「アメリカで訪れたスープキッチン(と呼ばれる無料給食所)が料理が30品目も並ぶ「バイキング形式」だったことに驚」いたそうで、支援の規模の違いに愕然。「ホームレスになりやすい国となりにくい国、或いは餓死しやすい国としにくい国があるということだ。失業して家賃を滞納しても家賃補助があったり、安い公営住宅がたくさんあったりする国と、家賃を滞納してホームレス、というのが「仕方のないことと容認されてしまっている国。ちなみにフランスでは「冬の間はどんなに家賃を滞納しても大家さんは入居者を追い出してはいけない」という法律があるという。・・・日本の場合・・・大企業が従業員を・・・寒空の下に放り出したわけだが、国が違えば大バッシングが巻き起こり、不買運動どころではすまないのではないだろうか」。北九州方式の酷い例が想起される。「「命」を基準に考えるか、大企業の利益や市場原理を基準に考えるか・・・」。
 (都議会議員選について12日18時現在で40%弱、最終的には50%を超えるとニュースが伝えるが、前回よりは良いとはいえ、それで本当に良いの?)

 「今月の編集室から」(p.152)。「▼今月の連載 斎藤貴男さんの・・・毎月の定期連載は一応終了です」。何か後味悪い終わり方だな・・・。

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●『冤罪File(No.06、2009年6月号)』

2009年07月16日 07時59分25秒 | Weblog

冤罪File』(No.06、2009年6月号)、6月に読了。

 巻頭インタビューは森達也さん、「死刑に本音で向き合うことを余儀なくさせた、冤罪死刑囚との「出逢い」」。(p.2-9)。4大死刑冤罪、免田栄さんの熊本での事件、財田川事件・松山事件・島田事件。「・・・存置派も廃止派も、「償い」という言葉をあまりにも安易に考えすぎている。/・・・社会全体がまるで被害者になり代わったような気分になって、加害者を死刑にしろ、と叫ぶ・・・/・・・他人がそんな簡単に共有できる訳がないんです。・・・被害者に対して不遜だし、失礼です」。裁判員制度について、「害悪をまきちらす以外にまったく意味がない制度になりかねないと思います。/・・・改革すべきことは他にいくらでもある。・・・/このまま見切り発車となれば、整備不良の車で高速に入るに等しいことです。/・・・冤罪を防止するための方策には全くなりえていません」。まったく同感。「・・・まず代用監獄から手をつけなければならないと思いますが、それは全く手付かずです」。「・・・公判前整理手続きが密室でおこなわれ、公判が始まれば弁護側の新たな証拠提出も認められない。一方で証拠を握っている検察は、その全面開示の義務はない」。裁判員制度下で死刑判決を出すということは、どういうことなのか? さらにそれにのしかかる守秘義務。冤罪事件であることが間違いのない袴田事件の一審裁判官だった熊本典道さんが、無罪心証を持ちながら死刑判決を出し、何十年も苦しんできたことに関連して、「彼は職業裁判官だったのに・・・苦しんできた。裁判員制度では、それを普通の市民が抱えることになるかもしれない。しかもそのつらさを妻にも夫にも言えないのです」。最後に、メディアも含めた組織的な構造の問題であることが強調。「・・・組織が病理をかかえていることを認識しないと冤罪がなくなる筈はないのです。/・・・悪い警察官や検察官がいるから冤罪がおきるのではない。組織がそういう構造になっているからです。・・・/さらに今のこの国は、メディアを媒介にしながら犯罪者への憎悪が深まることで、冤罪の構造が変わってきています。その典型が和歌山カレー事件の林眞須美さんです。自供もなければ物証も何もない。かつてならこれで死刑はありえなかったと思います」。

 片岡健氏「最高裁は果たして公正な判断を下せたのか!? 不明な動機、作られた目撃証言、疑惑の証拠「ヒ素」/あなたが裁判員だったら死刑判決を下せますか!? 「和歌山毒カレー事件」全真相」(pp.18-31)。

 江川昭子さん「名張ブドウ酒事件/死刑確定から37年・・・裁判所は誤りを正し、ただちに再審開始を決定せよ」(pp.18-31)。「こういう態度からは、裁判官たちの関心は、一人の無辜を救うより、過去に出された判決を維持する方にあると思わざるをえない。/最高裁も、・・・決定を支持。・・・断言した。/・・・裁判官の「常識」は、実にしばしば一般人のそれと異なる」。

 「1954年に山口県で起きた一家6人殺しの仁保事件と呼ばれる冤罪事件があります。岡部さんという当時37歳の男性が別件逮捕され、4カ月にわたる勾留の後に「自白」してしまいます。一審死刑でしたが、最高裁で差し戻しとなり、後に無罪が確定しています。/この事件は、取り調べの録音テープが残っているという点で、人がなぜ嘘の自白をするのか研究する上で貴重な資料です」(p.58)。松下センセの係わった事件。

 里見繁氏、「現役テレビプロデューサーの「取材現場発!」 冤罪・浜松幼児せっかん死事件/検察が隠し続けた自白テープ」(pp.62-81)。リード部、「冤罪に巻き込まれた一人の人間の人生を20年近くに亘って奪い続ける日本の司法制度は機能不全に陥っている。土台から腐っている」。交際中の男性を誤認逮捕。母親の折檻死事件と知りつつ、検察が隠蔽。母親の自白テープが法廷に提出されたにもかかわらず、裁判官は無視し、その後も詭弁を連発。その母親と、捜査に係る刑事との不可解な交際や、免停のもみ消し工作など無茶苦茶の連続。「「疑わしきは被告人の利益に」という刑事司法の建前は今や「風前の灯」だが、最近の科学鑑定について裁判所は「わからない理論は検察の利益に」という姿勢を貫いている。DNA鑑定などに対する裁判所の対応を見ていると、そう考えざるを得ない」。菅家利和さんの足利事件冤罪を見ても明らか。

 柳原三佳さん、「「高知白バイ死亡事件」最新速報/「本件事故は、高知県警の暴挙による重大な謀略事件である」(訴状より抜粋)/獄中で冤罪を訴える元運転手・片岡氏が、ついに県警を提訴!」(pp.92-93)。片岡さんの支援者は、「片岡さんに罪をなすりつけたことはもちろんですが、大人として、子を持つ親として許せないのは、一連の行為が22名の中学生の前で行われたということです。生徒達に警察や司法への不信感を植えつけた責任は問わなくてはなりません。大人として、同じ親として恥ずかしくはないのか!? と彼らに問いかけたいのです」。
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●『創(2009年4月号)』(1/2)

2009年07月15日 07時25分57秒 | Weblog

『創』(2009年4月号)、6月に読了。

 巻頭カラー頁「最高裁判決間近! 和歌山カレー事件の寒々とした風景」(篠田博之編集長、pp.18-19)。バカ騒ぎ・張り込み・覗き見を煽るマスコミ、壁に落書きし続ける不届き者、2階まで落書きがびっしりとされた家・・・。自宅は、その後、放火。結局、安田好弘弁護士の主張に耳を貸すことなしに、最高裁は死刑判決を支持するという誤判。証拠や自白無し、伝聞・噂のみによる死刑判決。動機無き被告にも関わらず。
 news eye、今西憲之さん「この3月に定年退職はするけれど/愛媛県警「裏金告発」仙波敏郎氏の闘いは続く」(pp.28-29)。

 佐高さんの「筆頭両断!/「三百代言」「三百面(づら)竹中平蔵」(pp.82-83)。「・・・竹中が「日本のリーダーとして、最も信頼している」小泉純一郎の庇護の下、郵政民営化ならぬ会社化は強行され、いま、「かんぽの宿」の売却疑惑が暴露されて、私物化が明らかになっている」。耳障り良い『民営化』は、所詮、『私企業化』・『私物化』である。「・・・竹中の行くところ、疑惑が渦巻くのである」。

 香山リカさんの「「こころの時代」解体新書/中川財務相は「心の病」なのか」(pp.84-87)。「・・・「辞任の理由は体調不良」の線で切り抜けようとした。政策がブレることで知られる麻生首相としては、目を見張るほどの一貫性である」。「・・・ひとえに、自分でアルコール摂取をコントロールできないことに、その原因がある。・・・摂取量は増える一方で、・・・いわゆる病的酩酊のレベルに達していたにもかかわらず、飲酒を続けるというのは、これはどう考えてもアルコール依存症と言わざるをえない」。「・・・〝病気の人を責めるな〟式の意見も目につく。/2004年にイラクで人質になった若者たちが、その壮絶な体験がトラウマとなりPTSDに苦しんでいると報じられたときは、自己責任大合唱であったのに、それから5年のうちに日本社会も体調不良や心の病気にずいぶん寛大になったものだ。/ただ、その〝寛大さ〟は今のところ、なぜか権力の担い手やセレブにばかり向けられているようである」とシニカルに。

 鈴木邦男さん「言論の覚悟/報隊の悪夢」(pp.88-89)。『週刊新潮』による、トンデモナイ大誤報・ガセネタによる赤っ恥。阪神支局記者の遺族への侮辱的行為。映画『ポチの告白』についても。
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●『創(2009年4月号)』(2/2)

2009年07月15日 07時24分05秒 | Weblog
【『創』(2009年4月号)】
 森達也さん「極私的メディア論 第41回/セキュリティ意識と刑事司法」(pp.92-93)。犯罪統計と我々の犯罪の認知件数。水増しされているであろうにもかかわらず、統計上は刑法犯は減少。小説『東京スタンピード』で、「・・・オオカミが来たと言い続ければ、そしてオオカミが来たと多くの人が思い続ければ、実際にオオカミは来るのです」。マスコミの過剰な喧伝、街中にあふれる防犯カメラと云う監視カメラ、道路にはNシステム。「安全を保障するはずのセキュリティが、逆に治安を悪化させる。皮肉といえばこれ以上の皮肉はない」。和歌山カレー事件について、「・・・被告人は、これまでずっと事件への関与を否定し続けている。物的証拠は何一つない。動機すら解明されていない。・・・死刑。「疑わしきは罰せず」ではなくて「疑わしきはとりあえず有罪で、国民感情が収まらないなら死刑」ということになる。この国の刑事司法は完全に窒息した」。「とにかく無茶苦茶な裁判だ。まるで最初から死刑ありき」。「・・・などの証言も、・・・相当に怪しい。冤罪の可能性はとても高い。でもほとんどの人はこれを知らない。かつて被告人を毒婦などと形容したメディアが、新しい展開を報じないからだ」。

 浅野健一さん「中川昭一議員の酒乱を書かなかった政治記者の怠慢」(pp.114-121)。因縁の、「APの配信から約3日遅れたNHK」。「会食した社名を「実名報道」しない欺瞞」。「・・・中川氏は安倍晋三議員とともに、NHKの従軍慰安婦を取り上げた番組の放送前日に・・・NHK幹部を呼び、番組を「偏った内容だ」と指摘し」、番組を改悪するように政治的圧力をかけ、NHKはそれに屈した訳だ。「朝日のある記者は・・・「中川氏は、電話でNHK幹部と会ったことを認めたと聞いている。その時・・・酔っており、〝べらんめー〟調で『お前、なんだ』などと、記者を罵った。あの時、中川氏の酒癖の悪さは一般には知られておらず、・・・。酒癖が悪く品格もないを当時きちんと報じておれば、こういう辞任劇はなかったかもしれない」」。「中川氏には前々から「アルコール依存症疑惑」があった。今回、海外で批判されてから前から知っていたかのような報道が展開されたのだが、中川氏が自滅する前に調査報道があるべきだった」。

 篠田博之編集長「重大局面! 和歌山カレー事件 最高裁で弁護団が訴えたこと」(pp.122-127)。三浦さんを介して、最高裁から安田好弘弁護士が参画。「1審で・・・判決には、動機が不明だと書かれているのだ。動機とは犯罪の骨格をなす事柄で、それが不明なまま死刑判決をくだしてよいものか。その指摘は1審当時からなされていた」。「くず湯」事件では〝被害者〟(夫の健治氏)自らが、「自分で保険金目的で飲んだのだ」とはっきり言明している。そうすると、「カレー事件の構造そのものが崩れてしまう。つまり殺意であるとかヒ素をもって人を殺そうとか、そういう構造そのものが崩れてしまう」はずだったのに・・・、最高裁は、結局、事実を見つめることをせず、森さん云うところの「国民感情が収まらないなら死刑」と誤判。

 三井環さん「検察「裏金」告発の闘いはこれからだ! 第6回/有罪偏重」(pp.134-137)。「捜査した記録一式は・・・引き継がれ、担当検事はその記録の中から公判記録と残記録に選別してゆく。・・・一綴りにして公判提出記録は裁判所に証拠として提出し、他方残記録は検事の部屋のロッカーに保管するのである。/弁護人は・・・しかし残記録を閲覧することは不可能であるので、どういう証拠があるのかさっぱり分からないカラクリだ」。「・・・誤判決であるが、その最大の原因は・・・検事が弁護人の開示請求した残記録・・・目撃者の供述調書を開示せず、いわゆる証拠隠しをしたことにあるのだ。次の要因は裁判官が開示勧告も命令もしなかったことである。/被疑者および弁護人の言い分はあまり信用しないが、検事の言い分は全面的に信用するというのが日本の裁判官の姿勢を如実に示したものだ。検事が証拠隠しなどすることはハナから思ってもいないのである」。「証拠隠しで有名な事件として「財田川事件」・・・/・・・四大死刑冤罪事件の一つ・・・/・・・捜査側は被告人にとって極めて重要な捜査記録を隠したのだ。死刑が執行されていれば、誰が責任をとるのであろうか」。
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●『疵(きず) 花形敬とその時代』読了

2009年07月13日 07時50分53秒 | Weblog

『疵(きず) 花形敬とその時代』、6月に読了。本田靖春著。文春文庫。1987年4月刊。

 本書の背景(p.10、104)。「暴力が忌むべき反社会的行為であることは論を待たないが、・・・/私にとっての花形は、千歳中学校における二年先輩であった。彼を暴力の世界に、私を遵法の枠組内に吹き分けたのは、いわば風のいたずらのようなものであった」。「・・・一期生の級長を良民の枠組みにとどめ、五期生の副級長を暴力の世界へ押しやったものは、いったい何であったのだろう。/・・・遵法者を良民だというのであれば、厳密な意味でその名に値するのは、ヤミ物資を拒否して餓死した山口判事一人だったのではないか。/・・・ストイックな遵法は死を意味していた」。

 軍国主義者の変身・変心(pp.99-102)。「問題は教育者である彼らの豹変ぶりにあった。・・・/社会科は、断るまでもなく、あらたに始まった民主主義教育の大きな眼目であった。その担当を、よりによって、もとの軍事教官に割り振るというのは、民主化政策が教育の現場でどのように受け取られていたのかを、如実にあらわしている。・・・/失業寸前の彼に対する生活救済、それ自体はよい。だが、Nに社会科を割り振った学校の上層部は、生徒たちに対する配慮を決定的に欠いていた。サーベル持つ手をチョークにかえて民主主義を説くNが、説得力を持ち得るはずもなかったのである。/・・・教師はそのときから、改宗を迫られた邪教の宣伝者の身へと転げ落ちた」。当時の生徒は云う、校長について「・・・それはないと思うんだ。少なくとも、彼の口車に乗って、戦争で死んだ生徒がいるんだから」。

 力道山(p.242)や横井英樹(p.6、252)との関係。解説は色川武大氏。
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●『謎解き 超常現象』読了

2009年07月09日 07時55分29秒 | Weblog

『謎解き 超常現象』、6月に読了。ASIOS(超常現象の懐疑的調査のための会、アシオス)[WPはhttp://www.asios.org/]編。彩図社。2009年5月刊。著者は、秋月朗芳、蒲田典弘、長澤裕、原田実、本城達也(WP「超常現象の謎解き」の運営者、http://www.nazotoki.com/)、皆神龍太郎、山本弘、横山雅司の8氏。

 盲目的な〝信者〟のために、42の〝伝説〟を懐疑的に調査。いま流行りの「ファフロツキーズ」についても、『ファフロツキーズは本物か【天から降り注ぐ奇妙な雨】』と題して謎解きされている(pp.159-166)。「9・11陰謀論」という幻想・ニセ科学についても批判(pp.174-182)。「・・・陰謀が実在した証拠など一切ない」と断言しているところは、さすが。あくまでも冷静に、科学的に、懐疑的に批判。「懐疑とは、本当にそれが事実であるのか、注意深く、客観的に立証を求めていく態度のこと・・・/・・・最初から結論ありきで、ろくに調査もせず頭ごなしに否定することはしません」(p.3)。というか、「頭ごなしに肯定」する、信ずることが目的化した信者の方々、あまりに罪深いキクチさん(阪大の菊池誠教授ではないです)などに読んでもらいたいが・・・、もう手遅れかな。

 有名な千里眼の御船千鶴などについての第1章「人智を超えた奇跡の力「超能力」の真相」。マニアの方垂涎のクリスタル・スカルやムー大陸、アトランティスなどについての第2章「太古に栄えた幻の国家「超古代文明」の真相」。与那国島の海底〝遺跡〟について初めて知る。心霊写真やスカイシッシュの撮影に成功(!!)するなど、第3章は「「超自然現象、怪奇現象、UMA、陰謀論」の真相」。ロズウェル事件やMJ-12文書、オバマ大統領就任式に現れたUFOなど、矢追さん(イオンド大教授!!、p.201)らが大○螺を吹き続けた数々の事象について、第4章「空飛ぶ円盤の襲来「UFO事件」の真相」。宇宙人解剖フイルムやMIBの正体など、第5章は「異星からの来訪者「エイリアン事件」の真相」。アインシュタインの予言って、人違いどころか名前さえ違う(シュタインさん)というトンデモなお話などなど、第6章は「人類の未来を警告する「大予言」の真相」。
 懐疑的に批判・論破された書物ですので、誤解無きように。あくまでも、世に云われるような超常現象など存在しないという「謎解き」です。誤解してこの本を手にされると、マニアの方や信者の方は落胆されます。

 サイキックハンターのハリー=フーディーニ(p.21)や、「100万ドル超能力チャレンジ」で有名なジェイムズ=ランディ

 第2弾が大いに待たれます。
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●『ココロミくん3』読了

2009年07月08日 07時20分06秒 | Weblog

ココロミくん3』、6月に読了。べつやくれい画文。アスペクト。2008年11月刊。

 やらなくていいことの「試み」シリーズ第3集。帯には、「ますますやらなくていいことばかり でも、ココロミます! 思い出を円グラフであらわす、何でもヘビーメタルにしてみる、ティファニーをアルミホイルで作ってみる・・・・・・                   etc. 人気サイト「デイリーポータルZ」サプライズ連載、単行本化第3弾!」。

 T文庫にて。
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●『ま~、偶には良いじゃないですか』

2009年07月07日 07時58分16秒 | Weblog

ま~、偶には息抜きしないと。全て4~6月に読了。

 西原理恵子さん『毎日かあさん5/黒潮家族編』。毎日新聞社。2008年12月刊。
 
安倍夜郎さん『深夜食堂①~③』。小学館。2007年12月、2008年8月、2009年2月刊。1話10頁の優れものメニュー。
 
佐藤秀峰さん『新ブラックジャックによろしく6』。小学館。2009年6月刊。唸らされた。ある意味えぐい話だ。
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●『戦後ジャーナリズム事件史』読了

2009年07月06日 07時27分15秒 | Weblog

『戦後ジャーナリズム事件史』、5月に読了。別冊宝島編集部編。宝島SUGOI文庫。2008年7月刊。

 「田英夫「ハノイの証言」の真実/TBSが「権力」に屈した日 生き証人・田英夫が語り残す「キャスター解任事件」の真実」(pp.50-66)。「イラクを取材して拘束されたフリージャーナリストたちは「自己責任をわきまえない輩」として指弾された。・・・イラクのサマワに日本の取材班はいない」。

 「長崎・本島市長銃撃事件(90年)/「銃撃された市長」スクープ写真 倒れた市長が私に語りかけた「あのひと言」」(p.108-124)。「マスコミの主体性を欠いた報道姿勢、言論の自由を自ら放棄するかのごとき姿勢である。・・・人の口を通してしか天皇の戦争責任に触れえない・・・」。

 吉展ちゃん事件(p.162)。

 寺澤有さん「「なんでもあり」警察組織/わいせつ、暴行、「強制尾行」―――「警察取材」でみる「なんでもあり」の闇世界」(pp.194-205)。ポチ。

 烏賀陽弘道さん「システムとしての「朝日だけバッシング」考/「朝日叩き」が見えなくする「ジャーナリズム腐敗」の本質」(pp.231-236)。「「朝日だけバッシング」の陰で、「やれやれ、矛先がこっちに来なくてよかった」と胸をなで下ろしている連中がいることを忘れてはならない」。
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